愛は手術日を前にホテルサザンアイランドへ
やってきた。
建物をうれしそうに見つめた。
「ホテル・・・サザンアイランド・・」
確かめるように看板の名前を読んだ。
「愛君、これが私たちの魔法の国だよ」

玄関を入るとスタッフが
「いらっしゃいませ、ホテルサザンアイランドへようこそ」

といっせいに言った。
「どうしたんですか、皆さん・・」愛は
驚いていった。

「オープン前だから折角、愛君がきてくれるから
オープン前最後の研修ってことでね。
もし、気になるところがあったら言ってね。」

「はい・・・。わかりました。」
愛はロビーを見渡しながら笑顔で答えた。

「羽純ちゃんがベルガールですか?」
「はい、こうみえても力があるので・・ふふふ・」

純が車椅子をおして、羽純の案内で部屋を見に行った。
通された部屋は愛のデザインのベットカバーがあって
明るい部屋だった。

「どう?愛君」
「いいですね、明るくて居心地もよさそうだし
今日はここに泊まりたいな~~」

「それはだめ。」

純は、愛のデザインのベットカバーに
あわせて羽純とクッションカバーを作ったという。

「羽純ちゃん、ありがとう」

「あ・・・私は別に・・。」
「だって、純さんと親友になってくれたんでしょ?」
「あ、はい。」

羽純はうれしそうに笑った。

愛はあゆみのビューティサロンへいって
散髪をした。

「本当にいいの?」
「どうせ、手術で切らなくてはいけないので
あゆみさんにお願いしたくて」

「わかった。」

「あゆみさん、お願いがあるのですが」

「純さんのこと宜しくお願いしますというのは
いやよ。」

愛は、苦笑いをしながら、でも本当に聞いて欲しい
という。「純さんを甘やかさないで、厳しく接して
くれませんか?時にはしかったりして。
純さんは甘やかされると延びないタイプなので。」

と説明する。

「私もそう思う。」

「ふふ・・お願いします。
こんなことたのめるのはあゆみさんだけです。
あなたは、本当に信頼できる人です。
どんなときだって冷静に純さんを見守ってくれる
人だと思うんです。」

「はは・・・わかったから切るわよ。」

あゆみは髪に、はさみを入れた。

「僕は髪の毛を短くしたこと
ないんですけど、似合いますか?」

「うん、何でも似合うよ
任せてよ。私に」

「はい・・・」

できあがった愛を見に来た純。

「どうですか?」

と不安そうに聞く愛。

「似合っているよ。」

と言う純。

正も、「うん、似合っている・・。」

といって、微笑んだ。

つぎは、正のマッサージを受けた。
「妹と結婚して後悔してない?」と
正は聞いた。

愛は「どうしてですか?」
と返した。

「だって純と会わなかったら、こんなに
苦労はしなかっただろうなと思うけど。」

「正直・・・そう思ったことがあります。」

「やっぱり・・」

「それ以上に素敵なものをたくさんもらいましたから。
お兄さんとも兄弟になれたし」

「こんな情けない兄貴なのに?」

「お兄さんは、いいました。うちの長男は純だって。
あれはすごいです。
お兄さんは人類史上始めて女性の強さを認めた
男性として歴史に名前を残すべきです。」

「あはは・・・大げさだよ。」

「お兄さんがいてたから、純さんはここまで
やってきたのですよ。それだけは忘れないで下さい。」

マッサージをしながら正はうなずて
ありがとうといった

「ああ~~~ゴットハンドですね~~~」愛は
気持よさそうにいった。

剛と壁の絵の前で話をした。
「このまえこの絵の前で
まこっちゃんに告ろうとしたけど
できなかった。」

「どうして?」

「だって俺みたいなのが本当にいいのかなって」

「何言ってんの。誠も剛君のコト好きだよ。」

「だけど・・・今まで全然もてなかったし。
女の子とどう付き合ったらいいのかわからないし。
まこちゃんのこと、幸せにする自信がないんだ。」

「気にしすぎだよ。
この世には不完全な男と不完全な女しかいないんだ。」

「ああ、私の愛があなたを作り
あなたの愛が私を作るだっけ。」

「そう・・・。」(笑)

「お待たせしました。」

二人が話をしていると純が呼んだ。

マリアが作る料理の試食である。
愛は、ひとくち一口食べた。
「うん・・・
おいしいです。
これも、これも・・・。」

わぁ~~~っとマリアやみんなも
喜んだ。

「特製豚マンは??」

「完璧です。」

「わぁ~~~ほんとう?
難しかったから~」

「・・・でも一つだけ。

これからはマリアさんの料理を作ってください。
マリアさんがおいしいと思う料理を
作ってください。作るのはマリアさんなんだから。」

「・・いやだよ。
なんだか、愛君帰ってこないみたいジャン。
そんな・・・
もう二度と会えないみたいなこと言わないでよ。」
マリアはどっと涙が出た。

「おねえちゃん、泣かないで。」
「マリア・・・」

と純と正がいうと

「お邪魔するわよぉ~~~~」

とやってきたのは、あの秋代だった。
オープンを待ちきれずに来たそうだ。

純たちは驚いた。

別荘がみごとにホテルに変わったので
秋代は大変喜んでいた。

「でも何か足りないでしょ?」

そういって、プレゼントしてくれたのは
秋代がデザインした、スタッフのユニフォームだった。

白の上着で、詰襟風のスタンドカラーと
肩はエポーレットが着いている。
かっこよくて、きれいだった。

愛の分もあると秋代がいった。
愛は、自分の制服を手にとって
喜んだ。

帰る時間はあっという間に来た。
勇気の笑い顔を見て愛は「純さんを宜しくね
勇気ちゃん」、といった。

「さ、もう帰ろうか?」

と純が言うと
「病院へ帰りたくないなぁ」と愛は言った。

「元気になってもらわないとさ。
このホテルは愛君が必要なんだから」
と正。

「はい(笑)」

と愛は言った。

そこに晴海が来た。

晴海は、愛を見て
「愛さんはどこ?」

と聞く。

「おかあちゃん、愛君はここだよ」

と純が言うと

「なにいってるの。愛さんはこんな頭の人
ではないよ。」

といってわからないらしい。

「どこ?愛さんは???」

愛は

「晴海さん・・」

といった。

「愛君は、今入院中なんです。
でもすぐ元気になって必ず戻ってきますから」

「はいっ(笑)」

うれしそうに晴海はいった。

愛もうれしそうに笑った。

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天国へ行く覚悟の愛なのかな????
やけに息の詰まるやさしいストーリーだった。

愛の髪の毛を切った顔。
あああ・・・・
風間俊介だと思った(笑)
顔がまるみえになった。
いままで髪の毛で隠していたのにね。

だからと言うわけではないけど
晴海は愛がわからなかったし。

晴海に愛として話が出来なかった愛。

その代わりに初めて
お母さんではなくて
晴海さんといった。

そして愛の気持を言った。
必ず元気になって帰ってくると。
自分としてではないほかの立場だったから
言えた事だった。

そうあって欲しいですね。

手術する必要あるのかなと思いますが・・。
いちかばちかの賭けなんでしょう。
1%(数字は勝手に決めたものですが)
の生きることへの賭けです。

1%でも勝算があれば・・・・