私の大豆な男の子1

防火改修課への異動・・・

悠太郎への辞令である。

本土の空襲に備えて市中の
防火、防災にかかわる仕事だという。

空襲時の火事や延焼から
人を守る仕事だと悠太郎は理解した。

めいこは、「雲の上のお母さんがくれはった
仕事かもしれませんね・・。」という。

「これは僕がやる仕事だと思います。」
きっぱりと悠太郎は言った。

ーですが、悠太郎はこの防火改修が
実際何を示しているのか
何も気づいていませんでした・・・。

ある日のこと防火改修の仕事として
立ち退きの地域に住んでいる
住民代表を市役所の一室に
集めて、説明会を開いた。

すると、住民から
半世紀もあそこにすんでいるんだとか

商売が出来なくなるどうしてくれるとか
死活問題だ、死ねというのかとか・・・

立ち退きに対して反対意見が出た。

悠太郎はじっと聞いていたが
あまりにも、住民代表が、反対するので

思わず、机をドンとたたいた。

「空襲があったら、どっちにしても
死ぬのですよ。
特に変電所の下は爆撃に対象になるし
切断された電線から
電気による事故火災が起きる可能性が
大きくて
みんな死ぬでしょう。」

住民代表は承諾書にサインをした。

部下は「課長はこのようなことは
お上手ですよね」といった。

「やらんと、みんな死ぬでしょう。」

昭和19年、4月のことだった。

大阪では空襲に備えて建物疎開が
行われた。
つまり、立ち退きですね・・・。

一方ではお国の食物大増産の
掛け声があって、
公園やら歩道やらで
野菜などが作られていた。

残ったものは男も女も子供も
勤労奉仕で軍需工場に借り出され
働きづめ。
つまり、学校は勉強するところでは
なくなっていた。

西門家で。
めいこは台所にいた。
そこへ活男が帰ってきた。
一緒に夕飯を作ろうと
声をかけると

活男は「疲れているから
ええわ、」といった。
工場がきつくてとのことだった。

めいこはそうかと納得した。

そのころの
主婦は今日のご飯で悩んでいた。

「これなんやろ?」と米のような雑穀のような
配給。公民館の婦人会メンバーは
おそらく食べられるだろうといった。

「大豆の粉は、使いにくい」とある婦人が
いった。
「小麦粉に混ぜるとお肉のようになります」と
めいこはいう。
肉にはならないけど、お肉のような栄養素
だということでしょうね。

ある婦人はお先に失礼といって先に帰って
いった。

どうしたものかと聞くと高山は
どうやら、娘さんに縁談があったらしくて
という。
男がどんどん少なくなっていっているので
あせっているらしい、とのことだった。

台所でジャガイモを煮ようとして
つついたが、なにしろエネルギー節約
のおり、炭もままならないとき
水で柔らかくするらしいが

うまくいかない。

そこへふ久が帰ってくる。
断熱が不十分や、設備のつくりが雑と
いう。(ちょっと、よくわかりません)

どうすればいいのよと
ふ久にきくめいこ。

相変わらず不思議ちゃんである。

そこへ静がごきげんさんで帰ってくる。

静がごきげんなのは・・・・・・

夕餉のことだった。
ふ久に縁談があるという。

「材木問屋の次男坊や。
ごっつい男前やで・・・」

と静は喜んでいった。

みんな、あぜん????とした。

「お母さんひ孫を抱きたくなったんですか」
と川久保。

「とにかくごっつい男前やねん~~~~」

と写真を持ってみんなにみせた。

みんなは

「え????」

「これ???」

と、変な顔をするので

静は怒って「あんたら目がおかしいのと違うか」
という。

写真に写っていたのは丸いめがねをかけて
国民服に身を包んだもっさりとした男だった。

「この人どう思う?」

静はふ久にきいた。

「地下鉄に似ている・・・」

どういう意味やろ???

そこで悠太郎はひと言。

「ふ久は嫁に行かんでええと思います。
ふ久は勉強がしたいのだから
家庭に入ったらいざ勉学をしたい状況になった時
うごけへんでしょ??」

「そんときはそんとき」と静。

「大体この人兵隊と違うのですか?」と悠太郎。

ふ久はだまって部屋に帰っていった。

夕食後、悠太郎は、仕事の立ち退きの地図を見て
うなりまくった。
また仕事で悩んでいるのね、この人・・・
と私は思いましたね。

静は、「あんたら・・・」

めいこと希子にいった。

「ふ久のことどう思っているの?」と・・・いった。

「あいての人が気の毒です。
あのこは人に興味がないですから
旦那様がなにをいうても横でずっと
計算をしているのですよ・・・」とめいこ。

静は、「結婚したら変わる」とのんきなことをいう。

希子は「ふ久ちゃんて・・・
気になる人はいるのかな???」
と・・・いう。

静とめい子は

「え??」

と思った。

そこで、三人はふ久の部屋に行って
それを聞いた。

「恋・・・ってしたことある?」

三人とも、直接的な表現が
できず、やっとの思いで
静が恋・・ということばをいった。

「・・・・恋??」

しばらく考えていたふ久は
みんなの前にすわった。

「恋の必要条件て何?」

「かーっと熱くなってこの男や!」と静。

「じんわりきて、この人や、では?」と希子

「なんとなく気になって気になって・・と
ちゃいます?」とめいこ。

ふ久はますますわからない。

静は「おらんときにどうしているやろ?」と
考えてしまうような・・・

そうそうとあとの二人。

「そういうひとおらんか?」

三人はふ久に聞く。

ふ久はじっと考えて

「竹元さん・・・」といった。

「まぁ、あの人は気になるわな~~」と静。
「どこにいるのでしょうか?」とめいこ。
「この国から独立するというて
書置き残して大学をやめて
しまったのでしょう?」と希子。

ふ久はじっと考えているが
どうなんだろう???

翌日のことである。

おやつをふるまったあと
子供たちは「おおきに、ごちそうさん」と

いって、「今日もおいしかったで~~」
「明日も来るからな。」
「はよ、明日にならんヘンかな?」
「明日はなんやろな?」

と口々に言いながら帰って行く。

めいこは、後姿につぶやいた。
「たまにはこんでええでぇ~~~~」

すると、「偉いこと人数増えてんなぁ~~」
と、高校にかよう泰介が帰ってくる。

ー泰介は高校二年生、京都で
寮生活をしていました。

「泰介!」とめいこは驚いた。

泰介は連絡もしないで帰ってきたのである。

「もっとびっくりすることがある。」
と泰介は言う。

そこに、諸岡がやってきていたのだ。

で・・・ふ久が帰ってきた。

「ふ久さん、お久しぶりです・・」と
諸岡は挨拶をした。

「まあ!」とめいこはうれしそうにいって
挨拶をした。

ふ久は黙って挨拶をした(のだろう?)

「お帰り~~」とめいこと泰介は言った。

めいこは、諸岡さんとは
牛カツ以来やなと
喜んだ。

「その時のことを母に言うと
大変怒られたので」
といって、おそうめんを持ってきてくれた。

めいこは、うれしくなった。

そこへ活男が帰ってきた。

明るく挨拶をする活男。

めいこは、二人に座るように言った。

ふ久はじっと諸岡を見た。
諸岡は、あの時の言葉を思い出した。

『二人の青春はうちの青春やから』

めいこは泰介に今日は活男の部屋に泊まる
ようにいった。

活男は諸岡に聞いた。

「今日はどうしはったんですか?」

諸岡は

「あ、実は・・・」といいよどんだ。

ふ久は彼は「西門に会いに来た」と
いうセリフをいうはずだと思った。

「先日、徴兵検査を終えまして・・・
出征することになると思います。」

「最後にあいさつに来はったんや。」と泰介。

ふ久は驚いた(といっても多少の表情の差である)

めいこは、

「それは・・・・」

といいよどんで

「おめでとうございます。」

と、形式的に言った。

諸岡は、その空気を読んで

「こうなったら手りゅう弾・・
剛速球でなげこんできます」

と明るくいったが、

空気は重たいままだった。

「今日はご飯食べていく?
というてもなんもごちそうできないけど・・。」
とめいこ。

「はい、お相伴させてもらって
いいですか?」

めいこは、了解した。

が、ふ久は・・・
固い表情のままだった。

そして、部屋に帰って悠太郎ゆずりの
考えるポーズを取った。

そのころ泰助と諸岡は
キャッチボールをあの時のように
路地でやっていた。

ふ久はあの時彼らをじっとみていた
ことを思い出した。

ーもしかしたらあの楽しい時間は
もう、戻ってこないかもしれないね・・・。

そして、意を決したような顔つきになった。

ー二人を見るのはこれっきりになるかもしれないね。

ふ久はあの時のようにじっと
門扉の上り口からみていた。

そして、その門扉を超えて
ふ久は諸岡にちかづいた。

諸岡は驚いて
「あ、あ・・・の
投げてみますか?」

とボールを渡そうとした。

(なんでやねん~~。)

ふ久は諸岡に言った。

「諸岡君、うち
諸岡君を複製したい。」

「複製って???」

「諸岡君の子供が産みたい。」

諸岡は・・・・

・・?・・・?

・・・・・・・!!

やっとわかって

「ええええ?????」

と驚いた。

泰介も・・・!!!

しかし

ふ久は

微動だにしない表情のまま

じっと・・・

諸岡を見ていた。

**************

あんた、複製って・・・・思い通りに行くかいな。
ふ久にそっくりだったらどうする気よ!!

しかも・・・出征するのよ。
帰ってこないかもしれヘンのよ。

つまり、これがふ久の恋でした。

昭和19年・・・
激化する戦争で
働き盛りの男たちは
戦場へ。
諸岡のような若い命も
未来を閉ざして戦争に駆り出されて
しまうご時勢・・・。

ほんとうに戦争って

はじめた人に何の責任もないというのが
おかしい。
全員、デスバイハンギング!では???

で、なにかあったら国のメンツをかけて
戦争へ持ち込もうとする為政者が
いつの時代も、今の時代も
います。

平和の祭典オリンピックが行われていますが
政治なしで、取引も損得もなしで
力の限り戦うスポーツの祭典は
すばらしいイベントです。
先週の金曜日の朝以来
男子フィギアの羽生結弦君が
SPで101点を出して
あのパリの散歩道が
すばらしいと、夢中になって
しかし、金メダルはどうだ???
と思ったけど、これもまた・・・
フリーがすばらしくて・・
しかも・・かわいらしくて・・・・・あはははは。

で、ごちそうさんどころではなく
なっていました。

女子はいかがでしょうか?

ではなく、ふ久の幸せとは???

なんなんでしょうか?