結婚式の当日になった。

火野美矢は、突然純に結婚はできないという。
どうしても彼に言えないことがあるという。

「それはなんですか?」

「たばこを吸うこととか」

「大丈夫です、よ。」

「まだ他に・・・」

「私にできることなら何でもしますから
言って下さい。」

と純はいった。

そこへ水田がやってきた。
「おはようございます。」

純はおはようございますといった

水田はよろしくといいながら
美矢の顔を見て
「どうしたの?深刻そうな顔をしている
ね」

というが
美矢は、なんでもないといった。

「式ではうれしくて泣いてしまいそうだから
化粧が落ちないように頼んでいただけ」

といった。

「あ、なんだ、そうなんだ」

と言って里やに入っていった。

純はいぶかしげに美矢を見た。

「忘れてください。マリッヂブルーのようなものなんで」

そういって美矢も里やにはいっていった。

純は何かしら気になった。

いよいよ式が始まった。

ふたりはバージンロードを歩いた。

拍手とかっさい。
後見人謙次のいるもとに歩いていった。

みんなうれしそうだった。

ーおとうちゃん、なんだか嫌な予感して仕方ないんだけど。

ところが急に天気が悪くなり
雨が降ってきた。

みんなで里屋の中に入った。

「じゃ気を取り直して仕切り直しをしましょう」と純が元気よく言った。

「そうね、雨降って地固まるというしね」と里さんは言った

「では乾杯をしましょう、みなさんグラスを持ってください」

みんな乾杯のグラスを持った。

美矢は飲めませんというが
じゃ、と純はやめようと思ったが
水田が「乾杯くらいいいんじゃない?」といった。

乾杯の音頭は里さんが取った

「うちのホテルで結婚式ができるとは
思ってもみませんでした。

だって高校の時の修学旅行で沖縄に行ったとき
うちの旦那にナンパされて、親に反対されて
駆け落ち同然で大阪に来たから
結婚式を挙げてないんですよ。
わたし・・・。

いいなぁ~~わたしもウエディングドレス
着たかったな~~なんであんな人と結婚したんだろ・・」

「おかみさ~~んそろそろ・・・」
と純が釘をさした

「あ、ごめんなさい、
自分の人生をフラッシュバックさせて今いました

とにくかくにも、お二人の結婚を祝して

乾杯」

みんなで乾杯をした。

美矢はごくごくと飲んだ。

ケーキ入刀。

料理が出てきた。

「末永くお幸せにね。」
と師匠が言った。
師匠は水田がきにいったらしく
「旦那借りるわよ」

といって美矢のそばから
水田をひきはなした。

純と愛は美矢が飲めないと言っていたのに
飲めるのでおかしいと思った。

沖縄の踊りになった。

みんなで楽しく踊っているのに、
美矢はごくごくと
お酒を飲んでいる。

そこへあの笑わない女性客の
久世秋代が美矢にいった。

「そのへんにしといたら。
取り返しのつかないようになるわよ。」

もはや、美矢は足がよろよろしていて
いつもとテンションが違う。

「大丈夫ですよ。」

と、へらへらという。

そして踊りの輪の中に飛び込んで行った。

明らかに酔っぱらっている。

きゃはははと笑いながら踊って最後には
倒れた。

「今日はもうよっぱらっているみたいだし
二階へいって寝ましょう?」

と純は言った。

「大丈夫だって言ってるんだよ」
と純の手をおもいっきり振りほどいた。

「人がせっかく楽しくやっているのにぃ。

うるせーんだよ。ほっとけよ~~」

純はただならぬ様子に驚いた。

水田は美矢にいった。
「ね、そのへんにしといたほうが・・」

美矢はうつろになって水田を見た。

「いいじゃない、今日ぐらいは。」

と、水田の肩をたたいた。

「こっちはね、明日からあんたの父親の介護をしたり
貧乏な豆腐屋で働かなければいけないんだから。」

と声を張り上げて言った。

そして煙草を吸おうとして
また倒れた。

「里さんはもう終わりましょ、ね?」

といって純と一緒に美矢をつれて
階上へ行こうとした。

「大丈夫だって言ってるでしょ

みんなも飲めばぁ~~」

と美矢の天下となって支持をした

「人間なんてね酔っているときが一番幸せなのよぉ~~
一番気持ちいいの~~~」

水田は美矢をかばうこともせずじっとしていた。

美矢はまた足をひっかけて転んでしまった。

美矢は気を失い階上へ連れて行かれた。

「だから言ったじゃない。」

と、久世秋代は純に言った。
「どうせうまくいかないって
私と同じ病気だから、あの子」

美矢のそばについていた純。
美矢が目を覚ました。

「大丈夫ですか?」と聞いた

「ねぇ 彼は?彼は・・・?」

純は手紙を渡した。

中には一行だけ。

「申し訳ないけど結婚は白紙に戻させてください」
と書いてあった。

「どうしよう。ね~~」

と美矢はべそをかきながら言った。

「明日一緒に彼の所へ行って話をしましょう」

と純はいった。

「本当ね、本当よ・・」

「でもなんで言ってくれなかったんですか?
もし言ってくれてたらお酒を飲むのを私も止めていたのに」

「怖かったの、嫌われるのが。

このチャンスを逃したらもう二度とないような気がして
だから・・・
でも、彼と出会って今度こそ本当にやめようと思ったの
信じて加速もいないから一人ぼっちなの
彼を失いたくないの、ね、おねがい、おねがい・・・・・・・・・」

「わかりました、それを水田さんに伝えましょう。」

と純は言った。

愛は下で待っていた。

「無理やりにでも僕が本性を見たほうがよかったのでは」

「そんなこと言わないでよ」

「社長、疲れただろう?
もう帰ったら?」

と里さんが言った。

純は、美矢が心配だから里やに泊まるといった。

愛はひとり里やを出たが、なにかしら気になっていた。

へやでは美矢が泣いていた。

夜中、厨房に表れた美矢。
お酒を手にした。

そして部屋でたばこを吸いながら
結婚式の二人の写真を泣きながら見ていたが
寝てしまった。

手に持っていたたばこの吸い殻は
ながくのび、美矢は寝てしまったため
たばこを落としてしまった。
水田と映っている写真と水田の手紙の上に・・・

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純と愛の名物「大どんでん返し」の始まりです。

このお話はそうそう簡単にみんなを幸せにしてくれません。
この水田と美矢という二人。

心が弱いのか、水田にしても自分が結婚できない
のなら、(介護の必要な父親とか家業の豆腐屋とか
厳しい生活が結婚できない背景にアル)人を好きになっても
忍ぶ恋を貫くぐらいの強さを持って欲しいです。

火野美矢にしても、いままでどんな生き方をしてきたのか。
結婚するならあらいざらい話をしてそれでだめなら
自分を大事にしてくれない男だと思って諦める
強さが欲しかった。

久世秋代が「あのふたりは1人でいるのがいやなだけ」
といったことがあります。
つまり誰でもいいのですね。相手は。
たまたま、目が合ったからぐらいなのかもしれません。
純もその辺はミーハーになってしまって
結び付けようとあおったことがあだになりました。

愛が言った深入りしないほうがいいという言葉。
そのとおりで、純は確かに深入りしないように
しようと思ったと思いますが
美矢に相談されて、ついつい、ちょうちん持ちを
してしまいました。

水田を結果傷つけてしまった美矢です。
美矢は里やのみんなの気持ちも裏切ったわけです。

しかし、それだけではすみません。
もっと恐ろしいことが待っていました。

寝タバコによる失火を招こうとしています。
純にとって自分が立ち直れた里やがピンチ
になっています。
女将さんと対立してまで、守った里やが
火災に合おうとしています。

みんなの気持ちが集まった大事な里やです。

久世秋代の正体は?

そして、里やのこれからは?????