花子と呼んでくりょ3
突如、花が女学校へ行かない、
本も読みたくないといいだした。
父、吉平はどうしたものかと考える。
すると、長男吉太郎が自分が東京の学校へ行くと
いう。吉平は、女学校へは女しか入れない
と言う話をする。そもそも、吉太郎は
尋常小学校も勉強がいやでいかなくなった
わけだ。
「そんなやつが東京の学校へ行って
やっていけれるわけがない」と吉平は
いう。
学校で、勉強中、花はチョークをおとした。
朝市がそれをひろって花に渡した。
花はありがとうといって顔を見ると
朝市だったので顔を伏せた。
朝市はチョークを花の机の上に
置いて席に座った。
それを隣でサトが見ていた。
★花と朝市はあの石版事件以来
ずっと口を利いていませんでした。
その帰り道、サトがいう。
ももの髪の毛を引っ張って泣かしたのは
朝市ではなく、タケシだと。
「ほんとけ?朝市じゃなかったけ・・・」
★小作料の値上げでお母たちが困っている
のをしって、花はますますうちに仕事を手伝う
ようになりました。仕事は山ほどあったので
あんなに好きだった学校も休みがちになりました。
朝市は花のいない席を見て心配になった。
花は水汲みをしていた。
そこへ朝市がやってきた。
花は誤解もあって、気まずさを感じた。
朝市は天秤棒で水を運んでいる花に
声をかけた。
「花、学校へこれっくれ~~忙しいのけ?」
花は考えて天秤棒を置いた。
「朝市、おらがわるかった。
卑怯者だなんていって
石版も壊して
ごめん、許してくりょ・・・」
「花はおこるとおっかねぇからな。」
「おっかねーだと?」
二人は笑った。
朝市は学校へ来ないと折角覚えた
字を忘れるぞという。
「覚えているよ、こうして目をつぶると
本でいっペーのへやにいけるさ。」
「また、夢の話け~」
「夢じゃない。教会の本がいっぱいある部屋に
はいったさ。あんなところにすめたら最高じゃな。」
そういう花を朝市はじっとみつめた。
さて、花は藁で作ったかごやぞうりをたくさん
もって、売りに行く途中だった。
地主の徳丸にあった。
花はかごの問屋さんはどこですかと
徳丸に聞いた。
「ここをずっといったところだ。」
徳丸は「ふじのとこの娘だな」という。
花は、「花子です。本当は花だけど。」
という。
そういっていこうとした徳丸に
花はもう一つ聞きたいことがあると
いった。
そして、自分のようなものでも雇ってくれる
ところがあるのかと聞く。
「ねぇことはねぇな。」
花は、「お願いします」と言った。
それから程なく徳丸家の使いがやってきた。
給金の前払いと言って
米一俵をもってきた。
事情が分からないふじは、どういうことか
と聞く。花の奉公先が決ったというのだ。
奉公先は長野の材木問屋である。
あわてて、徳丸になかったことにしてくれと
言いにいった。
まだ7歳なのにというと、「不憫だが
花子だか花と言う子が自分から頼みにきた」
という。
「いまさらなかったことに出来ない」と
徳丸は言った。
学校では、花が学校を辞めるとみんなの前で
挨拶をした。
奉公へ行くという話を徳丸の息子タケシがいった。
先生は、「体に気をつけてナ」と花に言った。
やがて、出発の前の晩。
ふじは花に、「すまんね~花、うちが貧乏な
ばっかりに・・」という。
花は、ずっと以前、父親が奉公にいったら
字もそろばんも覚えられるといったこと。
それを聞いたとき、奉公へ行きたいと
思ったという。
そこへ、木場りんがきて、お古の着物を
わたして、奉公先でおなかを壊さないように
といった。
そして、こんなとき、吉平さんはいないのかと
聞く。
周造爺さんは婿殿はいつも肝心なときにはいないと
腹立たしくいった。
そこへ朝市がそっと葉っぱをおいていった。
花は葉っぱにかいてあった
内容を読んだ。
なんだか迎えに行くとか・・・
その夜ふけ
朝市はランプを持って花の家に来た。
そして、花が一番好きなところへ行こうと
いった。
そこは教会だった。
二人は教会へ忍び込み、本を読んだ。
珍しい挿絵に驚きながら読んだ。
奉公へ行ったら本は読めないから今のうちに
読んでおけと朝市はいう。
つぎつぎと楽しく読んでいくが
人の気配がした。
朝市は逃げようといったが・・・
その人はやってきた。
教会の下男だった。
見つかったが二人は逃げた。
「まて~~~」と追いかけてくる。
二人は、必死に逃げたが・・・
山道で花が転んで池に落ちた。
それを助けようと朝市も
落ちた・・・。
「朝市大丈夫け?」
「花・・・」
二人はずぶぬれになった。
★花と朝市の運命は如何に?
ごきげんよう・・・・さようなら・・・・。
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七歳で奉公とは・・・・
不憫です。
まだまだ、母親の愛情が必要なときに
他人の家で働くなんて。
松下幸之助さんがこどものころ
奉公にでて苦労されたとか。この時代の
子供たちは、家が貧しいと
奉公に出されます。
特に兄弟が多いとよけいです。
うちの祖父も奉公に出されました。
字も読めないのでいじめられたり
馬鹿にされたり、だまされたりと
いやなことばかりだったといいます。
では、逆に字もそろばんも出来れば
いいんだと思って、勉強したそうです。
それも、こっそりと・・・・・。
しっかり仕事をして自分の時間で
勉強をします。
おかげで睡眠時間が少なくて辛かったと
のことでした。
花もそうなるのでしょうか?
東京の女学校どころではないでは
ないですか。
それより、この危機・・・・脱出できるので
しょうか??
