宮古に引っ越した純と正の一家。
晴海は調子が悪くて、「純、ここはどこね?」
と聞く。
「ここは宮古でおかあちゃんのふるさとに帰ってきたのよ」
「え?なんで?」
純は里やのお客さんが宮古の別荘を貸してあげるから
ホテルにしてやってくれるかな
といってくれたことを話した。
また、「今日は何曜日だっけ?」
「今日は月曜日でみんなでその建物を見に行くの。」
今日は5月7日らしい。
途中で道を間違えながら、やっと別荘についた。
見掛けは立派である。
「ここが純さんの魔法の国になるんですね。」
ーおじい、お父ちゃん、とうとうここまで来たよ。
私たち・・・
よくよくみるとバルコニーの手すりなどは
さび付いている。
古いのは古いが
とにかく、なかに入ることになった。
晴海は外で勇気の世話をした。
「じゃ、入ってみようか?」
外側の扉はあいたが、
なかの扉の鍵はかかってなかった。
おかしいと思った純。
なかに入ると、ごみとかほこりとかで
むせ返った。
しかし、何かおかしい。
どうやら誰かがはいっていたらしい。
食べ物のごみや、火をたいた後などがある。
何か気配がしたので、近くのドアを開けたら
何人かの人間が飛び出してきて
逃げていった。
警察にいうと、内地から来たお金のない旅行者が
野宿をするのにつかったらしいという。
その警察官は、晴海を見て、「晴海んじゃないか?
おれ、高校のとき同級生だったよ
なつかしいな・・・え??宮古に帰ってきたの?」
というが、
晴海は、愛想笑いをした。
明らかに覚えていないのだ。
純は警察官に母は病気なんですといった。
とりあえず、建物の中を総点検をした。
「どのへやもめちゃめちゃ・・どう電気?」
と純は愛に聞いた。
「電気は線がだめになっていますね。
厨房はカビでめちゃめちゃ。」
「どうするよ?」と正。
「とりあえず、部屋を全部きれいにして
電気とか水道とか全部元に戻すことから
はじめなくては」
正とマリアはそれぞれ言った。
「いや、大変だぞ、これは・・」
「何日かかる?」
力が抜けるメンバーを前に
純は
「みんな頑張ろう、ほら希望のあるところには
必ず試練があるって、村上春樹も言っているし・・」
電気設備の会社に電気系統の普及を頼みに言った。
すると会社の人は「あんたたちどこから来たね?」
と聞く。
「大阪からです。実は私たち高台にある別荘で
ホテルをやることになったので。」
と純は言った。
会社の人は、「しばらく予定がいっぱいだしいつできるか
わからないよ」、という。
「そこをなんとか」、と愛がたのむと
「だいたいさ~。やまとんちゅうがあんなところに
別荘を建ててほったらかしにするからだめなわけよ。」
愛は、「ちょっと待ってくださいよ」
というが、純は愛をとめた。
「しょうがないよ、あの人の気持ちもわかるしさ」
「じゃ、僕が全部直します。」
愛は、オオサキで電気系統のバイトをしていたときに
覚えたことがあるからという。
「でもさ・・」
「ライフラインは早めに直さないと。」
二人は海が見える場所に来た。
「はぁ。・・・とはいったものの
やることがいっぱいで頭が痛いや。」
「大丈夫?愛君」
「大丈夫です、純さんの魔法の国のことを
考えていたら頭がいっぱいになったって
ことで・・・」
二人は雑貨屋さんにいった。
「どれから、買うか・・・」
優先順位を決めようとした。
お店のおばさんは、「お茶、飲んだら?」
と声をかけた。
「いいですか?」
「ついでだから。」
ふたりは、座って飲むと
これがおいしい。
自分でブレンドをしたという。
お茶の葉のポットを見せた。
純は「香りをかいでも良いですか?」
と聞いて、いいといわれて
かいでみた。
愛は、「このあたりに電気系統の修理をする
道具を売っている店はありますか?」
と聞いた。
「あるよ、」
「え?」
「ほれ・・」
そういって、箱に入った商品を持ってきた
「わぁ~~」喜ぶ二人。
「じゃ、蛍光灯とか電球とかはないですよね」と愛。
「あるよ、」
そういって持ってきた。
「なんでもあるんですか?ここ」
と純が聞くと
「そんなことないよ」という。
二人は笑って、「そうですよね」といった
「まさか豚マンとかはないですよね~~」
というと
「あるよ、」
そういって豚まんを出した・・・。
驚く二人だった。
あの日、結婚を決めたビーチにきた。
「やっぱりここから見る海が一番きれいだわ。」
純は、「ね?またあのときのあれやって
僕の心と体は永遠にあなたのものです
っていうやつ・・」
そういって、片ひざをついて愛が
純を見上げていった格好をした。
あの時「僕の心を体は」と,ひざまついた愛は
純の手をとっていった。
「永遠にあなたのものです」
「俺がついているさ、ベイベー」
二人の思い出である。
「勘弁してくださいよ
僕の中では純さんが僕にプロボーズをして
くれたことになっているんですよ。
あのときにこれをくれて・・・」
と貝殻のペンダント首からを出した。
純もペンダントを手にした。
「ね、愛君。
私と結婚してよかった?」
「もちろんです、どうしたんですか?」
「よく考えたらね、愛君になにもしてあげてない
なって・・・私。
愛君がいなかったら途中でめげてここまでこれなかった
かもしれない。
私は愛君をちゃんと愛してあげてるかな?」
二人はお互いをじっとみた。
「純さん・・・・
強くなりましたね。」
「そうかな??
・・・よくわからないけど、心はこういってるの。
あまりあせらないで一日一日今日出来ることを
しようって」
愛は、
「純さんは今の純さんのままでいてください。」
という。
「ありがとう」
純は笑って海を見た。
愛は不安な顔で、純をじっと見た。
愛も海を見たが・・・・
そこに、誰かが立っていた。
そのこは言った。
「愛ちゃん・・・・」
愛は、じっと見た。
そのこは
「幸せ?」
と聞いた。
愛のあたまに家族五人で撮った写真が
よみがえった。
あの日、弟純を真ん中にして
撮った写真である。
その子は真ん中にいた純だった。
純が立ってこっちを見ていた。
愛は
じっと、うつむいた・・・。
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この間も「あたまいてぇ~~~」っていってたよね。
今日も頭いたいって・・・すると純(弟)が現れた。
で、そのタイミングなのか、今日のアサイチの
特集は「脳梗塞」しかも若い年代でもあるぞという
特集だった・・・。連動しているのか???
愛には何かあるのかもしれない。
あの遠慮がちで従順な愛ではなく
反抗期をやっとすぎて、自我を出し始めた
雰囲気が現れ始めた。
人の本性が見えなくなり始めてから
どんどん、普通になりつつあるわけで
それがいいのか悪いのか・・・。
いいということにしますね。
なつかしの宮古ですが、住人さんはなんとなく
内地から来たというと冷たそうです。
原因と結果でありましょう。
しかし、大変な状況で・・・どこまで頑張れるか?
確かに純はひとの気持ちを察していく余裕が
出来てきたみたいです。
あせって何かの結果を出そうとするのではなく
じっくりと取り組む姿勢が出来て来たというかんじ?
愛がどんどん普通に見える・・・のはそのせいかも?
それにしても、愛にしかみえない純(弟)とは?
