祭りのハーモニー5

台所にいるめいこ。

家族みんなで天神祭は・・・むりかも・・そう思って
いた。
買い物から希子が帰ってきた。
すると室井まで一緒だった。

うま介も半ドンで桜子とうま介もあとから
くるそうだ。

それを聞いてめいこはうれしくなった。

職場あげて天神祭を手伝っている悠太郎。
ふと、家族みんなでお獅子を迎えようと
いっためいこを思い出した。
そして大村に言った。「お獅子がでたら僕は
帰ってもいいですか?」と。
大村はあかん、あかんという。

さて、ごちそうが並ぶ西門家の食卓。
うま介も桜子もそろっていた。

ところがそこへ和枝が帰ってきた。

安西とはどうなったのかとめいこがきくと
天神祭は家族そろってお獅子を迎えると
いうと和枝に家に帰るように言ったという。

驚く一同。まさか、帰ってくるとはね~~。

「なんや遠慮のない方でいっぱいみたいですけど?」

と、じろっと奥を見ていうので
空気が緊張した瞬間、室井が
「どうもどうも~~~
お姉さん、お久しぶりです。
駆け落ちしてきて追い出された室井です~
お姉さんはいける口ですか?
いやぁ~~お姉さんってユニークな方ですね。
是非ともお話を伺いたいとおもっていましたぁ~~」

「なんでっか?このかた?」

「お姉さん、いっぱいいきましょうよ~~

まず御履き物を御脱ぎになって・・・」と草履を
ぬがして

「狭いですけど(あんたの家か?)どうぞどうぞ・・・
おあがりになってください~~
さぁどうぞ・・どうぞ~~~」

それにつられて和枝は文句も言う暇もなく
彼らを追い出す暇もなく
室井とともに部屋に上がることとなって
一件落着。

室井さんって・・すごい!希子は
つぶやいた。
めいこもあっけにとられていた。

夕暮れになって大阪には祭りの提灯が
ともった。

静は後輩の芸者とともにお座敷に出た。

からりとふすまを開けたが
そこに座っているのが正蔵???
と思ったのは間違いだった。

なじみの客に千代菊、久しぶりやなぁ~と
言われた。

さて悠太郎はもう帰れるかなと
大村に聞くとまだ後かたずけがあるがなという。
獅子舞を出す出発式をしていた祭り衆が
つぎつぎと腹痛を訴えて倒れて行った。

各家の前にはお獅子を迎える準備ができていたが
なかなか来ない。
おかしいなぁ~遅いなぁと近所の人もいう。

家の中では室井と桜子と和枝がごきげんだった。
先生が・・ご不浄で・・・あははは・・和枝は出来上がっている。

室井が、「お姉さん・・その話五回目です~~~~~」

もう、五杯目やで~~とうま介が言うほど
めいこはおいしい~~とご飯をかぶりついて
いた。

「でもよかったな。」とうま介は言う。
「うん、悠太郎さん、お静さん・・・お父さん・・
できれば一緒に食べたかったなぁ~~」

「うん・・・。」うま介はめいこの気持ちに
心を合わせてうなずいた。

静はお座敷で子供のころ「泣かんとき」といって
「これもって行き」と渡されたハモニカを思い出して
いた。

お獅子は遅れとるなぁ~~と旦那さん。
「じゃ、傘踊りをやってんか。千代菊得意やったやろ?」

「はい。」

三味線を弾き、後輩の芸者が踊りだしたときだった。
三味線の糸が一本切れてしまった。

はっとする一同だった。

「なんや、糸が切れてしもたんか。」

「はい・・・。」
静は三味線を畳の上においた。

「もう、千代菊はおらんみたいですわ・・・。」
さっぱりとした笑顔で言った。

西門家には源太が来た。
おるかぁーーーー??と叫ぶと
めいこが出てきた。
「源ちゃんどうしたの?」

ほら・・・と源太は重箱を差し出した。

実はなこれ・・・と話をしようとしたら
希子がお獅子が来たと息を切って
告げに入ってきた。

「お獅子が来ますよぉ~~~~~」

源太は頼まれたんやけどな、とだけしか
いえなかった。

「お獅子が来る~~」と全員が外に出た。

家の外にはお獅子とおはやしがにぎやかに
やってきた。

お獅子は子供の頭をかみ、子供は喜んだ。

「なんや今年のお獅子は大きない?」と和枝が言う。
「飲みすぎですよ~~お姉さん」と室井は答えた。
(和枝に反論できる室井とは?)

「でもやっぱり大きですね~~」と希子が言う。
「ホンマや」と答えた人がいた。
静だった。

希子もめいこも驚いた。

「やっぱりお稽古と本番は違うわ。
なんや、焼きが回ったみたいでな・・」と
言って笑った。

源太がお獅子が近づいてきたので
静をみちの端っこにひっぱった。

「ああ、おおきに。」と静。
見ていると、源太が話があるんやけどという。
めいこがきこうとしたら、「おにいちゃん?」
と希子が言った。

「え??」

とお獅子を見るとお獅子を操っているのは
悠太郎だった。
お獅子が踊る時では、中にいる人が
みえるのだ。

「あれ、おにいちゃんや。」

めいこはうれしくなった。

室井たちはゆーさんだと喜ぶ。

お獅子は西門家の前でお祓いをして
そのあと、踊った。

悠太郎はお獅子の顔をひとりひとりの
あたまに近づけた。

みんな笑顔だった。悠太郎はめいこを
じっとみてそして行ってしまった。

ーこれは西門家に訪れた奇跡の瞬間で
ごさいました。

めいこはふと人ごみの中に
正蔵がいるのを見た。

静も希子も正蔵を見た。

静は思いを込めて正蔵に微笑んだ。

正蔵は頭を下げて人ごみに消えてしまった。

室井はめいこに、なんでゆうさん?といった。

ねぇ?とめいこは同じく返した。

源太は御重のことでめいこに話をしたかった
みたいで、「実はこれな・・」と言いかけたが
できあがっている室井が「なにこれ??」と
話しに入ってきたので
ああ・・もうええわ!!さいなら!!!と
大声で叫んで帰って行った。

そのお重箱には静があの日みたハモニカが
入っていた。

家のなかでみんなそれをみて、ハモニカ??
これはハモニカ???

と騒いだ。静はハモニカに目が釘付けになってしまった。

何で源太さんが?と桜子。

静はじっとみた。

めいこは人ごみに消えた正蔵を思い出して
正蔵が源太に託したのだと思った。

「師匠・・・・・

すみません・・あの私が師匠にお静さんが食べたいかも
と言ってしまって・・・それで作ってくれたんだと思います。」

めいこはそういったが、静はじっとハモニカを見たままだった。
「あの、余計な事だったらごめんなさい。」

静は手を出して一個手に取って食べた。
みんなそれをじっとみた。

静は泣きながら食べた。

「こんなんとちがうねんで・・・
ほんまはもっときれいねんで。
こんな・・ぶっさいく違うねん・・・

けど、こんなにおいしくもなかったなぁ・・・
こんなにおいしいもんでもなかったわ・・・・」

静は泣きつづけた。

やがて、夜も更けてきた。

めいこのそばに
後片付けを手伝う希子。
希子は言った。

今日、一瞬だけどみんなと一緒に
過ごしたんとちがいます?

え?

お獅子来たとき、お父さんいましたよね。

あ!

そうですよね。

そうよね希子ちゃん
家族一緒に過ごしたよね。

わぁ~~~と二人は手をとり
あれやこれやと話しながら
きゃーきゃーと喜んだ。

ー天神祭の夜、西門家に起きた小さな小さな
奇跡のお話でございました・・・。

***************
良かった~~~~~
良かった~~~~

なんと幸せなんでしょうか。
一人一人はそれぞれ、心に傷をもって
いて、家族なんてふんと思っていても
たったひとりの、家族を大事に思う気持ちが
奇跡を呼んだと思います。

私は今日は予定があって朝、アップすることが
できませんでした。

ここ二~三日暖かい日がつづき、庭の
枯草の処理に半日かけました。
主人の足がわるいので、アシスト自転車を
購入しようかと話し合いをしたり
それ以上に、車が壊れたので今度は何を
購入しようかと、お金もないのに
なんだかんだと話し合いをして・・
今日やっと、娘の買い物の付き合いができ
ました。
12月はゆっくりする暇もありませんが
元気に年末年始を迎えようとまだまだ
やり残していることをにらんでいます。

明日は、どんなお話の展開になるでしょうか?
問題は、和枝さんの安西という先生の存在です。

奴は何者???

西門家の幸せをぶっ壊す奴なら
撃退しなければと思います。逆に本当に
和枝を思っているなら・・・こんどこそ・・
和枝に幸せになってもらわねばと
思います・・。

静さんはおそらく、ここに住まわれる
と思います。

室井のあっけらかんパワーすごいです~~。

恐いもの知らずですね。
なにしろ、桜子をさらって逃げた男ですから。