チョッコレイトな開戦4
倉田の援助で西門家に表札が上がる。
バラックではあるが家が一軒建ったのだった。
そして蔵を改造してお座敷を作る工事中
だった。
静は職人にお茶をだして、一服してください
と呼びかける。
大村も楽しそうに働いている。
材料の少ない時代に藤井ががんばり
木材が手に入り助かったとのこと。
そこへ諸岡がガラスができたと
いってやってくる。
「発注ありがとうございます」と
大村に言う。
「偉い仕事が早いやんか。」
屋根に組み込む硝子らしい。
「ようできてる」と大村。
めいこは、大八車を引いて
帰ってくる。「誰か荷物おろすの
てつどうてぇ~~~~」
お座敷に必要な食器や座布団
畳まで、倉田たちの口利きでお古を
わけてもらった。
「こら助かりますわ~~」と大村。
「お古は一目瞭然やけどな」と静。
「あるだけでたいした贅沢です」よとめいこ。
また空になった大八車を引いてでかける。
闇市にいろいろ頼んでいるらしい。
めいこは元気で働く。
ーやるとなったら考えが膨らむもの。
楽しくなってきためいこでしたが・・・
アメリカに対する嫌悪感は以前のままでした。
めいこが角を曲がるとアメリカ兵が
チョコレートを子供たちに投げていた。
子供たちはチョコレートなどと
いって喜んで拾っている。
めいこは怒ってアメリカ兵に言った。
「ちょっとあんた。投げるなと何べん言うたら
わかるんや!!」
「Hi....Haii~~~」
といって、めいこにチョコレートを渡す。
めいこは、「あほなんか!!!」と叫ぶ。
アメリカ兵は「Aho nannka・・・」とまねる。
「Please・・・」といってチョコを渡す。
「いらんいうて・・・もうぉぉぉ」
頭に来るめいこだった。
闇市の事務所前で源太とうま介が
話しをしていた。
室井もいた。
「そんなにキイつかうことか?」
と源太が言う。
うま介は
「めいこちゃん、アメリカのものやからって
チョコレート食べヘンやろ?
あのめいこちゃんがやで???
かっちゃんのこともあるし・・・僕
かっちゃんと仲良かったし・・」
「やってられへんやろ?そんなこと
言い出したら・・」と源太が答える。
「なにがやってられへんの?」とめいこが
現れる。
「実はね・・・」と室井が話をしようとしたら
源太が、室井を突き飛ばした。
「あ、うま介さん・・・これあげる」といって
うま介にうま介にチョコを渡した。
めいこは、調味料やら薬味になる野菜やら
を頼んでいたのだった。
「ありがとう~~」とめいこは喜ぶ。
「なんだっけ?座敷牢?」と室井は聞く。
「蔵座敷!!!」
とめいこ。
「おじさんたちに料理をしてくれと言われたら
絶対いるのはこういうものやし」と
めいこはいう。
外で大きな音がした。
泰介が
荷物を運ぼうとして落としてしまった
泰介がにこっと笑った。
荷物の中にアメリカ製の粉ミルクがあった。
ふ久も一緒だった。
家に帰っためいこたち。
大吉はよくミルクを飲む。
しかし、ふ久はお乳が出ないので
粉ミルクを使っている。
それがアメリカ製なので面白くない
めいこだった。
「今に目が青くなるわ・・・」といやごとを言う
めいこだった。
泰介はアメリカからの援助物資を
運ぶ手伝いもしている。
子供の保護をしている団体が
泰介の活動を知ってお互い協力を
しようといってくれてやっている。
泰介は母に話した。
「正直に言うと戦災孤児に対する手当とか
考え方とかアメリカのほうが格段に上だ」という。
「孤児を養子に欲しいというアメリカ人も
いる」という。
「援助がないとやっていけないのは現実。
アメリカには見習う点がある」と
言い切った。
複雑なめいこである。
「なんや情けないな~~大和魂は
どこへいったんや?」
放送局では希子がいい話に驚いた。
自由に取材活動をしてもいいというのだ。
新聞の内容を放送するだけでは
意味がないという。
民意の反映のある放送をとアメリカ側も
いっているらしい。
が。。検閲は今までどおりである。
それでも一歩前進と喜んだ。
そこへ、希子に話があると
モリスの部下がやってきて
希子はモリスの部屋へ行く。
すると、モリスは、あのお弁当屋は
どうしているかと聞く。
希子は知らぬ存ぜぬで通そうとする。
あのおにぎりがおいしかったらしく
もう一度食べたいというのだが
希子はいつ来るのかわからないと
言い切る。
「君の義理の姉だろう?何とかしてほしい」と
頼まれた。
その夜、希子はめいこに、その話をする。
とんでもないと断るめいこだった。
希子もめいこがアメリカ嫌いを知っている。
「嫌や~~そんなの絶対嫌や~~
希子ちゃんもアメリカ人は
信用できないというてたやん」
「信用してないけど逆らうとめんどうな
ことになるので・・・
お願いできませんか???」
希子もつらいのである。
めいこは、腹をくくった。
いつもの竹の皮で包んだ
お弁当を作った。
放送局のロビーで机を置いて
きっちりと弁当を売ることに
した。
そして、日本風・・・お結び弁当
一個10円
アメリカ風・・Omusubi弁当
100yen・・・と書いた紙をはった。
やるからにはガンガンやらねばと思った。
希子は驚き
川久保は
「大きく出はりましたね・・・」とあきれた。
ーやるからにはアメリカからガンガンふんだくって
やろうね?めいこ!!
「材料費かかっているし」
「中身ちがうん?」
「おんなじやったら文句言われるから・・」
そこへモリスがやってきた。
「Oh~~Omusubi!!!」
指をさしたほうは日本風だったので
「アメリカはこっち、こっち!!!」
とめいこはいう。
「Oh~
I see!」
モリスはお弁当を一個かった。
そしてそばの椅子に座って食べた。
そこへ顔なじみの職員たちが
やってきた。
「お姉さん僕にも一個ください。」
「おおきに~~」「ください~~」
「おおきに~~」
すると突然
「Yami!!!」
さっきからおいしそうに食べていた
モリスが言う。
「え??」
めいこは驚いて荷物を隠そうをした。
希子は、「あれは、おいしいという意味ですよ。」
といった。
「Yamiっておいしいってことなの?」
めいこは驚いた。
職員ばかりでなくアメリカ人まで大勢が
お弁当を楽しんだ。
ーなんだかかわいいとこがあるね。
アメリカ人も・・・。
おいしい顔っていうのは
アメリカ人も日本人も変わらないね。
めいこはその夜そっと新聞紙に
つつんだチョコレイトをみた。
そして食べてみようとしたが・・・
二人が帰ってくるまでがまんしようと
思った。
それを泰介が見ていた。
そんなことをしているうちに・・いよいよ
蔵座敷ができあがったのでございます。
入り口には
手すりのついた階段があった・・・・。
めいこはうれしそうに手を置いた。
**************
そうですね・・・むかつくとはいえ
戦争は個人の恨みつらみの都合で
やっているのではないから
終戦と言われたら終戦。
昨日の敵は今日の仲間なのかなんなのか・・・
ここでも宮本先生の言葉が
浮かびます。
どんな人も生きている限りは食べるのです。
どんなに違うと言ってもその部分は同じです。
わかっているけど
違うんじゃないかと思うめいこ。
おいしい顔は、どこの国でも同じ
なのですがね。何しろ悠太郎と
活男の件があるので、めいこは
かたくなになっています。
大きく開く蔵座敷で・・こんどはどんな
活躍をするのでしょうか。
