花子と呼んでくりょ4
朝市と教会の図書室に忍び込んで
本を読んでいた花たちは
けはいにきづいた教会の下男と
牧師に追いかけられる。
山みちを逃げている途中で
坂道をころげて池に落ちた花。
それを助けようとして朝市も池に
はまった。
追いかけてくる声が聞こえる。
朝市は花に逃げるように言う。
花は、悩みながらも朝市を置いて
逃げていった。
朝市はそのご、追いかけてきた教会の
下男と牧師に見つかった。
家に帰った花。
びしょぬれだったのでふじは
心配した。
やがて、夜が明けて奉公先から
お迎えが来る時間となる。
★朝市のことが気になりつつも花はいよいよ
奉公先にたびだつ事となりました。
家の前で荷物を持ってたつ花は
家族たちに話しかける。
「おじいやん、おかあ、あにやん
かよ、もも・・・
しばしのわかれずら・・・」
「おねえやん」
「かよ、ももの子守たのんだぞ」
「花、逃げて帰ってくるんじゃねーぞ。」と吉太郎。
「うん・・。」
ふじは
「花は辛抱強いが、辛抱できないほど
辛いことがあったら帰って来い」という。
「奉公は三年だ。三年なんてすぐだ・・。」
と花は笑った。
「おじいやん、体に気をつけてくれ良し。」
「花・・元気でいろし・・」
そこへ木場リンがきた。
朝市がまだ帰ってないという。
心配する花。
そこへ仲介人たちが来た。
花は、「花子です。よろしくおねがいします。」
というが、仲介人が
「それがまずいことになった」と言う。
「手違いで、向こうの人は力仕事が出来る
男の子を希望していた」と言う。
女の子ではないので、約束は無しになった。
ふじも周造も喜んだ。
「餞別の腹巻もやったのに」と
木場リンはほっとして笑う。
徳丸家の下男はそれでは、といって
給料のかわりにもってきた米一俵を
肩にかついで、帰ろうとした。
すると、吉太郎が、「俺が行く」という。
「おらを連れて行ってくれ」と言う。
花は「兄がいなくなればおじいもおかあも
困る。だから力仕事でも何でもやるから
私を連れて行って欲しい」という。
吉太郎は、「それでもおらがいく」という。
花は押し切られ
早速、奉公に出るために荷物をつめる吉太郎。
「考え直してくれ」とふじはいうが
「いくら止めてもおらは、行く。」
と吉太郎の気持はかたい。
吉太郎は父親に好かれてないので
いつかこの家を出て行こうと思っていた
という。
「ちょうどいいおりじゃんけ・・。
おらがいけば、米が残る。
冬が越せるから・・・」と。
「じゃな・・・」そういって吉太郎は出て行った。
「あにやん~~あにやん~~~。」
おいかける花。
ふりむいた吉太郎は家族をじっとみて
深々と頭を下げた。
花は兄を呼んだ。
大声で呼んだ。
吉太郎の姿はどんどんと小さくなっていく。
大きな大人の男にまじって
小さな背中は見えなくなった。
「おらが奉公に行くなどいわなかったら
あにやんが行くことにならなかった。
おらのせいだ。」
と花はじぶんを攻めるが。
周造は「だれが悪いわけではない。
貧乏神のせいだ。
汗水たらして働いても、貧乏だからだ。」
そういうが、花の様子がおかしい。
花の額に手を当てた周造はその熱さに
おどろいた。
花は夜、池にはまってびしょぬれになって
帰ってきたのでそのため風邪を引いたらしい。
花はうなされていた。
★花は罰があったと思いました。
朝市を置いて自分だけ逃げて帰ってきた罰です。
おおきな男が二人やってきて花を攻める。
家をぐらぐらとゆする。
花は「ごめんなさい~~」という。
「友達をおいて逃げていったから
ばちがあたったんだ~~~」と
攻められる。
★想像の翼はいつもは花を勇気付けてくれますが
時にはこんな風に恐ろしい幻想の世界に迷い込んで
しまうこともあるのです。
花は苦痛にうなされていた。
かすかに、ごめんなさいとか
本の部屋、とか・・いうので周造とふじは
不思議がった。
周造は「おとうが帰ってくるまで我慢しろ」と言う。
その、おとうは・・・
東京である政治家の演説を聴いていた。
★労働者の集会に参加していました。
「労働者が働いた分幸せになれる法案を
作るべきだ~~」という。
おお~~
と聴衆は喜び賛同した。
そのなかに吉平がいた。
うれしそうに、おおお~~~とこぶしをあげた。
★花の熱は二日たっても下がりませんでした。
朝市は花の家の前で様子を伺っていた。
そこへ吉平が帰ってきた。
朝市から花が熱を出したことを
聞いて、あわてて家に入った。
「花!大丈夫か!!」
「あんた、やっと帰ってきたんだね。
花はずっとうわごとでおとう、おとうって
呼んでいたんだよ。」
「花!!しっかりしよし!!
おとうが悪かっただ。花が死ぬほど辛いときに
おとうがいなかったから・・・すまんな。
こんなおとうを許してくれ。」
「おねえやん~~~」
「おら、やっぱり死ぬだな~~」
「死んじゃだめだ。花はこれからだ。
まだまだだ!」と周造がいう。
「まだまだ???」
花は苦しそうに言う。
そして筆と紙をクレと言った。
起きて筆を持ち、紙にさらさらと
文字を書いた。
この家で字を読めるのは吉平だけ。
吉平に何を書いたか聞くふじ。
「これは・・・・・辞世の句だ・・・・。」
『まだまだとおもいすごし
おるうちに、はや死のみちへ
むかうものなり
はなこ』
そう読んで花は倒れた。
「はな!!」
「はなぁ~~~!!!」
「いままでお世話になりました
ありがとう・・ございます。」
家族は大声でないて花を呼んだ。
「医者にみせたんか?」吉平はさけんだ。
医者に見せてないとしって吉平は
はなに、辞世は早いぞといって
花をつれて医者にいった。
★この辞世の歌が花の運命を大きく
変えることになるのでございました。
では、ごきげんよう、さようなら・・・・。
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奉公へ行くといって花だったが
幸か不幸か、
徳丸が、男の子と女の子を間違えて
伝わったのか・・・とにかく
花の奉公はキャンセルとなった
だが、その影響で吉太郎が奉公へいくと
いいだした。
もともと、勉強がきらいで家の手伝いを
している吉太郎だった。
かれはかれなりに、農業をしない
吉平の変わりとなって、夜も昼も
働いたのだった。
彼の不幸は、父親に認めてもらって
いないことだ。これほどまでに働いて
いるのに、父親の変わりに必死に働いて
いるのに・・・なぜ父は認めてくれないのかと
その不満はあったと思う。
吉平は子供には勉強をして欲しいと思って
いるのだろう。
が、自分が働かない分、吉太郎が働いている
ことには非協力的である。
これは勝手である。
家の手伝いをする花に女学校へ行くための
本をたくさん読もうとか
学校へ行こうとか
それらは、家の手伝いの労働力を
つぶすものである。
ふじたちはたちまちに困るのである。
だから、必死に働く花はやがて奉公へ行くと
決めるのである・・・・
かわいそうだね・・・・・。働かない父親の子って。
どうやら、吉平は鈍な安東家にあって
多少は世間を知っているらしい。
花が病気になっても寝かすしか脳のない
ふじと違って病院へ連れて行こうとしている。
この辺が、どうも憎めないのである。
