「どんなホテルにしたいのか
決めたから」

と純はホテルの前で愛に言った。

「どんなホテルですか?」

「目をつむって」

「え?」

愛はフードをかぶって(かぶる必要があるのか?)
目をつむって純に手をひいてもらって
愛はホテルの中に入った。

依然こんなシーンあったよね・・・・
なんだっけ???
愛は人の本性が見えるから顔を上げて
歩けなくて・・。純に手を引いてもらったシーン。

「ここ段差があるから足上げて」

「よいっしょ・・」

「いくよ、」

「まだ目をあけないでよ」

「せーの

ビビデバビディブー」

といって純は愛のフードをあけた。
と同時に愛は顔を上げて目を開けた。

目の前にはあのジュークボックスがある。

驚く愛。

「キンさんが言ったんだって
これを売るなら、もうお前を孫とも
思わないって。」
それで勝は売らなかったらしい。

「あ、でもそれがどうしてここに?」

「うん、お店に置いてても宝の持ち腐れ
だから、ここにおいてて欲しいって。」

愛は、スイッチを入れて
選曲した。
レコードが選ばれて、テーブルに置かれ
レコード針が溝を走った。

古いアメリカの曲がかかって
ワルツっぽいので

純はせっかくだから踊ろうかって
いった。

「いいですよ・・・・」と愛は平然と言ったが

「あ、そう??」と純はドキッとしたみたい。

「じゃ・・」

と、純は部屋の真ん中にいって
愛を見た。
二人で手をとった。

けど

「あ、やっぱり怖い、やめよ~」

と純が離れた。

「あ、いや、でも・・
純さんが踊ろうって言うから
なんかおかしいなって思った。」

と愛は笑った。

純は愛を見て
笑いながら「よかった・・」と涙声でうつむいた。

「愛君、やっと笑ってくれたから
うれしくなったわ。」

愛もそれに気がついた。

「そうですか・・・。」

「愛君、私決めたよ。
わたしは、ここを愛君が笑顔になるような
ホテルにする。
どんなにここに来るお客さんが笑ってくれても
あなたが笑顔にならないと意味がないの。
私は、愛君の幸せそうな顔が見たい。」

純は愛の手をとった。

「愛君わたしは、この人生のなかで
わたしの『と』と結びつくあなたにあえて
その感謝と喜びをここに精一杯こめたいの。
私は、ここを

私の愛君への愛がいっぱい詰まったホテルにしたい。

私は、あなたのために

このホテルを作りたい。」

愛は、純にだきついて

「僕は生きてきたなかで
今が一番幸せです。」
と泣き出した。

純は愛の顔を見て言った。
「だめだよ、そんなこといったら。

もっともっと幸せになってもらわないと困るから。」

愛は、うれしくて泣いた。

翌朝、布団の上で純は日記をつけていた。
が、普通の日記ではない。
愛がおきて「何をしているんですか?」と聞いた。

「家族の誕生日とか結婚記念日とかだけではなくて
大切なことがあった記念日を記していこうって思って」

という。

たとえば、5月は「愛君と始めてあった日」
という項目があった。

「これから一日でも多く素敵な記念日ができればいいな
と思って。できれば、365日全部とかね。」

「僕も頑張ります。」

去年、マリアが正をつれて逃げた記念日とか
あったのを二人はみて笑った。

キンさんの店でお茶を飲む純。

「ああ~~やっぱりおいしい~~~」

と純が言うとキンさんはうれしそうな
顔をするが、どこか寂しげだった。

純は店の外に声をかけた。

「ちょっと
ぐずぐずしないで早く入ったら?」

勝だった。

キンさんは驚いた

「あんた、私に昔こういうこと言ったのを
覚えている?
君は一人でも生きていけるからって。
私はあの時悔しくてさ。
ああそうだよ、私はひとりでも生きていけれるよ
っていうか人は所詮1人で生まれて
1人で死んでいくんだよって
そう開き直ったけど
デモ今は違う。私は、独りでは生きていけない。
私は、弱い人間だから
だめな人間だから
うちの旦那や、家族がいてくれないとさ
あんたもそうでしょ。
ほら

いまならまだ間に合うから、はやくあやまんなよ
おばあに。」

勝はおばあをみた。

仲直りが出来ることを純は確信した。

それからは愛とはホテルの準備をしながらとか
牧場でバイトしながら
どんなホテルにしようかと意見を交換した。

おじいや、おとうさんの思いもこめたいですね

あ、いい、それ、思い出の写真とか品物とか
置いたり飾ったりするの。
お客さんも自由におけるように。

あ、いいですね
自然と共存も・・

じゃウッドデッキには花をいっぱい飾ろう
ホテル中いたるところみどりでいっぱいに
しようか

日本中からお客さんが来て欲しいけど
地元の人との交流も大事にしたいですね

じゃ、思い切って里やのような食堂
をつくって気軽にきてもらえるとか

そうですね、うちの食堂にしかない
メニューを作るとか

ケーキとかお菓子もつくろうよ
あ、そうだ、キンさんのお茶とか出してさ

そういいながら、牧場の草むしりをしながら

「頭に葉っぱがついているよ」
と純がいうと
「純さんもついてますよ」
と、ふたりで頭についた草をとった。
「あ、これ白髪ジャン~~~」と純はいった。
(若いのに・・・お気の毒)

そんな翌朝

「5月25日土曜日
ホテル荷物到着」

と、ボードに純は書いた。

「純、今日は何曜日ね?」
と晴海が聞く。

今日は土曜日。
あ、それと大阪からみんなで引っ越してきて
おじいのホテルをみんなで見た日
そういうと

正もマリアも愛も
晴海も

おじいや善行と一緒にとった
家族写真を見て
「ああ、懐かしいね~~~」といった。

「おかあちゃん、ありがとう。
模合仲間を呼んできてくれて。
あれがなかったらここまで来て
なかったからさ」

晴海は
しばらく考えたが

「何のこと?」と聞いた

が、

「純、のどが渇いた
お茶欲しいさ」という。

「わかった。」

と笑顔でお茶を入れる。

みんな笑顔だった。

ホテルは順調に出来上がっていく。

ロビーにラグをしいて「白にして正解ですね」と
愛は純に言う。

そこへ羽純がきた。

「ここが純ちゃんの魔法の国になるんだね。」
と、ホテルを見て言った。

「うん、何でも言ってね。
何でもするから」

真新しい椅子にかけられたビニールの袋を
はずしながら

愛は「始めてここに来たときどうなることかと
思いました」と話した。
ーおじい、おとうちゃん、オープンはもうすぐだよ

「ビニールは丁寧にはがしてください。」

と愛。

「これか??」
と純は椅子にかぶせられた
ビニールカバーを見て言った。

「純さんが一番気をつけてください」

「いえてますね」

羽純・・。

愛は笑った。

*************

愛は宮古にきてずっと仏頂面していました。

頭がいたのか、なぜ弟純が見えたのか?
それが気になっていたことはありますが
うまくいかない現実に悩んでいたのは確か。

一方、純はあせらずマイペースで考えていたので
その辺は大きな成長をとげた様子です。

しかし大事なことは事業の精神の支柱となる
意義付けができてなかったことに
愛に言われて悩みます。

そして、純はずっと先の見えないホテル開業の
準備を手伝ってくれる愛に、感謝をする気持を
表現しようとおもったのですね・・・・。

昔おじいがおばあのためにホテルを造ったこと。
その精神があってこその魔法の国だったこと。

それをやっと思い出して苦しんでいる愛に自分の気持を
伝えましたね。

「愛君にはもっともっと幸せになってもらいたい」

かっこいいですね・・・純は。

こんな考え方・・・素敵ですね・・・・。

普通は男性が女性に「きっとあなたをしあわせにします」
というけど、このドラマはそうじゃないのですね。
「愛」とかいて「いとし」と読む名前にしたのも
男とか女とかにしばられない大きな生き方を
してほしいと多恵子が思ったことや

善行が純をおんなだからといって、ホテルを継がせないとか
大学も必要ないとかいって純の言い分を聞いてやれなかった
コトを後悔していました。
また、正も男だからとか長男だからとかいうのではなく
純が長男になるのが一番あっているといったこと。

なんで男の癖に主夫をやっているのだと善行に聞かれた愛が
見栄とか男とか女とか関係ないといったこと。

もっとあったかもしれないけど、思いつくのはこういったこと
でした。

とにかく15分でたくさんの要素が一杯詰まっていて
ストーリー展開も速くて
え?と言うてる間に、状況がひっくり返る
なんてざらのドラマです。

昨日だって模合でお金が集まったことで
もう、無理だと諦めようとしていたどんづまり
状態を一瞬にして解消したことなども・・・。

もうあかん、ここまでや・・

と思ったとたん、状況が180度変わるのです。

人生はいいことも悪いことも両方あって
悪いことがあるからこそ、いいことが
とてもうれしいものに思えるという
お話展開です。
ハッピーなラブストーリーで
もなく、

ハッピーなファミリードラマでもなく
ハッピーなサクセスストーリーでもない。

現実、こんなつらいことあるよね、こんな理不尽な
ことあるよね、こんな四面楚歌あるよね・・・
そういいながら、あと三週間。

純と愛との朝のひと時ももうすぐ
終わりです~~~~~~

うれしいのか、かなしいのか・・・

終わってみなければ、わかりません・・。

でもまだまだ、最後までなにがあるのか
楽しみでもあり
恐怖でもあり(笑)