「・・というわけだから、私は脚本家になろうと
思っているの。
コンクールに出す原稿をかいているから。」

そういって、里さんは扉の向こうに消えてしまった。

唖然とする一同。
セクシーは「やっぱりあきらめるわ。」

といって美容室の連絡さきのメモを見た。

純は「そんなこといわないで」、というが

そこに、来客があった。

「いらっしゃいませ」

と純が言うと

その人は「客じゃないのよ。」

といった。

男性と女性の二人の客は
なんと羽純の両親だった。

里さんから電話をもらったらしい。

一緒に那覇に帰ろうという

羽純は「拒否」といった。

「あの・・・」

と純が声をかけると

「邪魔しないで」

と、言われた。

羽純は何かを言おうとしたが
里やを飛び出した。

「それじゃ、来週からお世話になりますので
よろしくお願いします」

セクシーはそういって携帯を切って
「士郎、引っ越しの準備をしよう」

といって、部屋へ行った。
「待って下さい、セクシーさん
もうちょっと考え直してください」

しかし・・
とりつくりまのないセクシー。

「ちょっと愛君」

と純は愛に援護を頼むと

愛の携帯がなった。

なんと、ヘルパーさんと交代の時間を
まちがっていたらしい。

そそくさと家に帰る愛だった。

「師匠・・・」と金城にいうと

セニョールとともに消えた。

「もう、おしまいみたいね・・・
このホテルい見えないホテルは」

と、多恵子が言った。

誠が多恵子をつれて階上へ行った。

そして誰もいなくなった・・・?

純がひとり残された。

お父ちゃん・・返す言葉が
ナッシンング。

家に帰ると純はびっくりした。

羽純がいた。

「なんで?」

「どうしてもかくまってくれとお願いされて」

と愛が言った。

純は「いったい何があったの?」と聞いた。

「協力してあげたいけど、何も話さないと
できないよ」

「・・私は・・・」

「うん?」

しかし、羽純は俯いてしまった。

晴海は、羽純の手をとって

「あなた・・なまえはなんというの?」と聞いた。

「羽純(はすみ)」

「いくつね?」

「19です。」

「あなた、宮古の海みたいよ。
すきとおって本当にきれいさ。」

「・・・・・・・・わたしは、昔から私が話す
といいことが一つもありませんでした。

小学校でともだちができるたんびに

うれしくて。好きな本とか音楽とか
いっぱい教えようとしたら
結局いつも、あんた、うるさいよって言われるし
中学のクラスや部活でみんな仲良くしようとかがんばろうと
かいうと
きれいごとを言うな偽善者と言われるし
仲間外れにされて。

高校の時に親友が変な男と付き合っているから
あんなおとこやめたらといったら、
あんたが取る気でしょっていわれて絶交されて
大学の時にやっと私の思うことをわかってくれる人が
現れて彼のこと好きだったし彼と一生一緒に
いたかったし、駆け落ちしようと那覇空港で待ち合わせ
したけど、何時間待っても彼は現れなかったし
結局夜になって一通メールが来て
『君は重い』とかいてあったの。

でももう家には帰れないし
そしたら、なんでか、里やのおばさんのことを
思い出して、気が付いたら里やのまえにいたの。

その時決めたんです。また私がしゃべって
渡しから人が離れていくのが嫌だから、死ぬまで
必要最低限のことしか言わんとこうと思って・・・・」

純は黙って聞いていた。

そして、

「なんだ、私たち似てるよ」

「え?」

「わたしもね、自分が正しいと思うことを言うのだけど
結局周りの人を怒らせたり迷惑をかけたりするのね
もう、なにも言わないでおこうと思ったことなど
一度や二度ではないし

でもね、どんなに辛くても自分が思っていることを
正直に伝えることを怖がってはいけないと思うの。
おじいがいってたの
言葉は魔法の源で
ひとを癒したり、救ったりする力があるんだよ
って

だからさ、羽純ちゃんも私たちにいくらでも話していいから。」

羽純はそれをじっと聞いていた。

晴海は「よくしゃべったね~~」
と、笑いながら、羽純を抱いた。

「いい子だね~~~」

羽純は泣きじゃくった。

「よくしゃべったね・・
つらかったね」
純も羽純を慰めた。

翌朝、里やへいった純と羽純だが。

ちょうど、セクシーが出ていくところだった。
セニョールが引き留めているところだったが

純が「もう行くのですか?」

と聞くと

「向うの美容院も早く来てくれって言っているし」
という。

「セクシーさんちょっと待ってください」

といって、羽純に何か言ってあげてというと
羽純は、「セクシーさん」といって
「だめだ~~話せない。心の準備ができてない」という。

「いくよ、士郎」
といってセクシーは行こうとした。

「そんなこと言わないでください」

「あんたもいいかげん、あきらめたら?
じゃ・・・」

そこへフラフラの多恵子が来た。

「ね、あなた本当に美容師なの?」

多恵子はセクシーに髪をきれいにしてといった。

鮮やかな手つきで髪の毛をそろえて切っていく。
「メークも少し変えたらいいと思いますが」

「任せるわ」

「はい・・」

出来上がった多恵子は、びっくりするほど
変わっていた。

「ええやん、ママ、優しそうに見えるし、若く見えるよ」

と誠。

「すっごく、すてきです。」

と純。

「何かご不満でもありませんか?」

とセクシーが聞くと

多恵子は「これでいいわ、いくら?」

と聞いた。

セクシーは受け取れないといった。

「そうはいかないわ。」

「いえ、いつか助けていただいたお礼ですから。」

「そう、わかった。」

純はあざやかなセクシーの手つきと
技術力に感心した。
そしてやめないでほしい、里やの売りにしたいと
いった。

そして里さんを純が説得するといった。

里さんの扉をノックすると
里さんができた。

「あらぁ~~あんたたちまだいたの?」

「女将さん、セクシーさんのヘアメイクを里やの
うりにしませんか?」

そういって多恵子をみせた。

まるで舞台の演出のように

せりふをいいながら、「すばらしい」

「頑張ります~~~」と連発をした。

「羽純ちゃんセリフ・・・」と純がいうと

里さんはあきれて
「あんたたちは、さっきからなにをしているのかな?」

と聞いた、

「女将さんはドラマが好きだから
熱血風にしたらどうかなと思って」

「わるいけど、下手な芝居を見るのが一番むかむかする
のよね、わたし」

純はどうしようもなく言いよどんでいると

人が入ってきた。

「失礼します。
どれですか?
処分するのは?」

「あ、そこにある椅子とかテーブルとか
もっていってくれない?」

と里さんが言った。

「女将さん?どういうことですか?」と純。

「必要ないから処分しているの」

「本当にこれでいいのですか?」

「え?」

「里やというのは旦那さんがつけたのでしょ?
旦那さんの愛がここにはいっぱい詰まっているのでしょ?」

「傷ついた。
あんたのいいかたは、人を傷つけるのよね

もうしゃべんないでくれる、私に」

羽純は、「おばさん」といった

「私もここがなくなるのは嫌だ。
一生懸命働くから、か願いだから考え直してくれないかな」

「あんたも家に帰んな。荷物まとめといたから
ほら。」

そういって里さんは羽純の荷物を渡した。

「女将さん・・・」とセニョールは言った。

「あんたも紹介した店に早くいって。
これは命令だから。
みんなも早く出て行ってくれない?

じゃ、私シナリオあの続きを書かなくてはいけないから」

そういって、扉の向こうへ消えた。

おとうちゃん、こういうの四字熟語でなんだっけ?

ううう・・ん。呆然自失???

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里さんの決意は固い。
しかし、傷ついた。とは??
従業員も結構傷ついていると思いますが。
職場を選べないとは、つらいものですね。
純の土壇場の逆転劇はあるのか???

借金の返済さえ、できれば、いいのです。
もし・・・ですよ
もし・・・・。

純がこのホテルをやるとしたら??

里さんだって、シナリオライターになりたい
はずだし、それが彼女の夢なんだったら
そうすればいいと思うのですね。

ただ、お金持ちでもない純にこのホテルを
買い取る力があるのかと
いうことですが・・・・・。

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遅くなってスミマセンです。
ちょっと、体調が悪くて・・・しかし

大丈夫です。

では、また明日。