貧すればうどんす6

室井のおでんとポトフのおなべの
話を聞いためいこは

頭の中に

電撃が走った・・・。

「同じ鍋や・・・・・」

そのころ、その室井の朗読を
放送したラジオ局では

情報局の役人が、室井を
主義者ではないかと
尋問していた。

そしてこれは非国民のやることだ
ときめつけた。

川久保は、「あなたも寝てはった
やなですか。それは職務上
よろしくないですよね・・・。」
という。

「それは今問題ではない」と
どなる。

川久保は「子供の番組だし
脚本は上の人も見てないと思うし
騒ぎ立てることは
事を荒立てることはないのでは」という。

役人は、非国民的内容だと
怒る。

希子は「どこが非国民ですか」と聞く。

「海の中で昆布のお出しは
無限に広がっているのですよ。
一件引き分けのように見せながらも
昆布はすべてを包み込んでいるのです。
これはひそかなおでん皇国の大勝利の
物語ではないですか。
世界が大日本帝国を中心にまとまる
これこそ八方一宇の精神!
だからこそどうしても伝えたかったんですよ。

ね???」

と希子は室井に近寄って言った。

役人は

「ほんとうに主義者ではないのか!!!」と
先ほどから黙っている室井に聞く。

「違います・・・」といって

「あの・・・」と

室井は立ち上がって役人のところへいき

「僕は軍国ものを書いていますし
称号だってもらっています。
大日本帝国万歳ですよ!!!!」

役人は認めざるを得ない。
室井は川久保と希子をみた。
小さくうなずいた。

室井がうま介の店に帰ってきた。
桜子、あやめ、うま介は
走りよる。

「よかったぁ~~戻ってきたぁ」
とうま介。

「大丈夫だった?
あんなことして・・・」と桜子。

「うけた??
笑った???」と室井がきく。

「え?」と桜子。

「まさかわらわすために
やってたの?」と、うま介。

「だって桜子ちゃん、泣いてたから・・。」

「そんな・・・」と桜子は
泣いてしまった。

「泣かないで・・あれ?
どうしたの??
桜子ちゃん???」

うま介とあやめは笑った。

そこへめい子が来た。
「うま介さん、仕事がない日とか
終わってからでも良いから
ここ貸してくれませんか?」

「え???」

何事かとうま介は思った。

婦人会の集会が終わったとき
めいこは提案をした。
「みんなで共同炊事をしませんか?
燃料の節約にもなりますし
たりない、余るという材料も
みんなが持ち寄ったら
その差もなくなるでしょうし・・・」と。

がやがやといいながらも、場所は
うま介の店を借りたことから
話は決った。

悠太郎の職場に元上司の藤井が来た。
「共同炊事??
「奥さんもスイキョやナ。
近所のおばちゃんそろい踏みやろ?
どんな地獄の一丁目や?」

「うちも結構なおばちゃんの
ような気がしますが。」

そういって二人は笑った。
職場は出征とか、軍の仕事とかで
人がいなくなっている。

「まぁ業務が一つ減りますから。」
「あのうわさ本当なん?」
「そのうち、発表になりますけど。」

めいこは小麦粉を出すことにした。
言いだしっぺなので
中心となる食材は
出さないと・・・と思ったのだ。

そこへ悠太郎が帰ってきた。
そして壷を出した。
「これ、今日僕宛に来たのですが
だれからなのか???」

めいこはその壷を見た。

いつぞや、悠太郎が怒らした竹元へ
手土産に持っていったにんにくの梅肉エキス
あえが入っていたものだ。
「あのとき、壷だけ取られて追い返された」と
いった。

悠太郎は、「そんなことをしたのですか」と驚いた。

壷の中はカレー粉だった。

さて、当日となった。
うま介の店で待つめいこ。
「誰がどれほど来てくれるかな・・・・」
と心配そうだった。

するとつぎつぎと
食材を持ってくる。
昆布、ねぎ・・・
かつお・・・・・・

そして、高山さんは炭をたくさん・・・・。

めいこはうれしくなった。

小麦粉でうどんを作った。

カレーうどんで、みんなであったまった。

大成功だった。

「キミかあのとんでもない話を作ったのは」
こちらではカレーうどんを食べながら
室井がおっちゃんたちに言われていた。

「あ、つい・・・」と室井。

「あはは、あきませんでした?」と希子。

「けしからんけど・・・
わろてもうたわ!あははは」とおっちゃん。

「実際苦情はあったの?」とおばちゃん。
「何件かありましたけど、みなさんすかっとしたのでは
ないですか?」

川久保が希子に言った。
「君が一番スカッとしてそうやったけど。」

「あははは
まあそうかもしれませんね~。」

めいこは緊張してうどんをすすっている
高山に近寄って言った。

「木炭 おおきに!助かりました。」

「これで・・・いけずは帳消しやで。」

「はい・・」

「けど、水かけたんはたまたまやったし
告げ口したんはうちと違うで。」

「え?」

「やり返されたら困ること
やるかいな・・・」

「ほな、高山さんも?」

高山はふと目をそらした。

「そうですよね!!!
そうでないと、あれほどの木炭は・・・・」

「あんたも声が大きいなぁ」

そういって高山はめいこの手をひっぱって
座らせた。

「あはは・・・」
「大変ですもんね~」
「そうや、そうや・・」

めいこと高山は仲直りできた。
それを悠太郎はうれしそうに見ていた。

「あったまるなぁ~~」

と静。

「ホンマですね~~」と悠太郎。

「水かけてしもてすみません~」とめいこ

「すみせんて、あんた・・うち風邪ひいてんで
わかってる?」

活男は空になった鍋を見て言った。

「これ・・・だれがだれにごちそうさんて
いうたらええんや?」

泰介も、あやめも、ふ久も・・・
どうなんだろう?という顔をする。

「では、みなさんで・・・」

一同、テーブルの上に置いた鍋に向かって
いった。

「ごちそうさんでしたっ!!!」

あははは・・・
みんないい笑顔だった。

翌日、めいこは子供たちに
おやつをふるまった。

「はいどうぞ。」

これなに?

「うどんをかりんとうみたいにして
カレー粉をまぶしたんや。」

「いただきます。」

「辛い!」

「でもうまい!!!」

「終わったな・・・」
とめいこは竹元から
返してもらった壺を片付けようとして
蓋の裏に付文があるのを見た。

あけると、竹元のメッセージが・・

悠太郎が自室で地下鉄の駅舎の写真を見て
いった。

「今日、地下鉄の工事が正式に中止に
なりました。」

「え?」とめいこ。

「資材が一切回ってこんようになってしまったので。」

「そうなんですか」

「限界でした。」

「あ、悠太郎さん、これ・・
カレー粉の蓋に張ってあったんです。」

悠太郎は手紙を開いた。

『これ以上、妥協の産物が増えなくて
結構なことだ。工事の中止はむしろ
祝福されるべきことだが

とりあえずは、カレーでも作ってもらえ。竹元』

「はい・・・。

そうさせてもらいました。」

翌日、悠太郎は市長に防火改修課の仕事を
言いつけられた。空襲に備えての
防災の仕事である。

一方、婦人会ではいつものように公民館で
配給の分配をした。

そこへ、一人の婦人が
「ちょっと、ちょっとこれみて~~」と
新聞を持ってきた。

「なに??」

とみんなで顔を突き合わせてみると
そこには・・・・

松島副会長さんの記事だった。

なんと『ミナミのごちそうさん』と
載っていた。

節米の知恵とか、子供におやつを配り
ごちそうさんと呼ばれていることとか
かかれていた。

「なぁ、もしかして、密告したのは
・・・・???」

と誰かが言った。

記事をのぞきこんでいた婦人会の
メンバーは口をそろえていった。

「こいつやぁ!!!!!!」

めいこは、額にしわを寄せて
怒った。

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良かったですね。
なにもかもうまくいって。

みんなでご飯を食べることの
大切さを感じました。

カレーうどん・・おいしそうでした。

いつぞやのあさいちで
上手に食べれない食べ物の二位か
三位だったと思います。

なぜか??

つるつるとすって最後の一口で
うどんがはねて、カレーのお汁が
飛び散るからです。

でどうすれば、上手に食べれるか?
の特集をしていました。

その特集通りに食べているのかと
みましたが、あまりわかりませんでした。

あのよくできたように見えるご婦人が密告???

おんなは怖い!!!

共同炊事もいいアイディだったし
室井さんもおとがめなしだったし・・

これからどんな展開になるので
しょうか???