朝、狩野家は純とマリアの朝食の準備から
はじまる。
愛が起きてきて、どうしてもっと早く起こして
くれなかったのかと不機嫌な顔で
いって、またひっこんだ。

純はどんな魔法の国したいのかと言う愛の
質問に答えられなかったので
それがひっかかっている。

晴海は純に今日は何曜日なのと聞く。
それを書いたボードを見て
晴海はこれは何?と聞く。

牧場とある。

お金をためるために純と愛は牧場でバイトをする
ことになった。

正もマッサージの施設でバイトをすることになった。
「なんで?」と晴海が聞くと
ホテルを開業するにはお金がぜんぜん足りないからと
純は答えた。

「あれ?だったらモアイすれば良いさ。」

「だって200万だよ、無理だよ」
と純が言った。

マリアは「モアイって何?」と聞いた。

正が説明した。

「毎月近所で集まって
毎月決った額のお金を集めるんだ。
そして、集まったお金はそのつきに困っている
人が使うんだ。助け合いだね。」

「へぇ~」

「ま、それを口実に飲んだり食べたりするのが
楽しいんだけどね。」

「それ、いいね」とマリアが言うが
「宮古に帰ってきたばかりだし、いきなり
融通してくれなんて、たぶん無理だと思うよ。」

「そうかね・・・」と晴海。

隣で愛は聞いていたが。

牧場で働く純と愛。
ー私はいったいどんなホテルを作りたいんだろう?
おじいは病気になったおばあに世界旅行を
味わってもらおうとサザンアイランドを作ったけど

わたしは魔法の国、魔法の国というだけで
一番大事なことを考えてなかったのかも。

純は愛を見た。すっかりふさぎこんでしまっている
愛である。笑顔もない。なにかいらいらしている。

そこにマリアから携帯がなった。
晴海がいなくなったという。
どうしようとマリアはいうが。
愛は、純のもっていた道具を取りあげ
早く探しに行けよ、と無言で訴えた。

純は写真を持ってこの人知りませんかと
訪ねて歩いた。

驚いたことに晴海は、じつは有名人だった。
ミス宮古だという。

また、同級生も多い。

キンさんも知っていた。
「みんなに聞いてみようね」といって
連絡をしてくれた。

純はそのとき店の奥に会った
ジュークボックスを見た。

「キンさん、一つ聞いて良いですか?」

「なに?」

「どうして、お孫さんのためにジュークボックスを
買おうと思ったのですか?」

キンさんは携帯を操作していたので、
答えなかった。

純は、すみません、といって
聞いたことを取りやめようとした。

キンさんは話し始めた。
孫が小さいときに
両親が事故で亡くなった。
それいらい、孫は口も利かなくなって
ふさぎこむようになったと言う。
そんなとき、あるホテルに行ったら
ジュークボックスがあって
孫は目を輝かせて、おばあ、どんな曲が好き
かと聞く。次は何をかけるのかと話をしてくれて
・・・うれしかった・・・と話をした。

「そのホテルは・・・」(おじいのホテルです)

純はふと晴海はおじいのホテルのあったところに
いるのでは?と思った。

案の定、そこにいた。

晴海は、なぜおじいのホテルがないのかと聞いた。
借金を返すためにおとうちゃんが売ったのといった。
「大阪のリゾート開発の会社にうったけど
結局、工事中止になったらしいね」、と。

晴海は「もっと自分が頑張ればよかったかも」といった。
「昔おじいに言われたんだよ
私ははれた海と書いて晴海とつけた。けど
私はそんな海になれなかったね・・・」

「そんなことないよ。
おかあちゃんはいつも宮古の海みたいに
きれいでやさしいし。
お母ちゃんがいるだけで家族みんなが安心して
明るい気持ちになれるんだよ。」

「ありがとうね、純。」

純がキンさんのお店に晴海がみつかったことを
報告に行ったときだった。

レジからそっとでていく若い男がいた。
その手にはお金が握られていた。

純は「ちょっとまった!!」と男の手を押さえた。

「キンさん、泥棒よ泥棒~~
警察に電話して。」

「勘違いするなよ。俺はここの身内だから身内」
「身内が逃げますか?」

キンさんがでてきて
「勝」といった。

「あんたいつ帰ってきた?」
「だからいってるだろ?
誤解するなよ、ちょっとかりようと思っただけだ
すぐ返すから」

とまた出て行こうとした。

純は、「ちょっと、ちょっと待って。

キンさんはあなたが帰るのをすごく
楽しみにしていたんですよ。
おばあが丈夫なうちに大切にして
おかないと・・いつか絶対に後悔します。」

と、純が勝をじっと見て言った。

「・・ていうか・・・・・

さっきからずっといおうと思っていたんだけど
あんた、高校のとき付き合っていた
平良勝じゃね??」

「君は一人でも生きていけるから」
といって、別の女子と去っていったやつ。

純はホテルの床掃除をしながら、愛と話をしていた。

「そういえばさ、付き合っていた頃おばあと二人暮らしを
しているといってたんだよ。

ね、すっかり忘れてたよ、間抜けでしょ?」

「そうですね。」

純は、あっさりと愛が言うので振り向いて愛を見たら
いきなり雷が鳴って
雨が降り出した。

「わぁ~~すごい」

「すごいですね。」

で、停電となった。

ランプをつけた。
雨漏りもする。

やることが多いと愛は思った。

「ね、愛君」

「はい・・・」

「これだけじゃ納得してもらえないかもしれない
けど、今日思ったことをいっていい?

私は、おじいの魔法の国には負けるかもしれないけど
お母ちゃんが笑顔になれるホテルを作りたい。
ごめん、こんなことしかいえなくて。」

「あ、いや、こちらこそごめんなさい
なんか、純さんの魔法の国を早く見たくて
あせっていたみたいです。」

そういってまたペンキを塗り始めた。

純はため息をついた。

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だから・・・

愛には急がなくてはならない何かがあると思います。
病気でしょうか?

頭がいたいのも、朝起きれないのも・・・

それで、早くホテルができあがってお客さんを
呼ぶ様子をみたいと思っているのですね。

なんて、違うかな???