「黄身と出会った。」

大正11年。めいこは女学生になった。

食べることへの情熱だけは子供のころのままだった。
開明軒はあれから、庶民的な洋食屋になって繁盛した。

めいこはなみなずれて身長が高くて、よく鴨居に頭をぶつける。
お年頃同士のお友達の民子と桜子とは
素敵な恋がしたいとかそんな話をするが・・・

めいこにとって男性より身長があるのが
大きな障害になって恋などできない。というより
食べることがすきなのである。

で・・・

そんなとき・・・学校帰りに

銀座のカフェーへ三人でお店に入って
プリンやパフェを食べた。三人で話に夢中になった。
めいこはスプーンをふりまわしたとたん
スプーンについていた生クリームが飛んで行った。

ある学生の肩についた。

思わず謝るめいこだが・・・・

迷惑そうな顔をされたわけだ。

水を湿らせた布でシミを取ろうとしためいこ。

そいつはいった。
水と油ではしみはとれません。
あなたのすることは何の意味もない。
ほな、そういうことだから・・

効果はあります
悪いと思った気持は通じるでしょ?

悪いと思っている??

たちあがったやつは、背が高かった。

やなやつだね~~~と三人は意見が一致した。
高い関西弁の学生を通天閣と呼ぶことになった。

その通天閣、

東京帝国大学の学生で
開明軒に下宿することになる近藤の友人だった。
年頃の娘がいるのになぜ、下宿人を引き受けるのか?

帝大だよ、帝大。末は博士か大臣か。
とイクのたぬきの皮算用。

で、下宿人を引き受けることに
卯野家は一致団結した。

最初来ると言っていたのは近藤という
学生で写真でみると
通天閣ではない。

しかし・・・
やってきたのはその通天閣。
事情があって近藤と変わったらしい。

挨拶をするがめい子のことは覚えていない。

なぜ覚えていないかというと・・・

どうでもいいことは覚えない主義だとか。

どうでもいいこと????

めいこは、かちんときた。失礼だわ。

彼は西門悠太郎という。

建築学を志している。

ある日テストで一点(百点満点中)を取って追試になってしまった。
これでだめなら、留年である。

ああ~~~~だめだ~~~と思っていると
その一点のテスト用紙を悠太郎に見られて
しまった。

「すごい。なかなかとれませんよ、一点って」
悠太郎は昔自分も一点だけ取ろうと思って
がんばったけど、無理だったとか。
めいこは狙ってとったのではないので
頭にカチンと来たらしい。
テスト用紙をひったくってぷんぷんと怒って
帰って行った。

西門は教えましょうか?というと
どうせお嫁に行ってもこんな学問
関係ないし、となげやり。
西門は疑問を持つ。果たしてそうでしょうか?

店ではスコッチエッグの作り方がいまいち
うまくいかず大五は悩んでいた。

そんなあるひ西門はめい子にスコッチエッグを
食べさせた。

スコッチエッグの作り方は熱伝導、比熱と関係が
あるとのことばに、学校の科学を思い出しためいこ。

科学は生活とかかわりがあることを西門は
めいこに説明する。

ぬか漬けの浸透圧のこととか
カステラは切るより手で割ったほうが
なぜおいしいかとか・・・

興味を持っためいこであるが
試験勉強に集中しようと西門に習って
勉強を始める。

で・・・・

なんとか・・・及第を取る・・わけです。56点。

「楽勝でした~~~♪」
「これはぎりぎりというのです・・・。」

「普通よくやったとかいいませんか?」

「普通まずはありがとうと言いませんかね?」

でも良かったと言ってくれる西門をみて
どきんとした。

息が出来ない!!!空気を入れなくては。
めいこはぬか床をまぜた。
どきどきしながら・・・・・。

************

スコッチエッグ・・・
そうなんだ。

ハンバーグのなかにゆで卵があるのだけど
ゆで卵は半熟のままにして
ひき肉の部分をこってりとおいしく仕上げるには
肉を薄くしてあげたら、半熟のまま保てるけど
肉のうまみがでてこない。

だから、全体を円形ラグビーボール
の形にします。
たまごのぶぶんをうすくして
円形の左右を厚くしたら・・・
肉のうまみもでき、半熟も保てるってこと・・。

手が込んでますね~~~~~
料理って。

家庭料理はそこまで手をかけていられないから
ちょっと無理かも。

しかし、いまどき惣菜屋さんで
スコッチエッグを見かけなく
なりました。
昔、友人が弁当のおかずに
スコッチエッグを入れていて
おいしそうだったのを覚えています。