ごちそうさんへの日々4

入院するために荷車に乗せられたふみ。
周りにはいい匂いがしていた。
さんまの焼けるにおいだった。

ふみが目を覚ました。
驚いた源太はさんまが焼けるにおいに
反応したのではと思って
あとで倍にして返すからと
いって、近くで七輪でさんまを焼いていた
ひとにいって、七輪ごと持ってきた。

炊事場では女性が
実りの秋や。これからぎょうさん、おいしいものが
でてくるわ。食べ物には力があるさかいナ。
そう・・・思わヘン?

めいこも希子も何気に聞いていたら
そこへ静が息を切って入ってきた。

「めいこさん・・・たたた・・・(大変?)」
そういいながら、外を指差した。

源太は「秋はこれやろ。これやな?」と
いいながら七輪から網ごとさんまを
もってふみに言った。

ふみはそれをじっと見ていた。

ふみは家族団らんの夕餉を
思い出していた。

子供たちが口々に

僕のを上げる
僕のも・・という。

さんまが好きなふみに
子供たちがすすめるのだった。

いいのよ、というが、亭主も
俺らもういいんだよな、といった。

「ホントさんまが好きだよね、おかあちゃん!

そんな場面を思い出していた。

もういいから食えよ、おかあちゃん、

食えよ、腹いっぱい・・」

泣きながらふみはさんまをかじった。

めいこはじっとみていた。

ふみは泣きつづけた。

「さんまは大したもんやな」
「はい。」

それから数日後だった。
あの地図を書いてくれた男性は
実は寿司職人だった。
みんなに寿司をふるまってくれた。

まぐろ、まぐろという声。

ふみもおいしそうに食べ得いる。

めいこはそれをそっと見ていた。

正蔵の言った言葉を思い出した。

「人の役に立っているということで
自分が救われいるんやな」

やがて、勝田も避難所を出ていくことになった。
「此花西区ってとこへ・・・」という。
静はへぇへぇといいながら見送る
源太は「これ」、ぬか漬けを出していった。
「ぬか床です」といって壺を勝田に渡した。

「これだったのか、お静さんのぬか漬け」
「へぇ。」

源太は、「ええ?」という顔をするが
静に否定される。

「ありがとうお静さん助かるよ」

うれしそうに壺を受け取り
「じゃ、お世話になりました」という。
「お元気で。」

一人一人と去っていく。

親戚やら知人やらを頼って出て行った。

ふみがひとりとなった。
手をじっと見ていた。

そしてなにか思ったようだった。

うま介で話をするめいこと静とうま介。
ふみは明日東京へ帰ると決まったことを話して
いた。

「悠太郎さんはまだ帰らないの?」と桜子がきく。
調査があるからとめいこがいった。

室井はどうしたのかときくと、桜子は
ちょっと心配そうに「あれからずいぶんよね」と
いう・・・。
すると外で誰かが来た。

室井だった。やつれた様子で帰ってきた。
桜子は駆け寄った。

「大丈夫?」
「お父さんもお母さんもご無事だったよ。
たみちゃんも・・・。
俺疲れちゃって・・・。」

そういって部屋に上がって行った。

なんだか様子が変だった。

西門家の台所。糠床を小さな壺に
わけるめいこ。希子と静が見ている。
おばあちゃんの糠床は
谷川さんにも進呈となった。

「この糠床ずいぶんいろんなところ
に住みますね」

ーおかげさんでいろんなかたのおうち
が見られてね。たのしいよ。

翌朝のお味噌汁をおいしそうに食べるふみ。
「いただきます」と小さく言った。

炊事場ではめいこがかたづけをしていた。

人が入ってきたので源太と思って
そこにおいといて、といった。

「ごちそうさま」

「いいえ、お粗末さま・・・・??」

え?と振り返っためいこは食器を下げに来た
ふみを見た。

「あ、あの・・・

やっぱり。

気づいていたのですか?」

そのふみは実は髪結いで
めいこの髪を結ってくれるという。

「亭主は髪油やら小間物やらを
扱っていてね・・。

私のせいで火事になったようなもので
そこにいるのもいたたまれなくなって

それでふらふらとこっちにやってきたんだけど
生きていたくもないけど
死ぬほどの勇気もない。

そのくせお腹ばかりが鳴るのが嫌だった」
という。

「心では私なんか死んじゃえばいいと思って
いるのに、おなかがすいてね
そんな自分が情けなくって
絶対に食べるもんかって・・・。
けど結局さんまには勝てなかった。
いいにおいがして、食べたいなって
思ったら、亭主と子供のことが
頭にうかんで、食べていいよって
言われている気がしてね。

そんなはずないのに、都合よくできている

もんだね、人間ってのは」

めいこも言った。

「私も心配しているときにはお腹が鳴りました。

でもそれはそうなんです。みんな生きているって
ことなんだから。

どこがどう違っていても分かり合える最後の砦
というか・・

そういうことを女学校の先生が
教えてくれました。

だから、その・・・
そんな風に自分のこと攻めないでください・・」

ふみは髪をゆいながら

「ありがとうね。炊き出しってのに
あんなおいしいものを出してくれて。

お味噌汁なんて一度だって同じもの
なかった。

おかげさんで朝ご飯を食べたら
昼は何かなと思うようになった

昼を食べたら夜はなんだろう
夜を食べたら明日の朝はなんだろうって
そうしているうちに
5日たって10日たって
いつのまにか、くしを握りたくなった。

きっかけを与えてくれたのはさんまだったけど
生きる力を与えてくれたのは、あんたの味噌汁だった。

本当に、

ごちそうさんでした。」

ふたりはにっこりと笑いあった。

ーこうしてふみを送りだし、この救援所は
役目を終えることとなりました。

うま介の店でお菓子を食べるめいこ。

「いらっしゃませ~~~」と桜子が入ってくる。

後ろから見るとわからなかったらしい。

めいこの髪型を見てきれいに結ってるねと
いった。ふみの話をするめいこ。
仲直りできたんだねと桜子も喜んだ。

「ね?あのこと本当よ。宮本先生が
卒業式におっしゃったこと。」

『食べなければ、人は生きていけないんです。』

桜子は神妙な顔をしてめいこの前に座った。

「あのね、めいこ

たみちゃんから手紙が来たんだけど」

「うん、」

『食べないと人は生きていけないんです
あなたと私はどこがどう違っていようとも
そこだけは同じです。

同じなんです・・・。』
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私もそう思います>宮本先生。

この番組すごいですね。
さんまを七輪でやくのですよ。実際に。
スタジオ、けむりだらけにならへんかったのかな?
においがしみこまへんかったんかな?

おいしそうな、天ぷらそばも・・・
寿司・・・おいしそうな寿司・・・・
よだれが出るわ・・・これ。

それだけではなく、おにぎりや
お汁もおいしそうで・・・。

だれがつくっているのですか??>NHKさん

幸せになるドラマだと思います。