ーおじい、おとうちゃん、昨日みんなが励ましに
きてくれたのに
「愛君が目覚めてくれないと
ここは魔法の国にならないのです。
ごめんなさい・・。」
私は、あんなことしか言えなかった。
「愛君、今日も宮古の空、きれいだよ」
マッサージをしながら純は言った。
またふと愛の手が純の手をにぎった。
純は目覚めることを期待するが
愛は寝たままだった
「愛君・・・
ね、なんで起きてくれないのよ
こんなにも長く続くとは思わなかったよ。」
純は愛のそばで泣くまいと思ったけど泣いてしまった。
ーおじい、おとうちゃん
おねがい
助けてください
玄関にだれかがきた。
「こんにちわ~~~」
純が階下へ降りていくと
晴海がいた。
「おかあちゃん、どうしたの?一人で来たの?」
「あなた従業員の方でしょ?」
「はい・・・・」
「ここは私の父のホテルなんです。」
「おかあちゃん?」
「お茶もらえませんか?私、のどが乾いて・・・」
「はい・・・」
純はお茶を入れた。
晴海は壊れたジュークボックスを見て
残念がった。
聞きたい曲があったという
それがうれしいひな祭りという。
晴海は、「父と娘がふたりでよく
聞いていたのよ。
父は娘が大好きでね。
純、おまえはそのままでいいからなって
いつもいってたよ。」
「あの・・・よかったら私歌いましょうか?」
晴海は喜んだ。
純はうれしいひなまつりをうたった・・・。
晴海は嬉しそうだった。
歌い終わって拍手をした。
「お茶入りました。」
そういうと、晴海は・・
「あら、よくわかったね。私がのどが渇いているのを。
ああ、おいしい疲れがとれるね。」という。
「ありがとうございます。」
「あの、おなかすいたけど、何かある?」
純は食材を探して、サラダとだし巻き卵を作るという。
「あら、それうちの主人の大好物・・・」
そういって、晴海は喜んだ。
純は裏庭へ行って野菜を積み、サラダを作った。
そして、だし巻き卵を作って出すと
「うちと同じ味だ。」といってよろこんだ。
「うちの家族見る?」
またあの家族の写真を出してきた。
ビーチで話した時と同じだった。
「これが私で・・・
このひとが父・・・
このひとが・・・」
善行がわからない。
純は「ご主人の善行さん」
「そうそう・・・」とよろこぶ。
長男がわからない。
「長男の正さん・・」
また「そうそう」とよろこぶ
「これが・・・えっと?」
「二男の剛君・・・」
「そうそう・・・うふふふ」
「そしてこれが・・・・えっと・・」
「長女の純・・さん・・・」
「そうそう、うふふふ
この子はやんちゃで男の子みたいだから
大きくなって結婚できるかどうか心配で。」
「大丈夫です。」
「そう??
だったら安心だわ・・・」
純は涙がでそうだったので
見られたくなくて、晴海に肩をもみましょうか
といって、後ろにたった。
「ありがとう、あなた・・・おかあさんは?」
純は、ふと考えたが
「とっても優しい母です。
そこにいるだけでみんなが笑顔になる
うちの家族の誇りです。」
晴海はじっと聞いていた。
「私はそんな母に文句ばっかり言って
苦労ばっかり掛けて
全部・・・全部・・・全部・・・
私のせいなんです。」
純は母が病気になったのは自分のせいだと
思っているのだろうか。
「そんなことないさ。
あなたは愛をいっぱいいっぱい持ってるよ。」
晴海は純の手をさすって頬ずりした。
純は我慢できずに泣き出した。
「おかあちゃん・・・・・・」
純は晴海の背中で泣いた。
晴海は大丈夫と言わんばかりに
トントンと純の腕をたたいた。
そこへキンさんたちがやってきた。
「あ、ここにいたんだ。」
晴海は純に帰るねといった。
「晴海ちゃんのこと心配しなくていいから。」
とキンさんは言う。
「あんたがんばってね。」
「はい・・・すみません、ありがとうございます。」
晴海は振り返って純に言った。
「ここまた来てもいい?」
「え?」
「だって、ここ、魔法の国でしょ?」
純はそのことばに魂が揺れたみたいだった。
「はい」
純のまわりにナイチンゲールの声が
鳴きわたった・・・。
そう答えると晴海は嬉しそうに帰って行った。
純は、しばらく考えていた。
「愛君・・・」
純はロビーのカーテンを開けて・・・
窓を開けた。
「わたしは愛君が二度と起きてくれなくても
このホテルに一人でもお客さんが来てくれて
さっきのお母ちゃんの笑顔を一つでも多く作っていく
ことに
決めた!!!」
純はカーテンを外して洗濯をした。
空いっぱいに風を受けてカーテンがたなびいた
ーあなたがきっと目覚めると無理して信じることはやめる。
あなたのために作ったこのホテルをダメにしたら
私たちが今まで愛し合ってきたことも
消えてしまうから・・・・・
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やっと純が立ち上がりました。
もう、無理して愛君が目覚めることを信じることをやめる・・
前向きに生きるためには、それが一番だと思う。
目覚めるときには目覚めるものだ。
だから、愛クンへの愛がいっぱい詰まったホテルを
守っていくことが純のこれからの生き方なのかも・・・。
今回の山場は晴海が帰るときこんなセリフをいいました。
「だって、ここ、魔法の国でしょ?」
そのとき、ナイチンゲールの鳴き声らしき鳥の声が
入るのです。甲高いピピピピという余韻を残す声ですが
多少エコーがかかっています。
以前愛がナイチンゲールが好きだといいました。
看護士さんではなく鳥のことで一生同じ相手と添い遂げる
鳥だそうです。
その鳥の声が合図になって
純の心の中の何かが変わることになります。
そして愛クンが目覚めようがどうしようが
ホテルをやると決めるのです。
そしてこの場面より後はナイチンゲールの声が
画面から聞こえてきます。音楽の間から聞こえますよ。
明日で放送が終わります。
たくさんの方に読んでいただいた感想とあらすじですが
よくぞ、いままで続けてこられたと自分でも驚いています。
賛否両論、あったドラマですが、根っからの朝ドラファン
には厳しい感想が多かったのではと思います。
私は気に入ったら見るというスタンスなので
つぎの「あまちゃん」はどうなるかわかりません。
やっと明日で終わることに正直ほっとしています。
楽しかったです・・・。半年間・・・ありがとうございました。
