こんぶねーしょん4

和枝から荷物を出されてそれを
取りにいっためいこは夜道で大八車を
ひいて歩く途中、悠太郎にあう。

もう・・・やだ・・・

めいこは大泣きをしてしまう。

悠太郎はめいこを屋台のうどん屋に連れて行く。
ここのうどん、おいしいって先輩から教えてもらったんや。

悠太郎は何があったか聞いたとたんその状況を思って
笑い出した。

なぜ笑うのかわからないめいこ。
なんでかというとあの和枝が大八車に荷物を積んで運送屋まで
車を引いて行ったなんて・・・ようそこまで
いけずができるなと感心したからや。あほやな。という。

あほや・・・・・・とめいこはつぶやいた。
あほや・・・とめいこは笑った。

どんぶりに白いうどんが浮いていて
真ん中にネギがちょこんと山もり。

すー(素)うどんです。

おつゆが・・・・透明。

「昆布だしがきいていておいしいですよ。」と
悠太郎はおいしそうに食べる。

めいこはおつゆを飲むと
あれ???

という。

味がないのだろうか?

周りを見るとみんなおいしそうに食べている。

なぜ????私だけ違うの??舌が違うのか。

帰り道道めいこはこっち(大阪)の食べ物は違うな、
味が薄いなっておもっていたけど。
めいこが東京の感覚でつくったおかずを
和枝がまずいっていうのはいけずでいっていた
だけではなかったんだとめいこは言った。

あほといけずか
えらいところから大阪弁を覚えてますね。

そんな悠太郎の悠長な
感想なんてあっちへおいといて。

めいこはとにかく必死に質問した。
どのくらいで東京の味に慣れたの?
悠太郎は半年ぐらいかなという。

それはちょっとながいよね・・・(トラ)

翌朝の朝食風景はおだやかだった。
おいしくなっと静が言う。
和枝も「やっと人の食べるもんになった」という。
めいこはうどんやのおやじに出汁の取り方を
教わったのだ。

希子ちゃんの弁当も作ったから持って行ってねという。

きげんよく動き回るめいこに和枝は疑い深そうな
目で見ていた。

しかし、・・・・朝食後の後かたづけのとき
残ったおみそ汁をじっとみて・・・・飲もうとしたのか
めいこはだめだめ
がまんがまんと頭を振った。

その日ふらつきながら市場に行っためいこ。
じつはめいこはあることをしていたのだった。
その上、この市場でなんと思いもがけない人にあう。

めいこ!!!

人ごみのなかで
名前を呼ばれたのだ。

だれだ???

振り返ったら
やっぱりめいこや。おれや
おれ・・・
源太がいた。
あのイチゴ事件の源太だ。

やっぱりあの時の肉屋のにーちゃんだった。
父が亡くなり
親戚の家にやっかいになりながら
やっと仕事にありつき
今は大阪暮らしらしいが。
めいこはどうしてここにいるんだ?と
きかれここの人のところにお嫁に来たというと
源太は「ようもろてくれるひとがおったなぁ~~~」

と大笑いをした。
めいこは源太に糠床を預けた。
ええよ、とあっさりと引き受けてくれた源太。

よかったね~~~

彼はあるいみ、めいこのナイトだものね。
王子様とは違うのよ。

台所でめいこは味見をお静にしてもらった。
八百屋さんでおしえてもらったらしい。
ふつうにつくれるようになったやんと
静は言った。

和枝が来た。

めいこさん、糠床どうしはったん?

処分しましたというと和枝は「え?」と驚く。
知り合いが引き受けてくれるって言ってと
いうと、ふうんと怪訝そうな顔をして去って行った。

夜、悠太郎のごはんのよこで食べるのを
じっとみるめいこのおなかが鳴った。

食べる?と悠太郎。

食べたから・・・

ふうん。

なんで水ばっかり飲むの?

おいしくて。さすが水の都よね。

意味ちょっと違うけど・・・。

数日後のことだった。

めいこは洗濯していて
じっと糊を見てしまう。
口に入れようとしているのでは、ないかいな?!

静はめいこさん~~と声をかけたら
めいこはふらっとして
倒れてしまった。

市役所では「線も引けヘンのか」と大村に
なじられる悠太郎。
赤門ではらくがきをしとったんかいなと
また、大学の悪口を言う。

大学ではコンクリートの時代だからと
そっちをやっていた悠太郎は
学校こそ、何十年も多くの子供たちを
うけいれるのだから安全で丈夫な
コンクリートにするべきだと主張した。
大村と対立する悠太郎のところに
静が飛んできた。

めいこが倒れたという。

びっくりした悠太郎は家に帰った。

実は倒れた事情は
大阪の味になれるために
絶食をしていたという。
あのくいしんぼうのめいこがである。
「空腹は最高の調味料だというし。」

いろいろと言い訳するが、悠太郎は
倒れたら何にもならヘンと怒った。

そして自分も付き合うと言った。

いつまで絶食を?
明日までか?

では。一緒に腹減らして明日の夜
どっかうまいものでも
食いに行きましょう。

その言葉に
めいこはひさしぶりに笑った。

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昨日のエンディングは大泣きのめいこだった。

今日は笑っためいこだった。

これでほっとした。

源太ともあえたし、これから楽しくなるかも。
うれしいね~~めいこ。

しかしやることが大胆。
絶食・・・・・。

ラマダン???
大阪の味を知るために???
大阪の味を受け入れる舌になるために?
自分の体を大阪風に作り直すために??
すごいなぁ~~~~めいこ。

これからが楽しみになってきました。

この努力がどう結果が出るのだろう。
今のままでは西門の味を教えてもらっても
基本的に違うのだから覚えることも
できない。
安易に和枝に教えてもらうより
確かに今は一般的な大阪の味になれることが
大事だと思う。

糠床も源太が預かってくれたし。
いつもぬか床を持って歩くことも
しなくてよくなった。

あの透明なおつゆのうどん・・・
おいしいと思う日がいつかくると
信じたい。

私も東京へ行ったときはじめて東京の
おうどんを食べたとき・・・
いえ、おうどんを注文して、出されたそれを
見たとき、真っ黒なおつゆに、食欲が消えた。
うううっと気持悪くなった。

うどんを食べることさえ恐怖となった。

関西は薄味と言うけど、決して
味が薄いんではなく
色が薄いだけです。
きれいな素材の色のまま味がついています。

塩分は薄口の醤油を使うので
高くなります。

味がないわけではありません。
しかし、関東の友達は
京都で一緒に和食を食べたとき
醤油をぶっ掛けていました。
一口食べたら味がついているのが
分かると思いますが・・・。

今日はやっと悠太郎が亭主らしくなりつつあると
思いました。
お仕事は大変ですけどね。

そうそう、和枝さんが大八車にめいこの
荷物を積んで運送屋まで1人で運んだなんて
想像するだけで、おかしいですね。
私も笑いました。