里さんと一緒にやってきたのは
借金取りだった。
町金のような連中である。

「返済日はトウに過ぎているんやし
即刻ここから出て行ってもらいたい」

と、男は言った。

純は、「お願いです、
一ヶ月で良いので待っていただけませんか?
みんなでいろいろ考えてお客さんに
喜んでもらえるようにいろんなアイディアを
だしました。
私たち一ヶ月たったらここを予約でいっぱいに
する自信があるというか、そうして見せるって
今決めました。」という。

「この子もこういってるし、何とか成りませんかね?
」と里さん

「お願いします」
と愛。

「お願いします・・・」とセクシーほか
みんなも頭を下げた。

「頭下げられても無駄ですわ。
こっちは、今日からここを・・・」

といって、ボスらしい男が、ソファに座っているセニョール
と師匠をどかして、
自分がすわって威嚇のようにどんと
テーブルに足をおいた。

「新しい事務所にしようと思っているんです」

みんな、怖がって部屋の隅に逃げた。

「ふふふ・・」男はうれしそうに笑った。

ひとりだけ、逃げない人がいた。

多恵子だった。

「あああ~~」と背伸びをして
首を左右に振って肩をまわした。
コキッていう音を出しながら。

この緊張感のなかでなんだろうと純は驚いた。

めがねをかけて、つかつかと男のそばに行き
「ちょっと借用書見せてくれる?」

といって男からひったくった。

「なにすんねん、あんた?」
パラパラと書類をめくって
いった。
「そもそもあんたたち抵当権者でもないじゃない。
だったらルールにのっとって訴訟を起こして
判決を勝ち取ってからではないと、明け渡しを
求めることなんか出来ないのよ。

ついでにいっとくけど、あんたたちが昔
悪徳なやり方で強制退去や不法占拠したのを・・

散々とっちめたことがあるんだけど・・・」

と、めがねを取って、顔を近づけ、「覚えているかしら

私のこと」といって名刺を見せた。

名刺をみて、男は言った。
「やば・・・待田法律事務所・・・かなわんな」

「今日のところはお引取り願えます?」

「いや~~しかし・・・ね?」

「じゃ、警察呼びましょうか?誰か電話して」

男たちは、わかりました、といってあわてて
帰っていった。

多恵子は男が座っていた場所に座って足を組んだ。
師匠は「かっこいい~~」といった。

「やったぁ、ママ復活や」と誠は喜んだ。
「お母さん、ありがとうございます」純は
お礼を言った。
「さっき言ったことは本当でしょうね?」

「・・・?」

「一ヶ月でここを予約でいっぱいにしてみせるって」
「はい・・」

「だったらここの借金、肩代わりさせてもらえますか
女将さん・・・」

「え?本当ですか?」

「ここがなくなったら困るんですよ、私・・・・」

「ありがとうございます」

「本当にありがとうございます、おかあさん。」
純は感動してうれしくなった。

「そのかわり、約束破ったら即刻全額
あなたが返済すること。」

と言って、純の前に立った。

「さもないと、
ぶ、た箱に
ぶ、ちこんでやる」

「ぐ・・・・・・・・・・わかりました。」

家に帰る誠と多恵子を純と愛は見送った。

「ねぇママせっかくやから、ここの顧問弁護士に
なったら?」

「あ、ぜひ、お願いしたいです。
きっといろいろトラブルがあると思うんで。」と純。

「わたしは、客で来たいの。ここには」

「おかあさん、今日は本当にありがとうございました。」と愛。

「ね、さっき言ってたこと本当?

ほとんど見えなくなったって言ってたでしょ?」

「はい、純さんとであっていろいろな人と触れ合って
それで里やにきたら人の幸せそうな顔を見るのが楽しくなって
きました。」

多恵子は振り返って純と愛を見た。
「ジャ、私も良くなるかしらね、いつかは・・・」

「・・・・・・・」

「もしかして、ママもなんか見えていた?」

「そんなんじゃないわよ。
あなたたちの父親みたいに
耳鳴りがしたり、誠みたいにどいつもこいつも
臭くてたまらなかった。」

純は驚いていった。
「それでも、今まで平気なふりをしていたのですか?」

多恵子は振り返っていった。

「そんなものに負けてどうするのよ」

「お母さん・・・」と純。

「デモ、私も少し楽になった気がするわ。」
と、里やを見上げていった。
「ここに来て。あんたもあいも変わらず元気そうだし」

と純に言った。

多恵子はさっさと歩いていった。

誠は、多恵子は純たちのこと
が心配でここに来たと言った。純が善行をなくして
元気がなくなっているのではないだろうかと心配
していたらしい。

「そう・・・・・」

「なにやってんの、誠」と多恵子が誠を呼んだ。

「はいはい。ジャね・・・」と、誠は言って
去っていった。

動画サイトで里やの紹介をアップしたら
結構人気になって、一ヶ月たったら
予約でいっぱいになった。

セニョールと愛の世界の料理なんでも作ります。
とか、イケメン正のゴットハンドマッサージ。
セクシーの華麗なヘアメイク。
何でもリクエスト受け付けます、羽純の人間
ジュークボックス。
待田謙次の法律相談。
誠の匂い占い・・・

ーねぇお父ちゃん、もしかしたら私たちはもともと
魔法使いだったのかもしれないね。
だって赤ん坊のころ、自分を見ているだけで
みんな笑ってくれてたんだし。だから、わたしは
信じたい、自分のなかにはまだたくさんの人を
幸せにする魔法の力があることを。

ロビーで客、従業員ともども
楽しく琉球の踊りを踊っていた。

「あらぁ~~寝ちゃったよ、社長。」
と里さんが言った。

愛は、「寝かしてやってください」と言った。

この一ヶ月、純は寝る時間もおしんで働いた。
来てくれたお客さん全員にお礼のはがきを書いて
仕事が終わってから一軒一軒、配った。
切手代の節約である。

それを来てくれたお客さんたちはもっていて
「これを?」と驚いた。

愛は、そんな話をしてろくに寝てないので、
と説明した。

里さんはそんな純をじっと見ていた。

夜中、みんなが寝静まった頃、純はふと
人の気配におきた。

里さんが横にいた。

純に見せたいものがあるといった。
それはあの、不思議な扉の向こうだった。

はじめてはいる、扉の向こう。

里さんは、「入っておいでよ。」

といった。

純は、緊張してはいると・・

そこは、狭いながらも
どどんと天井まである書棚があって
ノートや、ファイルがぎっしりある。上のほうを
探すためのはしご段まである。

ご主人が残してくれた、顧客名簿や
里やの様々な資料だった。

そのすごさに純は圧倒された。
「コンシュルジュのパソコンみたいです。」
たくさんのデータがあったればこそ
今までやってこれたと言った。
「ご主人の愛がいっぱい詰まっていますね。」

里さんは、「ここをあんたに譲りたいのだけど」
という。

「なんだかあんたに譲るために旦那もここを残して
くれたようなきがする」と里さんは言った。

うれしくなった純・・・

ーお父ちゃん、おじい、もうすぐ本当の
魔法の国が出来る気がしてきたよ
わたし・・・・。

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多恵子、かっこいいですね。
すごくいけずだったけど、すごく男前です。
ハンサムウーマンっていうのかな?

里やで復活したのは、従業員と
愛や待田家のメンバー、狩野家のメンバー。
そして純が・・・。
里やがあってこそと思うから、こんなに辛いことも
乗り越えられたのですね。

さて、魔法の国は・・・・本当にできるのでしょうか?
予告編は、里やが燃えていました。
人生山あり谷ありといいますが
ありすぎでしょう・・・

ドラマチックすぎませんか?。

(まぁ、ドラマやけどね)また来週。