ホテルにやってきた大先、桐野、水野と千香
里さん、セニョール。
思いもがけず愛の寝たきりを見て
息を呑む。

純は愛の寝室にみんなを呼び入れて
「声をかけてください。
いろんな人から声をかけられることが
言いそうです。」

という。

しばらく、沈黙があったが
水野が愛のそばに行った。

「おい、愛、起きないんだったら
俺が純ちゃんもらっちゃうぞ。」

という。

「あ、あの水野さん・・それはちょっと・・」

「冗談だよ。
実は俺、田辺君と婚約したんだ。」

「そうなの、だからお二人に
出席して欲しくて
招待状を持ってきたの。」

と千香が純に差し出した。
「そうだったの・・」
「愛、俺もいよいよ年貢を納めることに
したよ・・」

「ちょっとそれどういう意味よ。」
と、千香が怒った。

「だから、俺たちもお前と純ちゃんに
負けないようにいつまでも
仲良くしようと誓ったんだよ。」

「二人には・・絶対式に出て欲しいの。」
千香は泣きながら言った。

「実は自分も女将さんと結婚することに
成りました。」

セニョールが言う。

「そうですかぁ~~~」純はうれしそうに言った。

「ドラマチックじゃないだろ?
こいつがさ、しつこくてさ。」

「自分も愛さんみたいにどんなことがあっても
女将さんを支えていこうと思います。
だから・・・・こうなったなんて・・・」

「メソメソするんじゃないよ。
男の癖に。」

里さんがセニョールのほっぺたを
たたいた。

里さんは愛のそばにいった。

「だいたいさ、結婚したのにいつまでも
女将さんと言う呼び方なんて
どうかなと思わない?でもさ・・・

あんたたちはハッピーエンドじゃないと
まずいんじゃないの?愛君・・ね???」

と、涙を誘いながら言った。

「じゃ・・・」

と大先はいった。

「この流れで俺たちも結婚しない?」
と桐野にどさくさにまぎれて言う。

「遠慮させて頂きます」

「速効降られたよ~~愛君。

そうだ、これ見てよ。
俺さ、ホテル評論家になって
こんな本出したんだよ。結構売れてんだよ、これが。
君たちのホテルのことも早く書きたいから
元気になってまた社長のこと助けてやってよ・・」

本は、「本当に行ってもいいホテル
ダメなホテル」とあった。

愛は何も言わない。

「愛君・・・」
桐野が颯爽とそばに来ていった。

「わたし、カイザーオオサキの社長になったわ。」

「え??本当ですか。桐野さん」

「うそよ、そんなに甘いわけないでしょ。
でも、どんなことがあっても絶対に
あきらめないわよ。
今日ここにきて改めてそういう未来を
必ず作ってみせると決めた。

だから・・・」

桐野は愛のそばから立ち上がって
純の肩に手を置いた。

「待ってるわよ、愛君」

叱咤激励の声だった。

眠ったままの愛。

ロビーに降りてきたメンバー。
里さんは「そうだ、師匠からの伝言も預かっているのだけど」

という。

動画ビデオでお弟子さんたちに囲まれた師匠が
純に話しかける。

「いつかあんたのホテルができたら
故郷だって思って帰って来いって
いったでしょ。忘れたわけではないよね」
そうだ、そうだと周りのお弟子さんたちが言う。
「わたしさ、あんときすごくうれしくて
ずっとそのきになってんだから・・」

「そうよぉ~~」と弟子たち。

「ね、社長、いったい、いつオープンすんのよぉ」

考える純。
すると玄関から声がした。
「それは私も聞きたいわね~」

秋代だった。
「このホテルに泊まるのずっと楽しみにしているのだけど」

純はみんなに秋代を紹介した。

里さんと秋代はひさしぶりだった。

水野が「そうだ
HPにあったこのホテルでしか体験できないサービスって
できないの?」

里さんは「やってあげたら社長?」という。
「きっとみんな喜ぶわよ」

「なに?俺たちを手ぶらで帰らす気??」

と大先がいった。

「ああ、さすが効きますわ~~~先生」

と正のマッサージを受ける秋代

あゆみのメークをしてもらう里さん。

そして、特製豚まんをほおばるセニョール。
「うーん、うまいです・・・」

マリアは嬉しそうだった。

桐野は羽純あいてにリクエスト。

「ハートのエース」

ハートのエースが出てこない。
ハートのエースが出てこない・・・
やめられないこのままじゃ~~~

「優しい悪魔」

あのひとは、あくま

「暑中お見舞い申し上げます」

しょちゅーおみまい
申し上げます~~~

ブランコに乗っている水野と千香。

水野は「かわいいね~~あの子は~~」

と羽純をみていう。

「ちょっとなに目じりを下げているの?」

「あ、いやいや今のは一般的な意味というかさ
ポジション的なやつ??」

とわけのわからないことを言う。

大先は剛の絵の前へ桐野を連れて行った。

桐野は羽純にちょっと休憩といった。

「ここはプロポーズの絵らしいよ。」
「へぇ~~~~」と桐野は感心した。

ひざまづいた大先は

「やっぱり結婚して」

という。

「しつこい」

と桐野は言った。

「ですよね・・・」

桐野は羽純のところへいって

「もう一回」という。

「またふられちゃったよ」

と大先は純にいった。

「じゃ、私と結婚します???」

と里さん。

「うふふ…わぁ~~素敵なお尻~~」

「え?それはないです」とセニョール。

「触らないでください~~」と三人が追いかけっこをする

純がそれを見ていると
桐野がいつのまにかそばに立っていて
「オープン前に治しておいたほうがいいと思うことをメモして
置いたから」といってメモを差し出した

「あ、ありがとうございます・・」
それをみた純。

「これ、愛君が言ってたのと同じです。」
純は心が泣きそうになった。
桐野は羽純にリクエストした。

「若者たち」

羽純は歌い始めた。

君の行く道は
はてしなくとおい
なのに、なぜ
羽を食いしばり
君は行くのか
そんなにしてまで

君のあの人は・・
・・・・・・・

羽純は止まってしまった。
忘れたわけではない。
思いを感じたのであった。

いまはもう、いない
なのになぜ、なにを
探して・・・
君は行くのか
当てもないのに・・・。

桐野もマリアも
目線を落とした

純は聞き入っていた。
しかし純もうつむいた。

君の行く道は
希望へと続く
そらにまた
日が昇るとき
若者はまた
歩き始める・・・

純は涙が出た。

拍手が起こった。

羽純は純を見て訴えるように
歌っていた。

純は涙をぬぐった。

「プレゼントがあるんだけど・・・」

千香が言った。

箱の中は、白いサムトラケのニケ像だった。
純は嬉しくなった。
「君はサムトラケのニケじゃないのか?
つらいのはわかるけど愛のためにもがんばってほしい」

「ね、こういう時トルストイはなにかいってない?」

「ごめん、もう人のなまえを使って自分をよく見せようと
することはやめようと思って。」

里さんはいった。

「みんなから話を聞いたけどドラマチックだね。
あんたたち。」

「俺もいろいろ聞いたよ、おかみさんから。
ひらがなの「と」という言葉でたくさんの
人を結びつけたこととか里やを再建したこととか」
と大先は言った。

「それもこれも待田純がいたからこそできたことだし
ここにいる全員がそんな待田純がいたからこそ、
今がある。
そして俺たちみんな、待田純にホテルを
やり続けてほしいって思っているんだ。」

里さん、水野、千香、秋代・・・
みんなの気持ちがひとつになる。

純にホテルをやって欲しい・・・・

大先はウインクをした
里さんは
「みんなのために早くここを魔法の国にしたら」
という。

「そしたらあんたたちをモデルにしてドラマ書くからさ
わたし」

秋代は「なんとかいったら?
このままだと大切なパートナーを失って
死んだように生きていた私のようになるわよ」と。

純はみんなの顔を見た。

「みなさん、ありがとうございます。

でも・・・

今の待田純を作ったのは待田愛なんです。
彼への愛と感謝をこめてこのホテルを作りました。

だから・・・・」

純はこみあげてくる気持ちを抑えていった。

「愛君が
愛君が目覚めてくれないと

ここは魔法の国にはならないんです。

チャンと私の手を握って
私の目を見て

話しかけてくれないと・・」

純の言葉が涙声になった。

そして小さな声で

「本当にごめんなさい・・・」

そういって、逃げるように走って
階段を上って行った。

正が純を捕まえようとしたが
「おい純。皆さんがここまで・・」

桐野が正の腕をつかんで止めた。

「信じて待ちましょう。」

と正に言った。

「彼女ならきっと大丈夫です。」

桐野は純が去って行ったあとを
見上げて行った。

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懐かしいですね~~~
まさかここで「若者たち」がでるとは・・

しかも、羽純ちゃんのような若い子が
知っているとは???

ドラマチックですね。(ドラマだよ)

でも純にぴったりの歌でした・・・・。

悲しいことに『君のあの人は今はもういない』
・・というフレーズ・・・辛い。

それでもホテルをやらない純。

以前ありましたね・・・・・・・・・・・・・・・
サザンアイランドが壊された後・・・
何もかも無気力になったことが・・

ありましたね・・・

里やが火災にあってなにもかも終わったとき
ホテルクラッシャーだからと
行って、ホテル業から遠ざかろうとしたことが・・

そして三度目。愛が倒れたことで・・・。

なんども人生の厳しさをなぞって
人は這いあがってくるのですね。

そのたびに強くなるといいますが
わたしは、今でもなお
乗り越えられない壁が見えます。

強くなったのか、あきらめが勝ったのか?

よくわかりません。