とんだごちそう1
藤井がめいこの元にやってきた。
悠太郎の情報だった。
藤井の満州から帰ってきた
知り合いの話だと、終戦後満州で
悠太郎を見たという。
眉毛の濃い身長のある男性だったので
西門君だという。
めいこは、その話を聴いて
静とともに、喜んだ。
しかし、藤井はそのご、悠太郎は
抑留されたらしいという。
めいこは、驚いたが、「生きているには
間違いないから自分はここでまっていたら
いいんだ」と、いう。希望が見えた。
昭和22年三月。めいこは復員列車がつくたびに
悠太郎を探しに行った。
ある日の朝餉。泰介がいう。
「ほな、いただきます。」
四月から復学をするという泰介。
尋ね人の仕事は次第に減っていく。
ちょっと、復学の件も迷うところだった。
静は、アメリカが子供のためのホームという
ものを作ったと話をした。
泰介は、めいこのまえでアメリカの話を
したらあかんと、合図を静に送った。
静は、気がついてラジオでも聞こかと
いった。
ラジオをつけるとアナウンサーが「グレンミラーの
ギンザの・・」と曲名を言う。
「ギンザ・・やて・・(笑)」
ところが流れてきたのはアメリカンパトロール
だった。
静は慌てて、消そうとした。
が、ボリュームのほうをまわしたので
かなり大きな音になった。
泰介は、急いで立ち上がって消した。
二人はめいこを見た。
不機嫌そうに食べていた。
泰介は話を変えようとして
今日の新聞を見せて
「阿呆の仏が面白かった」と
いう。室井の書き下ろしの小節
である。
「このお富士って主人公、あほすぎていらいらするわ
こんな人いるわけないやろ」、とめいこはいった。
阿呆の仏は、室井がめいこをネタにして
書いたものだった。
うま介の店。
希子、室井、うま介がいる。
源太は泰介の話を聴いている。
つまり、泰介は復学について悩んでいるのだ。
「ほんまのところ、おまえはどうしたいんや?」
「そっちの仕事は完全に片がついたわけではないし
最初はお父さんが帰ってくるまでと思ってたのですけど。」
「お前の仕事はアメリカさんとかかわっているし」、な。
泰介はため息をつきながら、「僕がいることで
ぴりぴりさせているところもあるきがして・・・。
なにか抑留のことで分かったことありますか?」
と泰介は希子に聞いた。
「相変わらず、ようわからん状態で・・・。」
と希子は言う。
うま介も、心配そうだった。
室井はあっけらかんとしていった。
「まぁ・・・どっかであきらめないといけない
日が来るのかもね~~~~~。」
「おまえ・・ほんまにしばくぞぉ~~」
と、源太が怒鳴る。
「だってさ、来ない人を待って待って
人生を棒にふるってもったいない話じゃない??
明日に向かわなきゃね。
あははは・・・明日に向かわなきゃね?あはははは」
笑いながら店から出て行った。
源太が言った。
「そや、あいつそろそろきいついているか?
室井さんにねたにされていること。」
泰介が答える。
「まったくの他人事ですね。」
「阿呆やな・・・相変わらず。」
まぁそこは阿呆の仏ですから。
めいこはそのころ、子供たちに
炊き出しをしていた。
その通りを子供と一緒に歩いていく
夫婦の姿に、ふと手が止まった。
「おばちゃん、どうしたん?」
子供がきいた。
「おばちゃんとこのおっちゃん、まだ
帰ってきてないんや。」
「え?まだ?
それって生きてはるん?」
「生きてるのに決っているヤンか!!」
ーこの年、アメリカの救済物資で小学校で
休職が始まりました。
ー戦災孤児を引き取るアメリカ人夫婦もいて
めいことしてはアメリカに良いところもあることは
わかっているが、活男のことを思えば
やはり許すことは出来ないと思った。
泰介はあるアメリカ人夫婦に戦災孤児の
少年を紹介した。
「コンニチワ~~」
「こんにちわ。。」
「オ名前ハ?」とアメリカ人夫婦。
子供は緊張している。
さて、蔵にきた室井は有頂天になっていた。
そして来週、蔵の座敷を借りたいとめいこにいう。
二人で合いたい人がいるらしい。
どうやら、ファンと言うが、若い女性があいて
らしい。
静は、「あんた逢引をするんやろ?」と
室井を攻め口調で言う。
「桜子はどうするん?」とめいこが聞く。
「二年近くにもなるしさ~~おたがい新しい人生を
さぁ~~」
「新しいって・・・」静はあきれた。
この人です。といって写真を見せる室井。
調子に乗っている。
ところがすごく、きれいな人だった。
「もったいない!!」と静は言った。
こちらは事務所。
「コウスケ?イクツ?」
泰介の事務所でのアメリカ人と
孤児の対面である。
泰介は
「テン、イヤーズ、オールド」
と、言った。
そこへ、めいこが「電話を貸して!!」
と飛び込んできた。
泰介はあわてて、アメリカ人夫婦を
つれて、「外へ出ましょうか?」といって
子供とともに、外へ移動した。
めいこは、東京の桜子に電話をした。
室井の一件である。
「いいの?すごくきれいな人だったけど。」
「あら~~いいじゃない。」
桜子は驚かない。
「あやめちゃんのこととか生活は
どうなるの?」と聞くが、
「ここは実家だからね~~~」と桜子は
悠々自適である。
「ま、よろしくいっといて~~」といって
さっさと電話をきった。
「ん~~~しらないからね~~。」
と、めいこは怒った。
家に帰ると諸岡家が来ていた。
「どうやった?」と、静が桜子の様子を聞く。
「どうでもいいみたい・・・」というと
「人の気持は変わるからね~~」と静。
大吉をあいてに野球のボールで
あそぶ、ふ久と諸岡たち。
めいこは「変わったな~~」とふ久にいう。
「あれほど、勉強が好きだったのに
いまはしっかりお母さんをしている。」
「子供は飽きない、おもしろい」とふ久。
「勉強はどうするの?」と聞く。
「アメリカのおかげで帝大にも女子が入れる
ようになったという」が、
「もうその気力はない」とふ久。
「大ちゃんに上げてしまったのかな?」
「そうかもしれない」とふ久。
ーけど、なんかさみしいね。あのふ久はもう
どこにもいないのかね?戦争と同時にどこかへ・・
悠太郎への日記には、『何もかも変わったけど
わたしはいままでのままです』と書いた。
さて、室井の逢引の日。
初めての服を着て葉巻を吸いながら
室井はやってきた。
なんだか、おしゃれしてかっこつけすぎ
で気取りすぎだった。
「やる気が服を着ている」とめいこは気持悪くなった。
ファンレターからみると彼女さんは教養のアルひとだと
室井は言う。
「阿呆の仏」はまさに先生の集大成と呼ぶに
ふさわしい・・とレターにあった。
わはははと笑いながら言う室井。
あきれ返るめいこ。
そこにやってきたのは、あの、きれいな
女性ファンだった。
****************
昭和22年・・・ほぉ~~復員列車か。
なかなか、戦後の復興は終わらない。
泰介の仕事も軌道に乗って
子供たちを救っている。
ふ久もしっかり母親となった感がする。
室井などは検閲廃止で
うれっこ小説家になった。
今週、最終週というので、話はとんとんと
進むだろうと思う。
ひとりひとりの状況がわかるだろう。
悠太郎を待つめいこの日常も
どんどん変わっていくだろう。
おそらく・・・悠太郎はかえって来るでしょうね。
それから、めいこの料理が食べたいと
ねがうモリス大尉はどうなるか?
今週はどんな料理がでてくるか?
楽しみですね~~~。
