私の大豆な男の子2
「わたし、諸岡君の子供が生みたい。」
「えええ~~そ、それは・・・・・」驚く諸岡。
「うちに子供生まれるのはいや?」
「いや、そんなことはないです・・そんなことは・・」
「ほなそうさせて。」
「ちょっと待ってください。
自分は出征するんですよ。せやから
自分は・・」
家の前のことである。
キャッチボールをしていた
泰介も驚いてちかづくが
そこへ悠太郎が帰ってくる。
「あ、おとうさん・・・」泰介が
声をかける。
「せやから・・・・・・」
ふ久がいいよどむ。
「お、泰介・・・」久しぶりの息子に
悠太郎が答える。
しかし、ふ久の周りを気にしない
性格は確信の一言を発する。
「せやから結婚を一生できへんかも
しれへんやん。
うち、今・・諸岡君の
子供が生みたい!!」
悠太郎は驚きのあまりもっていたかばんをおとした。
「お父さん?」と泰介。
そして、悠太郎は凍りついた。
「・・・おかえりなさい・・・・」泰介はそういって、
うつむいた。
ふ久は何事もなかったかのように
諸岡を見つめた。
ちゃぶ台をはさんで悠太郎、諸岡
めいこ、ふ久、静、泰介、活男が
そろった。
悠太郎はいった。
「公衆の面前で
しかも女性からの求婚とは
いかがなものなんでしょうか。」
といった。
静は、「あんたもみんなの前で川で落ちたとき
求婚したんやてな。」とめいこに言った。
「あははは・・・」笑うしかないめいこ。
悠太郎はお構いなくつづける。
「こういうことは手順と言うものがあります。
つきおうて、お互いの気持を確かめてから
その先に求婚がアルんやろ?」
「うん?」となんのことやらとめいこ。
「ナットウの夢見てすぐ求婚きめたん?」と、静。
うるさい外野に
「余計なこといわないでください!!!」と悠太郎。
「諸岡君のことは三年前から知っているし
一緒にご飯食べているし
さっき気持を確かめて。うちはおとうちゃんの
言うとおりにしている・・・けど。」とふ久。
悠太郎は、狼狽する。
ふ久は続けた。
「・・けど、
何で結婚の話になってんの?」
悠太郎は、驚いて
「それはお前が言い出したんだろうが。」
という。
ふ久は「うちは、子供を生みたいだけやで。」と
いった。
さすがに、めいこは慌てた。
「え??ちょっと、まってふ久・・。」
静も、「ちょっと、結婚せんと子供生むきなん?」
と、聞く。
「結婚はしてもセンでもええ。」あっけらかんと
していう。
悠太郎は度肝を抜かれた。
「お、おまえ・・・・・。」
静は、「結婚はしたほうが良いけど・・」
といいながら、球を投げる格好をしながら
「諸岡君の子はええなぁ~~」という。
「うんうん、」とめいこも賛成する。
「僕もええんと違うかなって」
と泰介も投げる格好をする。
「僕も、目指せ甲子園やなぁ~」と活男。
「甲子園かぁ~~~」とめいこも投げる格好を
したとたん、タンスに手をぶつける。
「あ??」(これ、杏さんの計算違いの演技?)
静は、「あんたは・・・」といわんばかりにめいこの
肩をたたこうとしたら(これ宮崎さんのアドりブ?)
悠太郎がちゃぶ台をたたいて怒った。
「男が生まれるとは限らんやろ!!!!」
のんきな家族に巻き込まれまいと、悠太郎頑張る。
「あの・・・おじさん。自分はもうすぐおらんようになる身
ですし、相手が不幸になるような結婚はする気は
ありませんので。」という。
「分かってはるならそれでええです。
な?ふ久。そういうことやから、
あきらめなさい。」
「うちは子供がおらんほうが不幸せなんやけど。」
そういって、諸岡を見る。
「自分は・・・
自分はふ久さんを
そういう目でみることは
できませんから・・・。
すみません・・・。」
ふ久は、その瞬間・・・フラレタのだった。
「そう・・なんか・・・・。」
静もがっかりする。
めいこ、・・・うつむく。
そして悠太郎を見る。
ー東京のお父ちゃんみたいだね。
めいこのとき大吾もこんなふうに反対したな。
諸岡が帰るので
見送りにでる泰介。
「なんか・・・すみませんでした・・・。
あんなこといいだすとは・・・。」
「いやぁ~~けど・・
うれしかったわ。」
「え?」
「ふ久さんがどういうつもりか分からんけど
行く前にごっつうええ思い出を
もろたわ・・・。」
泰介は、じっと諸岡を見た。
その頃悠太郎は部屋で、動物園の熊状態で
行ったりきたりをしていた。
めいこは防空頭巾を縫いながら
それをじっとみていた。
「なんなんですか?
さっきから真剣みに欠ける態度は!!」
悠太郎はめいこののんきさに怒った。
なるほど・・・あのときの東京のお父さんとお母さん
のようだ。
「欠けてました?」
悠太郎はふ久のいったことを真剣に
怒っていた。
「出征したい人と結婚したいなんて・・・と。
これはゆゆしきことだ」と怒っているのに
めいこは、動じていないので
悠太郎は、どういうことだ?と聞いたのだった。
めいこは、ほほえましく思うという。
なにしろ、今まで人に興味を持たなかった
ふ久が始めて興味を持ったのだ。
めいこはこれはいい機会だと
思った。
が・・悠太郎は、ありえないといった。
めいこは「今後、ふ久が人に興味を持つことは
あるのでしょうか?」とついに乗り気を出した。
悠太郎は頑固として反論する。
「ふ久が・・・
あの浮世離れした子が
こどもをたべさせていけれると思いますか??」
「それは・・・・そうですね・・」めいこは
納得してしまった。
「とにかく収まったんですから
寝た子は起こさないでくださいよ。」
といった。
ふ久は、その夜まんじりともせずに
夜明けを迎えた。
朝餉はなにやらギクシャクしていた。
ーそうなんだよね~。事情はどうあれ、かわいそうに。
思いっきりお断りされたんだよね。ふ久は。
泰介は、「やっぱり家はええなぁ~~~」
と盛り上げようとする。
「そうやなぁ~」と
まわりも協力する。
「これだけ食べるもの集めるのは
大変やったでしょうね。」と泰介がいう。
だれも乗らないので
「なぁ、おかあちゃん?」と泰介はめいこに聞く。
めいこは、「え??ええ、ええ。」とあやふや
な答え方をした。
ふ久は、「さっきからすごい
圧力を感じるンやけど・・・」という。
静は、「そやかてあないな断り方・・・をするなんて。
女として侮辱されたんやで」と悔しそうに言う。
「そんなこというてもしゃーないやんか。」とふ久。
悠太郎は、「断られて幸いですよ」、とひとこと
ぶつっという。
ふ久はおつゆをすする。
それをみてめいこは、なんだかなぁ~~~
という、表情をした。
うま介の店でそのことを桜子にはなすと
あんたのときのことを思い出すという。
「そうなのよ、懐かしいんだか、照れくさいんだか。」
と笑う。
桜子は冷静に、「諸岡君は出征するから
お断りしたのかな?」と聞く。
「そのへんはまったく分からないのよね。」
「ツーテンカクはどういっているの?」
「子供を育てられるんかって。」
桜子は、それは大丈夫ではないかと
いう。そういうものだと。
またふ久のことはこうだと決めたら
てこでも動かないじゃない
という。
自分で決めたことなら案外自分で
やるんじゃないかな、とふ久に理解を
しめした。
「そうね・・・・
自分のやりたいことは絶対譲らないから・・・」
といってめいこは、不安を感じはっとした。
「なに?」
「なんだか、すっごい危険な感じがしてきた。」
そういって、めいこは両手で
顔をおおった。
その予感は・・・・・
・・・・・・・・・
あたった・・・。
諸岡家の彼の部屋でのことだ。
ふ久がやってきた。昨日の件である。
「昨日、お断りしたはずですけど・・・」と
諸岡は困ったように言う。
「関係ない」ふ久はきっぱりと
いった。
「え?」
困惑する諸岡。
「諸岡君の気持は突き詰めるとどうでもええ。」
合理的な結論である。
そういってふ久は諸岡にむきあった。
「そんな風に見られヘンのは不安要素やけど。
ま、そこは実行や。」
そういって、座って上着のボタンを自分ではずし
はじめた。
「ふ久さん・・・!!いけません!!!」
と・・・ふ久のそばにいってその手をとめようと
したのだが・・・・・
これが飛んで火にいる夏の虫だった。
諸岡家の階下では、このタイミングで
泰介が現れた。
母のキヨが、さきほどお姉さんがこられて
部屋で二人でいるという。
泰介は驚きいやな予感を感じた。
そして、部屋の前に行くと
なにやら声が聞こえる。
諸岡の悲鳴のような??
「ふ久さん~~やめてください!!!」
泰介はあわてて声をかけた。
「先輩???西門です。
あけますよ!!!」
いやな予感がしたのでふすまを開けると
そこで見たものとは・・・
▽※■★△※■◎★
泰介はびっくりした!!!
その夜、めいこは悠太郎に何とか
自分も頑張るからと諸岡もいいこだから
許して欲しいという。
「嫁ぎ先にずかずかあがりこむつもりですか?」
「そこは、まぁ~~あの・・泰介から聞く限り
諸岡君のお母さんと私ってうまがあいそうだし」
「あなたとあっても仕方ないじゃないですか!」
「あんないい子はなかなかいないし
もう少し冷静になってください。」
「僕は何も感情的になってないです!!!
(と怒鳴って言う)
しかも、数ヶ月しかいない!その後どうなるか
わからない・・!勉学も出来ない・・!!」
「そこは何とか私が・・・」
それでも悠太郎は反対する。
「こんな結婚を認めるなんて
親のすることではありません。親の
仕事を放棄したのも同じです。」
「親の仕事???」
めいこはそういったが。
そのころふ久は自分の部屋に帰って
来ていた。そして電気もつけずに
呆然としていた。
「娘の気持を握りつぶすのが
親の仕事なんですか?」
「気持なんて、諸岡君が出征することになって
その気になっただけでしょ。
単なる状況に流されただけだ」と悠太郎は冷静だ。
二人の話がこう着状態になった時だった。
泰介が部屋の外から声をかけた。
「ちょっとええ?」と言った。
「ええよ・・・」と悠太郎。
泰介はふすまを開けて
二人の前で正座して
いった。
「・・・おとうさん、おかあさん・・・これから
僕が見てきたことを話します。」
「え?」と悠太郎は驚いた。
「見たまま話すから、最後まで怒らんと
聞くと約束してください。」
そういって頭を下げた。
「ああ・・・」と悠太郎は言った。
泰介は諸岡さんのところへいったという。
諸岡さんはまんざらではないのではと思って
本当の気持を聞きに言ったという。
「すると・・・」
めいこと悠太郎は・・じっと聞いていた。
「すると、ねえちゃんが・・・・・」
「・・・・?」
「・・・・・・・?」
「夜這いしとった・・・」
「△※★◆◎→□※!!!!!」
声もなく
驚く
ふたり・・・・・・・・
・・・・だった。
***************
いやぁ~~~笑った笑った!!
ふ久はすごい!!
不安とか
かっこ悪いとか
世間がどうだとか
関係ないなんて
すごい!!!
この一途さ・・・・まけました!!
こういう二人がいても良いけど
幸せとは縁遠い時代ですから。
どうなんでしょうね?
生まれた子供に対する責任は?
ペットやないのだし・・。
いや、これは明日のお話を待ったほうが
いいかもしれない。
ふ久の本当の思いを
聞きたいではないですか。
