水田と火野はいい感じになってきた。
純もなんだかうれしい。
そして、その様子をうらやましそうに
見ているセニョールがいた。
純は言った。
「うらやましいのですね?」
「う・・・あの」
愛は「女将さんに思い切って告白したら
どうですか?」という。
「え???」
「この間あたらしい包丁セットを買って
お上さんにご馳走するって
いってたじゃないですか。」
「は。。」
そこへ里さんが来た。
「セニョール、これから脚本をかくけど
おなかすいたから、おにぎり持ってきて
くれない?」
「はい・・・」
愛が横から声をだした
「よろこんで」
「しく、よろ~~」
「チャンスですよ。
愛のおにぎりを持っていきましょう」
(ここはいとしのおにぎりではなく、あいのおにぎり)
「恋のおにぎり大作戦~~~♪」と純は
うれしそうに言った。(愛のおにぎりと恋のおにぎりの違いが
わからない・・・言葉は難しいぞ)
緊張しているセニョール。
「がんばってください」と愛。
「はい。。あの・・」
純と愛はセニョールをみつめる。
「やっぱり無理です。
何を言ったら良いのかわかりません」
「わかりました。
では、会話の最後を質問にしてください」
「え、どういうことですか?」
「ためしにやってみましょう」
里さんの役を純がする。
純が、「今日、寒いね~~」
という。
セニョールは
「そうですね」
・・・・
・・・・・
愛はいった、
「だから
そこで終わるのですよね。」
挨拶の後に、女将さんは季節の中で
何が一番好きですか?というと会話に
なると愛はいった
「あ~なるほど。
そんなに簡単に浮かぶかな?」
里さんの部屋におにぎりを持っていった
セニョール。
「ありがとう、そこへ置いといて」
と里さんが言った。
純と愛はセニョールを部屋のなかにおしこんだ。
セニョールは手のひらを見た。
詰まったときのアイディアがかかれてある。
「どんな話を書いているのですか?」
「ひみつ」
純と愛は様子を見ている。
「好きな花はなんですか?」
「あんたは?」
「ばら・・・ですかね」
「ふーーん」
「あの・・あああの
好きな季節はなんですか?」
「あのさ、さっきから何?
英文和訳みたいな質問は?
私は忙しいのだから
邪魔しないで」
「すみません・・・
ただ、ずいぶん長くいさせてもらっていますけど
女将さんのことあまり知らないなって思って。」
「ふんふん・・」
「でも自分に話でも仕方ないですよね
失礼しました。」
帰ろうとしたら、出入り口で純と愛がいて
だめだめだめ・・・・
と、顔でものをいう。
セニョールもだめだめ・・・と顔を左右に振っていった。
「まちな」
「はい」
「一つだけ質問に答えてあげるから
いってみな」
「あ、はい・・・・
じゃ、自分のことを何でここに
置いてくれているのですか?
大して料理もうまくないのに。」
里さんは横にあった三線を手にして
「しょうがないだろう。うちの旦那にいわれたんだから」
といった。
旦那さんは、自分が死んでも三線と忍だけは
手放すなと言ったと言う。
「忍はどんなことが会ってもお前を裏切るような
人間じゃないからそばに置いとけば
お前を守ってくれるからって・・」
「・・そうだったんですか・・」
「結構ドラマチックだろう?」
「は・・はい」
セニョールは感動した。
それからのセニョールは、うれしそうに仕事を
している。
千切りキャベツもらくらくと切れる。
あの水田と火野に食事を運んだ純。
水田は、火野に聞いた。
「お酒は飲まないんですか?」
「私は全然・・・水田さんは」
「僕は弱いんです
すぐ赤くなるし」
「そうなんですか」
「たばこは?」
「僕はやめました。
あの、もしすうようでしたら
吸ってください。」
「あの、私も嫌いですから」
「そうですか・・」
と言う会話をほほえましく思う純だった。
「ちょっと、お酒まだ?」
と、笑わない女性客が言った。
純はあわてて、サービスをした。
彼女はアル中のように飲むので
「もうやめられてはいかがですか?」
といった。
女性は、はっとして、
「そんなことより、あんたはまだ
私を本当に笑わせてないのよ」
といった。
「すみません、でもあの二人を見ていたら
なんだかほほえましく思いませんか?」
と聞いた。
女性は後ろを見てから、純を見て
いった。
「あんなのうまくいくわけがないじゃない。
どっちも1人でいるのがいやなだけなんだから。」
「そんな事言わないでくださいよ。
お客さんにはいないのですか?
『と』で結びついているひと。」
「いるわけないじゃない。そんなの。」
・・・・
その夜、家に帰った純と愛。
「なんであんなこというのかな・・あのひと。こうなったら
あの二人に絶対に幸せになってもらわないと。
ほかに何か出来ることあるかな」
「純さん
あまり深入りしないほうがいいと思いますが。」
「何か見えたの?」
「いいえ、最近はほとんど見えません。
でも、直感って言うか・・・
きっかけは作ったから後は二人に任せた
ほうが。」
「そうかな?」
するとそばにいた晴海が言った。
「純、お父さんは?」
と聞く。
純は驚いた。
晴海は何度も聞くので
「そうだ、おかあちゃん、里やにこない?
わたし、いま、あなたの『と』の人
みつけませんかというサービスをしていて
今うまく行きそうなカップルがいるのよ。」
と、うれしそうに言った。
が・・・晴海は、反応しない。反応しないどころか
「純、かわいそうね・・・・・」という。
「え?」
「元気出しなさいよ」
「いやいや、あの。。私元気だよ」
「よくがんばったね
あまり無理しないで泣けば良いさ。」
・・・・・・
翌日、里やでは。
火野が階上から降りてきた。
純に話しかけようとしたが
そこへ、どたばたと多恵子がやってきて
ソファにどっかんと座った。
「はぁ~~~~~落ち着くわ~~ここ。」
「お母さん、今日はどうしたんですか?」
「仕事で疲れた・・。
お宅のゴットハンドマッサージすぐ入れる?」
「はい、大丈夫です。」
純は女将さんから預かった
お金を渡した。
「毎月少しづつだけどちゃんと返しますって。」
「期待しているわ。で、お母さんの具合はどう?」
純は左右を見て、
多恵子に言った。
「最近、表情がなくなっているっていうか。」
「なんとかお母さんを笑顔にして言葉や思い出を失うのを
すこしでも防ぎたいけどどうしたらいいのか
わからない。」と多恵子が棒読みのように言った。
「・・もしかして、なんかいま、わかっちゃいました?」
多恵子も不思議な力を持っているらしいことが分かったから
純はどきどきして聞いた。
「そのぐらい誰にでもわかるわよ」
「あの、ちなみに今私どう見えてますか?」
・・・・多恵子はじっとみて
「別に良いんじゃない、そのままで」
といった。(何か見えるのかな?)
純はよかったぁ~~と思った。
多恵子は階上へ上がる前に
厨房を見た。
愛が楽しそう働いている。
「あの子も張り切っているのね」
「はい。」
「あんな姿を見たのはいつ以来かしら・・」
それから、のことだった。
純が外を掃除していると
火野が声をかけた。
いらいらしているらしく
タバコに火をつけた。(嫌いじゃなかったのか?)
そして、水田がチェックアウトをするというが、連絡先を
教えてくれないといった。
どうしたらいい?と聞くので純は本当に彼のことが
好きですかと聞いた。
「はい、」
「わかりました。」
と純は答えて、セクシーに協力をしてもらって
ヘアメイクをした。
里やを出る水田。
火野は水田に言った。
「私と付き合ってくださいといった。
お願いします。」
すると水田は「ごめんなさい」と言った。
そして、出て行った。
ーお父ちゃん・・・なんで?
***************
だから・・・愛は深入りするなっていったのに。
どうしようもなくなったじゃないの。
恋愛なんて、はたが思っている以上に現実は
別物だったりしますから・・・。
特に結婚なんて難しい。
もしかしたら、身内に犯罪者が
いるかもしれないし、好きであったとしても
結婚するかどうかは、二人が決めること。
純が間に入れるわけがない。お互いの境遇すら
しらないのに。
縁結びの神様は、釣り合いなどを吟味して
大丈夫と思ったら、結んでくれるけど
これは、だめだと思ったら破談にします。
おそらく、これはだめだと思ったのでしょう。
何か訳があるのですよ。水田に。
火野もタバコは嫌いといいながら
相手のことにのぼせているから、そんな嘘を
つきましたね。
火野もわけありな女性なんですよね。
笑わない女性客が言ったとおり
うまくいくわけがない、というのは、ポイントを突いて
いると思いますね。
そう、思いますけどね・・・・。
セニョールの恋は、そばにいるだけでいいという
昔ながらの静かな恋。
信用と信頼の間柄っていいですね・・・・・・・。
