朝、いつものように晴海が
「今日は何曜日だったかな」
と聞く。
「今日は金曜日でバイトに行く」
と純はいった。
純と愛はいまだに元気がない。
「正~~~ご飯がついているよ」
とマリアは正のほおについていた
ご飯粒をとって自分で食べた。
「ラブラブだね~~相変わらず。」と純は言った。
「当然ね、宮古にいるとハッピーな
気持になって正の事を大事にしなくては
と思うのね」
とマリア。
純は愛を見るとデザイン画をみて
何か考えている。
「あの・・・愛君・・・」
と言うと愛はやっと気づいて
「はい??はい・・」
と周りを見た。
「最近二人はヘンだな」
「そうよ、もしかしてけんかでもした?」
「いいえ、ラブラブですよ」
「ね~~~
あ、愛君卵焼きだよ」
「そうですね、純さんあーんしていいですか?」
「はい、あーーん」純は卵焼きを
愛の口に入れた。
正とマリアはあきれていた。
「愛君わたしも・・・」
「はい、あーーん」
なんか、ばればれの芝居をしている気分になるのは
なぜ??
ホテルの掃除をしていると
マリアと晴海が一緒にお弁当を持ってきてくれた。
これから、二人で一緒にでかけるのよと
マリアは言った。
「え?」
純は驚いたが、二人は楽しそうに出かけていった。
純は愛に、もういちどジュークボックスを見に行こうと
提案した。
キンの店に行くと
お店から大きな荷物を持ち出す様子だった。
ジュークボックスを売るので運びだすという。
純は勝にキンさんがどんな思いでこのジュークボックスを
買ったのかを言った。
「なぜこんなことをするの?」と聞くと
勝は観光客がおとすちまちました金で
生きていくことがいやだという。
もっと最先端の仕事をしてビッグに成るのが夢だ
といった。そのための先行投資で
ジュークボックスを売ると言う。
愛は「じゃ僕たちに売ってください」
といった。
「おじいのジュークボックスを。」
純はジュークボックスはもともと自分の祖父
のホテルにあったものだと言った。
キンは驚いた。
「お願いします。」
と愛は頭を下げた。
純もそうした。
勝は「べつにいいよ、高く買ってくれるなら」
という。
「いろいろな事情があってローンにして欲しいのですが」
と愛が言うと
「ふざけんなよ、100万で買ってくれるといってんだ
先方は。」
「そこをなんとか」
「問題にならないよ、どけよ」
と二人をどかせてジュークボックスを持ち出そうと
した。
「高く買いますからいずれ。
かならず、高く買いますから」
と、
愛はとめようとしたが、
「どけよ」、といって突き飛ばされた。
愛は、どこか、体をぶつけたらしく
倒れてしまった
「愛君大丈夫?
どこ、ぶつけた?」
「じゃ、またくるわ、おばあ」
勝はさっていった。
愛はそこにあった鏡に自分をうつして
じっと見ていた。
(純がいるのかナ?)
ホテルに帰った二人。
愛は、いきなり内装のデザイン画を
やぶりはじめた。
「こんなことちまちましても
むだなんですよ。
ジュークボックスさえお金がないから
おけない。
内装工事だってお金がないから
いつになるかわからないし
・・・
無駄なんですよ。」
そういって、自分が作った家具も
壊し始めた。
純はそんな愛を見て、思い出した。
プロポーズをされたときの
ことば。
「これから本当に大変なことがあると
思います、だけど
俺がついているさ、ベイベー」
結婚式のときは・・・
「これから僕たちが人生の岐路に立ったとき
どうするか決めるのは純さんです。
大正区のアパートでは
「僕には二つの夢があって
ひとつは純さんが魔法の国を作ること」
「お父さん僕に言ったのです。
これからも純をたのむ
ずっと支えてやってくれ
純はお前と結婚してよかったって」
純はそっと愛に近づいて
悲しむ愛に寄り添った。
そのとき、純と愛を呼ぶ
声がした。
晴海と正とマリアが
そとにいた。
大勢の人もいた。
「どうしたの?」
「みんながこのホテルのために
模合でお金を出してくれたさ。」
晴海の知り合いだった。
「俺たちのマドンナだった晴海のためだからさ」
と、お金の入った封筒を純に渡した。
「あんた晴海の娘さんだったらなんで
早く言わないか。」
「宮古は住めば都だよ」
「大丈夫だよ、宮古はみんな知り合いだから
晴海がいなくなっても誰かが
家につれて帰るさ」
純は感謝をして「毎月少しづつかもしれませんが
必ずお返しします。
ありがとうございます。」といった。
ビーチで晴海と純が歩いていた。
「おかあちゃん、ありがとうね。」
「このまえあれ見つけたサネ。」
ビーチにうまっていた石に
『晴海命』とほってあった。
「昔、私にプロポーズをしたとき
彫ったのではないかな・・・」
と晴海は言う。
「ドラマチックだね」と純は言った。
晴海は「もっと善行を愛していたら
よかった」といった。
「お父さんはあんなに愛してくれたのにね」
と。
その夜、ホテルで純は愛を待っていた。
帰ってきた愛に
純はいった。
「愛君、やっとわかったよ、ここをどんなホテルに
したいのか・・・・」
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模合ってモアイを読みますが
すごい制度ですね。
このお金でホテルは形ができていきます。
ホテルをどんなホテルにするのか。
精神のようなものを愛は、しりたかったのです。
ホテルはお金がかかりますね。
思えば最初、ホテルの社長になると宣言して
ほんとうか?と思ったけど
もしかしたらこれでほんとうにホテルの社長になれる
のでしょうね。
ラッキーもありますが、アンラッキーのほうが
多かったように思います。
