里やをたたむと決めた里さん。
店の備品を処分したのでがらんとして
しまった。
純は扉をたたいて里さんを呼んだ。
「みんな里やが大好きなんです。
やめたくないのです。
お願いします。
女将さん。」
純は扉をたたいた。
すると里さんがでてきた。
「忘れたの?私に二度としゃべるなって
いったでしょ。
ついでにお母さんたちにでていくよういっといて
くれる?
明け渡さなくてはいけないんだから。」
そういってまた扉の向こうへ入っていった。
セクシーはもうだめだと思ったのか
荷物を手にした。
「セクシーさん、行かないでくださいよ
ほら、華麗に変身ヘアメイクをしましょうよ」
「今度こそ無理よ。」
羽純も・・・「あんな叔母さん見損なった。」
そういって荷物を手にした。
セニョールも、里さんの命令だからと
出て行くことにしたと言う。
ーお父ちゃん、やだよ。これでみんなとお別れなんて。
純は彼らの後姿を見送ったが、
追いかけた。
「あの、やっぱり考え直してください。
ちょっと待ってください・・」
「いい加減、あなたも諦めたら?」とセクシー。
そこに、師匠が泣きながら来た。
大好きだった彼にチョコをあげたら、
気持ち悪いと言って、返されたらしい。
チョコも割れていた。
「もう、いやだぁ~」
という。
「そうか、今日はバレンタインか。」
師匠はおいおいと道の真ん中でないた。
みんな「師匠、しっかりして」というが。
そこへ正が来た。
顔に絆創膏がはってある。
「どうしたの?おにいちゃん」
「会社くびになった。」
「えええ?」
正はビジネスホテルで働いているが
ロビーであまりにも肩がこっていそうな
女性の客がいたのでマッサージをしたら
気持ち良いので部屋でしてほしいと言う。
部屋でしていたら、ご主人が来て
「おまえは何をしている、他人の女房に」と
誤解されて、殴られたらしい。
しかし、その男性は自分の会社の社長だったと言う。
ウンのないやつである。
もともとホストなのでそんな色気があったのかも
しれない。
「首になったことおかあちゃんには言うなよ」
といわれた。
「ああ、皆さん・・」
そこに愛と晴海が来た。
「その顔どうしたの?」と晴海は正に言った。
「ころんだので」
「ああ、そうなの」
「お母ちゃんこそどうしたの?」
というと
愛が「今日はバレンタインなので
皆さんとケーキを食べようと思って
もってきました。」
と、いった。
士郎がケーキの箱をうれしそうに見るので
純は立ち話もなんですから
といって、里やに入ることにしたが。
入ったところで椅子もないので
やはり、立ち話になる。
「どうしたの?何もなくなって。」
晴海が言うと、多恵子がお酒を手にして
「ここをたたむので処分した」と話すと
晴海は、「あの・・・あなたどなたでしたか?」
と聞く。
多恵子は、「え??」と驚いた。
純は、「お義母さんはセクシーさんの
ヘアメイクでイメージチェンジをしたから
わからなくなったのよね。」
「あら、本当・・」と晴海は驚いた。
「この人にやってもらったのですよ。」
とセクシーのそばにいって多恵子は言った。
「お母さんもどうですか?」と。
「そうだよ」、と純が言うと
「じゃ、お願いしようかな」と晴海はいった。
「でも椅子も何もないし」とセクシーが言うと
晴海は剛にたのんだらという。
どうやら、剛はリサイクルショップに
勤めているらしい。
不用品の椅子やテーブルがたくさんあると
いっていたという。
純は剛に椅子とテーブルを持ってきて
というが、面倒くさいと
言われた。
そこを誠が、純の携帯をひったくって
「別にええでつよきち。私のチョコは、いらへんのやな?」
と、脅した。
っていうか、馬の面の前ににんじんか?
剛の面の前に誠のチョコか?
かくして剛は店の不用品の家具を運んできた。
「まこっちゃん、チョコは?チョコ。」
「え??」
「ほら・・」と手を出す剛。
「あ、お母さんの髪切ってあげてくださいよぉ」
と誠は話をそらす。
「みなさん、お弁当も作ってきましたから」
と愛はやることがすごい。
みんなうれしそうな顔になる。
椅子に座っている多恵子が肩が痛そうな
様子をする。
純は、「もみましょうか?」と触ると
多恵子は「触らないでって言ったでしょ」と
怒った。
純は横にいた正を見て、「お願い」と言った。
「お義母さん、うちの兄はすっごく上手なんです。
いかがですか?」
と聞くと、「本当に?」といった。
正が「失礼します」と言って肩をもむと
「すっごく凝っていますね・・・・」
と続けた。
純は多恵子の様子をじっとみていた。
多恵子は、「う、ううううわぁあ・・・・・」と
顔をしかめたので、純はどうかなと心配になった。
「どうですか?」と聞くと
「ン~~~~~~ギャギャ!
・・・・・・
気持ちいい~~~~~~~~~~」
「そうですか。」と正。
「こんなの初めて」
「頑張ります。」
「おにいちゃん、もしかしたらこれ
天職かもよ。
だったら、いっそうのこと里やの
マッサージ師にならない?
仕事、首になったんだし。」
「ばか、言うなって言ったろ?」
晴海はびっくりした。
「いやいやいや・・・。おい」
「ごめん、でもさお姉ちゃんもおにいちゃんに
マッサージをしてもらっていると
気持ちよさそうだし、勇気も泣いてても
おにいちゃんがさするとすぐにきげんが
よくなるし・・・。
だからおにいちゃんの手はゴットハンドなんだよ。」
正は自分の手をじっと見た。
「そうだ、愛君の料理にセクシーさんのヘアメイク。
それにおにいちゃんのマッサージをつけたら
もう、ここはパラダイスだよ。」
セクシーのヘアメイクで晴海はイメージチェンジ
をした。
「あらァ晴海~~ぃ
高校の頃に戻ったみたいよ」
と師匠が言う。
「もう、やめてよ」
というが、きれいだし
かわいいし・・・とみんながいう。
(さすが、森下愛子さん。)
「皆さん、食べてください~~」
用意の出来た愛は料理を出した。
剛はおいしそうに食べた。
「ああ~~~絶対お客さんが来るのにな
もっとこう・・・いいアイディアないかな」
と純は考える。
「料理でしょ、ヘアメイクでしょ、マッサージでしょ
あとは・・・・なんかないかなぁ~~~」
と純は、柱をたたいて考えた。
その様子をさっきからじっと見ていた羽純は
すすっと扉の前に言って
「ちょっと。おばさん出てきてよ
私本当にここで働きたい。
がんばってどんなことでもするから
お願い、出てきてよ」
すると扉が開いて
里さんがでてきた。
「もう、うるさいね、あんたは。」
と羽純をにらんで
どこかへいこうと横をとおりぬけた。
純は里さんをとめた。
チョとちょっと待ってよ
おかみさん
いったいどこへ行くのでしょ?(もしもしかめよ~の歌で)
「あんたこそなんで歌っているわけ?」
「だって、しゃべるなって言われたし・・」
「馬鹿だね、ちょっとどいてくれる?」
純をどかした里さんだった。
するとセニョールが里さんをとめた。
「いかせません。」という。
「わたしは、好きなんです。
さ、里・・里やが。愛さんに教わって
お客様が残さないような料理を作りますから・・・」
といってセニョールが土下座をした。
「おねがいします。」といった。
セクシーも
「私も最初ここに来たときなんて汚い店だと
思ったけど、今は里やがすきなんです。」
師匠は、「ここは孤独な人間のオアシスなのよ
ここに来ると私は1人ではないんだと
思えるのよ
そんな店をあんた、簡単になくして言いわけ?」
「女将さん、師匠の言うとおりですよ・・」と誰かが言った。
「お願いだから、考え直して」と羽純。
愛も、正も、みんなお願いします考え直して
という。
晴海も、「女将さん、私もここに来るとほっと出来ますよ」
多恵子は「私はどっちでもいいけど・・・」
「ちょっとママ・・」
「ねぇねぇまこっちゃん、チョコは?」
「うるさい」
「女将さん、お願いします。
わたし、お父ちゃんなくしたから思うんです
ここに来た日とみんなが家族になれるような
そんな場所にしたいって」
「お願いします。」
みんなが言った。
「ドラマチックだね
ていうか
馬鹿だねあんたたち
こんなところにいてもろくなことないのに
ほかのところに行ったほうが
幸せになれるのに。
なにいってんのよ。
みんな・・・あああああああーーー」
里さんはなきながら言った。
「えーーん・・・
わかったよぉ。もう一分張りして
お金貸してくれそうな人さがしに
いくから。
その代わり一つ条件があるけど
これからは女将さんではなくて
ボスって読んでくれる?
でないとやる気がおきないのよ。」
「わかりました、ボス。」
と純が言った。
「ボス、」
「ボス・・」
「ボス」
とみんなも言った。
「じゃ、とりあえず、トイレに行かしてくれる?
もう、もれそうなんだよぉ~~~~~」
里さんは、急いでトイレに向かったのでした。
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やる気になった里さん。
新生「里や」は、如何に変身するだろうか?
こうなると、もうはや、魔法の国にちかくなっているような
気がします。
エリート弁護士の多恵子のやる気のなさも
ここだと癒されると言うし
宮古こいしや、の晴海の気持ちもここだと
癒されると言うし
孤独な恋愛趣味の師匠もここだと
癒されると言うし・・・
みんなが楽しそうにする場所。里や。
出て行こうとする三人を引き止めたのも
やはり、その魅力だったのかもと思います。
里さんはそんなみんなが好きだから
やる気のない女将の自分の店より
ほかの店に行くほうがいいと
愛情で、出て行けといったのでしょうが。
里やの魅力は思っている以上に
みんなに浸透していたのですね。
しかし、まだ再建の緒に着いたばかりです。
厳しいのはこれからかもしれません。
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出来た!!
朝にアップできた!!!
やればできる!!!
わたしも、正のゴットハンドが
欲しい!!!!!!
