たいした始末4
希子の学校の先生がやってきた。
先生はお弁当を教室で食べないのはなぜかと
問い詰めると
お弁当のお結びが三角形なのが原因だった。

和枝はおむすびが三角と聞いて驚いた。
めいこを座らせてわざとやおまへんな。
という。
めいこは何がなんやらわからない。
和枝は三角のお結びは弔辞に出すものです。
葬式やら法事やら・・

めいこは知らなかった。

ご存じなかったのですね。
希子さんは最初は面白がられていたのですが
今度から気を付けてもらえませんか。

先生はそういったが、和枝は申し訳ございません。
何も知らぬ女中がやったこととはいえ、妹に
校則を破らすようなことをさせた私の責任です。

そういって、和枝は謝った。

夕方希子が帰ってきたとき、ごめんね、知らなかったからと
めいこはお結びの件を言った。今度から嫌ならいやって
言ってね。でも私は大きいから恐い?話しにくいかな?

希子はごめんなさい・・・と泣き出した。

和枝は、ささっとやってきて、悪いのは言わなかった希子ですか?
と、希子を支えながら、めいこをにらみつけた。

違います・・・・

とは言ったが、和枝は希子を抱えるようにして
家に入ることを促し

お兄ちゃんはなんであんな人を連れてきたんやろな~~
大丈夫やでまだ、祝言あげてへんさかいになぁ~~~~

と、わざと大きな声で言った。

深く傷つくめいこだった。

居酒屋で上司藤井と大村と飲む西門。
大村は一年祝言あげヘンしきたりってほんま?
と聞く。

西門も詳しくは知らない。
そういうしきたりはあるものなのですかと
上司の藤井に聞く。
藤井は祝言なんかあげんほうがええ。
と、話を勝手に持っていく。

祝言は各種もめごとの一式詰め合わせやという。

日取りの決め方から、結納の品の選び方から
花嫁の着物の柄の選び方・・・
えらいこっちゃ。

それで、と大村はおまえとこの嫁はん
そのしきたりを本気で信じとるの?

悠太郎は考えて、どうなんでしょうか。
とりあえず、姉に気に入られようと必死ですけど。

そのな・・・(藤井が話を始める)

すみません、僕そろそろ失礼してもええですか?
僕の話まだ終わってへんけど。

帰りたくないのですか?
君かて帰りたくないやろ?

(そうは)ゆうても、うちの妻は明るいですから。

ところが、悠太郎が家に帰ると
おちこんでいるめいこだった。
水屋にもたれて下ごしらえで材料の
皮をむいている。

ごはんは外で済ましてきたというと
そう・・・のひとことだった。

弁当箱をここに・・・。

「悠太郎さんは嫌ではありませんでした?
三角形のお結びは葬式用なんですね。
恥かいてたらごめんなさい。私のせいですよね。」
「姉さんと何かあったのですか?」
「悠太郎さんにいったら家のことで気をもませる
なんて嫁失格だと言われるので言いません。」

「もう半分言うてるようなものやないですか
それ・・・」

悠太郎はさっきからめいこが下ごしらえで材料の
皮をむいているのをみて

「それ、今日やらんでも
もう遅いし。」

「誰かさんのお弁当箱も洗わないといけませんから」

「それくらい自分で・・・」

めいこはバンと水屋のふちをたたいて立ち上がった。

そして悠太郎を睨みつけて言った。
「御弁当箱を洗わせたと言われるから・・・
もう寝てくれまっか!」

「はい・・・」

シノゴノ言えない悠太郎。

「ねえちゃんに似てきたんと違うか・・・?」
部屋にはいると、めいこがそのままにしていた
手紙が机の上に広げられていた。
それを読んだ悠太郎はつぶやいた。
「なんだよ・・・・。」

翌日の弁当は豆ごはん。おにぎりの形は
ちょっといびつな俵型だった。

それをじっと見る悠太郎・・・雰囲気が違うの
でしょうかね。

楽天家の上司、藤井が話しかけた。
「どう?おくさん今日も明るかった?」
悠太郎はおにぎりを見ながら
「電球・・切れてました・・」と

言った。

そう♪

藤井が何か言おうとしたら別の部下に呼ばれた。

電球切れてましたというのは、暗かったということですよね。
面白いわぁ。
それを簡単に、そう♪という上司。
明るいわぁ。

洗濯をしているめいこ。
洗濯もの中にあたらしいゆかたがあるのに
気が付いて、それをもって静のところへ行った。
静は、三味線をもって出かけるところだった。

あんなに節約をお願いしますと言ったのに
と、いうとあんたが力を入れて洗うから
生地が痛んでしもうて・・・といいながら
ごめんな~~~本当にごめんな~~
というばかり。話にならない。

洗濯をしながらつい、力が入って
むかつき、洗濯物を土間に投げつけた。

もう!!!

怒りが頂点になって、怒りながら
市場に行った。
周りの人たちは驚いてその行く手を
あけてめいこをけん制した。

その土間に打ち捨てられた
洗濯物を見た和枝は
昔を思い出した。
自分も、嫁ぎ先でいじめられて
洗濯物を投げ捨てたことがあった。
小さな息子はおかあちゃんどないしたん?
といってしがみついてきた。

和枝はしばらくその洗濯場にたたずんだ。

一方めいこは源太の店の奥で
落ち込んでいた。

源太が竹の皿いっぱいのいちごを
差し出した。

どう?

めいこは、黙っていたが

嫌い・・・・という。

え?

嫌い、嫌い、嫌い・・・みんな大嫌い!!!
お姉さんは意地悪だし
お母さんはいい加減だし
妹は卑怯だし
もう、みんな大嫌い!!!

でもしゃーないんと違うの?
騙されて売られてきたわけではないし。
わかってて来たんやろ?

けど・・・。

嫌やったら離縁でも何でもしたらええやん。

・・・・

嫌やったらここで粘るしかないわな。
お前が選んだ男の家族なんだから

わかっているわよ。そんなの。
わかっているから・・・

これ・・・・源太はイチゴのお皿を突き出して
八百屋のおばはんから。
おおきにって。

お前この間トマトの水煮とか
西洋の薬味とか、くれたやん。
おばはんにもやったら勉強になった
おおきにって。
そんなに困っているのなら
ぬか漬けうまいから売ったらええのにって。
うちのおかみさんと話していたわ。
みんな商売やからお前にタダでくれて
やるわけにはいかんけどいろいろ力に
成ろうとおもうてんで。

・・・
旦那さんに365日うまいものを食わせんのやろ?

・・・・・・

そんなんでどうすんねん。

めいこはイチゴを食べた。
源太も・・・。

怒りも落ち着いてきた。

家に帰ったら、洗濯物が干してあった

これ・・・?

和枝がやってきた。
「途中でほって
だらしないにもほどがあります。」

「すみません・・」

和枝はめいこに、「魚島って
知っていますか」と聞く。

魚島???

*********************
へぇ~~~

三角のお結びって葬式用なの?
コンビニで売っている三角のお結びって
葬式用なの?
三角のお結びは俵型より食べやすいですよ。
私は結婚当初、お結びが三角もだめだし
俵型もへたでした。
私は真ん丸でした。
姑とその友人に大笑いされました。
変わっているわぁ~~~って
まんまるにお結びを作るって難しそうって。
簡単です!!!!丸くするって簡単です。
人をおちょくるのも体外にしてほしいと
思いました。
まるで、お団子みたいなおむすびやなぁ~~
起用やなぁ~~~~~と爆笑
・・・せんでもええと思いますけどね。

その後、しっかりと俵型を作ったら
あれ?という顔をされました。
真ん丸のお結びを期待してまた笑おうと
思っていたらしく、拍子抜けの顔をしていました。
いつまでそのネタで笑うつもりやねんと思います。

希子は本当に自分の意見を言わない。
あれでは、だれも相手にしなくなるはず。
だから、友人もいないのでは?

悠太郎はなぜ、お結びの形の意味を
知らなかったのか?
いままで、のうのうと三角お結びを食べてきた
のは、知らなかったのであろうと思う。
あまりにも世間を知らなさすぎ。

一年間籍を入れないっていう意味も
わかっていない。
世間ではそんなのはないのに
あると思っているなんて、世間知らずのぼんぼん
まるだし。

これではめいこを守れそうにもない。
姫を守るナイトは源太なのだろうな。

無理しないでくださいとか
弁当箱は自分が洗いますとか
口先だけの優しさで
めいこが楽になるわけがない。

めいこの手紙を読んでしまうし・・・・。
なにを思っているのか・・・
夫婦げんかの火種になるのではないかな?
なにしろ、東京から食料を送ってきたこと
だれも知らないのだし。

昔を思い出した和枝。忌々しい、いやな過去だった
のでは?
だからといって、めいこがかわいそうだとは
思わない人ですから。
自分も追い出されたのだし、めいこを追い出したとて
それがなんだと思っているわけだし。
魚島の件はまたまたあたらしい騒動のネタなのですが
和枝の策略はいかなるものなのでしょうか?
もうひと押しめいこを泣かせると離縁できると
和枝は計算しているのではと思います。