ーおじい、おとうちゃん、外出を許された
愛君はオープン直前のホテルをみる
ことができました

スタッフの応対の仕方とか
部屋の様子とか
マリアの料理とか
ホテルの制服とか
うれしい思い出がいっぱい出来た
ようだった。

病院へ帰った愛は
「楽しかった、オープンを考えたらわくわく
してねむれない」、という

「だめだよ」、とたしなめる純
「明日は手術なんだから。」

「台風が来るみたいですが、大丈夫でしょうか。
窓ガラスが割れたり、かんばんがとんだり
しないでしょうか。」

愛は心配しているが「大丈夫。やっとくから」
と純はいう。

愛は思い出した。
「ホテルオオサキにつとめはじめたころ
台風で飛行機が飛ばなくて
大阪に戻れなかったことがありましたよね。」

「そうそうあった、おねえちゃんが妊娠して
おにいちゃんともめていたころ
マリアさんと話しをしに那覇へいったことがあった。

あれは愛君が那覇へいけっていったから。」

「でも、純さんがいかなければ、勇気ちゃんは
うまれなかったです。」

「そうだね・・・」

「最近、思い出すのは楽しかったことばかり
なんです。二人の結婚式のときに
両家がいりみだれてけんかしたこと。」

「ああ、怪獣大戦争だった。
あのときのおかあさん、めちゃめちゃ
怖かったわ~~」

「世捨て人さんを外に出すために
みんなで天岩戸みたいに
みんなで部屋の外で踊ったこととか。」

「あゆみさんを救うために
純さん、うちのまえで晴れごいをしましたね。」

「ああ、めっさいよぉ~~~
って。
・・・ロマンチックなこと思い出してよ」

「純さん、キスしてくれませんか?」

純は、そっとキスした。
「純さん、もし僕が死んだら・・・・・」

「やめてよ。」

「聞いてください。
どうしても約束して欲しいことがあるんです。
もし僕が死んでも
ぜったいに、ホテルのオープンを中止しないで
ください。」

「愛君がいなければ・・・・」

「大丈夫です。みんながいます。
みんな素敵なホテルマンです。
なにがあってもみんな純さんを支えて
くれます。」

「僕は死ぬことはもう怖くありません
だって僕が生きたあかしを
残すことが出来たのですから。

だから、もし僕が死んでも
泣いたりしないで下さい。」

「わかった・・・

って言いたいけど

やっぱ、無理。

だって愛君が死んだらどうしたらいいの??
愛君が戻ってくるって信じているし
病気だって治るって信じている。」

純はいいながら、泣き声になった。
「それまで・・・・
泣かないって・・・きめたのにぃ・・」

「神様はこういいたいのかな
どんなに愛し合ったものもいつかは
別れないといけないんだって

残されたほうはどんなに辛くても
生きていかないといけないって。」

「なにそれ、そんなの信じたくないから。
だってね、かみさまなんかいないよ。
いたらこんなひどいことをするわけないよ。」

「純さん・・・僕は神様いると思うな。
でもね、みんなが思っているような
神様ではなくて、もっと小さいことしか
できないんですよ。
野球の神様みたいに、ホームラン打てというと
うつとか
相性のいい男女を運命のいたずらで
出会いを作るとか

純さんと僕がドンってぶつかって
初めてであったときみたいに
だからね、あまり神様に期待したらだめです。
願いがかなわなかったからって
がっかりしないで。

結局僕たちの人生を決めているのは
僕たちの意志と信念でしかないのですから。」

「納得しているの?」

「はい・・・・

っていいたけど無理だな。

だってね、ずっと心の中で叫んでいます。
なんで俺が死ななければいけないんだろうって
世の中もっと死んだほうがいいやつはいくらでもいるって
どんどんいやなやつになっていくんです。」

愛は泣きじゃくって話をする。

「どんどん俺は臆病になっていくって
いまなら純の気持がわかります
あいつ、死ぬのは怖かっただろうなって。

だから純さん帰ってから
今みたいにめそめそ泣いているんです

もっと純さんと一緒にいたいなって
離れたくないなって

もっといっぱい、純さんと話をしたいなって」

純は愛を抱きしめた。
愛は純と一緒に泣いた。

翌日、台風の予報があったかのような
荒れた天気だった。

手術室へ行く愛のまわりに
待田家のメンバーは愛を
見つめていた。

愛は、穏やかだった。

多恵子は動き始めた愛のうで時計を
みせた。そしてうなずいた。
愛も、うなずいた

「それじゃ、行ってきます。」

そう笑うので、純は愛の頬をつねった。

愛は、人差し指と小指をたてて
純の口元にもっていき
口の端をくいっと上向きにした。

純は笑顔になった。

「じゃ・・」

愛は言った。

宜しくお願いします。

医者にふかぶかとおじきをする
両親、誠・・。

ーおじい、おとうちゃん、そして
私たちを見ている小さな神様が
いるなら、お願いですから
愛君を助けてください・・・・。

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今日は・・・・泣き泣きのシーンばかりでした・・ね。

しょうがないかも。

だってね、これは事実上の今生の別れなんですよね。

十五分しっかりと泣き泣きのシーンです。

重たい!!!!!!

楽しくない

当たり前だけど。

で・・・・

その後の番組
あさいちですが

今日は金曜日でスペシャルトークの日。
ゲストは

なんと

国文太一君。

え?

と思いましたが、

イノッチと仲良しで齢も似てるし・・・

話がうまいし・・・。楽しいし。

イノッチと仲良しトークが

楽しくて

楽しくて・・・すごく面白かったです。

これを狙ったか。NHK。

お口直しというか、そんな感じで
ほっとしました。

今回の放送の内容から視聴者のご機嫌なおし
の一環でこの企画をぶつけたってことを
感じました。

さすが、いい企画力です。