ーおとうちゃん、お葬式のあとおにいちゃんから
言われました。
「純、これから長男はお前だ。
これから一家の長男として家族の問題を
お前が決めるんだ。」
晴海には隣の山田さんが引っ越した後に剛と
入ってもらった。
剛は生まれて初めてネクタイをして
就活に行く。
ヘルパーさんが来てくれて
晴海の面倒を見てくれるが、来ないときは
愛が晴海の手伝いをする。
正は晴海もマリアもいやがっていたホストを
やめて、里さんの紹介でビジネスホテルで
働くことになった。
万事、すべてオッケーの狩野家であるが
ところが・・・・
純が里やに行くと、里さんが従業員全員を呼んだ。
大事な話があるという。
それは
里やをたたむというのだ。
里さんは当然のような顔をする。
「急で悪いんだけどさ、今週いっぱいで
たたむことにしたからさ」
「え????」
「どうしたの??かたまって。
心配しないで、長期で止まっているお客さんには
事情を説明して、ほかの宿泊先を紹介するからさ。。」
純は、「そうではなくて・・・・」
といいかけると
「大丈夫だからさ、みんなの再就職先もちゃんと考えている
からさ・・・」
そういって、里さんは、「えっと
社長にはここのホテルどうかな?」
とメモを渡した。
「そういうことじゃなくて、理由はなんですか?」
「やっぱりそれ、きいちゃう?」
「はい・・」
「あんまりドラマチックじゃないからいいたく
ないんだけど・・・」
「いきなりやめるとか言っても・・・」
「ねぇ?」と従業員に向かって同意を求め
「納得できないですよ、私たち・・」・と純は里さんにいった。
従業員もそうだ、と言わんばかりの、沈黙。
「ようするに・・・
借金でくびがまわらなくなっちゃったの
まあ採算度外視でやっていたからね・・・
しょうがないんだけどね、あはっ!!」
ーそんな他人事みたいな・・
「旦那がうちの名前なんか付けるし
思った堀保険金を遺してくれたから
何とか今までやってきたけどね。
お金貸してくれそうなところからは全部借りつくしたし
建物の担保になっているから
でなくてはいけないの、来週までに。」
「そんな・・・」
「そんな辛気臭い顔しないでよ
いったでしょ、就職先をちゃんと紹介するからってさ。
セクシーにもよさげな美容院、2~3見つけといたから。」
とメモを渡した
「セニョールにもこのレストランへ行けばすぐ使ってくれるから」
とメモを渡した
「わたしは・・・あの・・」とセニョールが言いよどむが。
(無視)
「それから、チュルチュルには
もう沖縄に帰りな。親も心配しているからさ。
ほら・・・」と飛行機のチケットを。
「拒否」
「いつまでそんなこと言ってるつもり?
いろいろあったのはわかるけどさ、
甘えるのもいい加減にしなっ」
するとチュルチュルはたちあがって
「私は・・・・・」(強)
といった。
純は驚いた。
「初めて主語を言った。チュルチュルちゃんが・・・・」
チュルチュルは勢いで立ち上がったものの
いいよどみ、里やから逃げて行った。
「ちょっと待ちなって。」
そこへ階上から笑わない女性客が降りてきた。
雰囲気の悪さに
「あら?邪魔だったかしら」という。
里さんは、「いいのよ、ちょうどいいから大事な
話があるから」
といって、客と一緒に上に上がった。
その日、純は里やの扉に
「今週で営業を終了します」
という張り紙を見た。
「もう、こんなものを貼っている・・・」
セクシー、セニョールとともに見つめていたら
そこへ、師匠がはでなストールをまいて
やってきた。
張り紙を見て、「ちょっとどういうことよ、
本当にここがなくなってしまうの?えええ??」
「私たちも嘘~~」と思ったのですけど。
「なによ、」
すると、ドアが開いて、宿泊客が列を作ってやってきた。
先頭は里さん。
「さぁ~~みなさん、いきますよぉ~~~~」
そういって、片手に傘をもって
「この傘が目印です~~~
迷わないようについてきてください~~~~」
「ちょっと、おばさん、どうしたのよ」
「うちに、泊まっていたお客さんに新しいホテルを
紹介しに行くんだって」
「えええ?なによ、じゃ、これからさみしいときは
どこへいきゃいいのよ、わたし、ん、もう~~~」
純はセクシーにどうするのかと聞くと
ここだから士郎の面倒を見ながら務めることができたという。
「できれば辞めたくない。」
セニョールは、「私はおかみさんに従うだけです」
という、師匠は、別の店に言ったらもう会えないのよ
といった。「好きなんでしょ、あんた」
「えええ?そうなんですかぁ?」
純がうれしそうにいうと
「私はそんな・・・」といいながら
振り向いた先に
チュルチュルが隠れていた。
そして、「行かない」という。
純は何か言いたそうなので、話をしてみてというが
チュルチュルは逃げた。
その夜、里やの再建計画を考えている純。
何かいい方法はないのかと悩んでいる純に、愛は
しっかりとした再建計画を示さないとお金を借りる
こともできないという。
時間はない。一週間、土曜日まで。
翌日、厨房で全員集合し愛も座っていた。
愛は「里やの再建計画について皆さんにも協力をしてもらおうと
思います」という。
「まず問題点から・・・・」と・・・
セニョールを見た。
「え?なんですか???」
「この点に関しては純さんから発表してもらいます。」
「・・・・・えええ?
まず最初に、料理がいまいち。」
なぜか完食されないセニョールの料理。
それはわかっているらしいが、どうしようもないという。
「他の問題点は?」とセクシーがきいた。
「ホテル自体は地味で部屋がせまい。HPもないし
おかみさんが宣伝するきがない。
食堂を利用する近所に人しかこない、来
たとしてもお客さんが喜ぶようなホテルの
売りみたいな物が全くない・・・です。」と純が答えた。
「なんか・・・話を聞いていると絶望的な
気分になってくるけど・・・」とセクシー。
「いやぁ~~そんなことは・・」と純が言った先に
「だから言ったろ。もうあきらめな。」と里さんがいた。
みんなびっくりした。
純は、おかみさんに、気持ちを話した。
おじいのホテルがなくなって、生きる希望を失ったとき
ここにきて食べた沖縄そばがおいしくて元気になったこと
を話した。そしてここに来てからのことも。
「みんなにもいろいろ助けてもらって
改めて沖縄の温かさとか優しさを感じて、
宮古に育って事を誇りに思えたんです。
きっとここに来たお客さんも
私と同じように勇気とか安らぎをいっぱいもらったと
思うんです。
だから里やを辞めるなんて言わないでください。」
里さんはじっと後ろを向いていた。
「私たちみんな頑張って少しでも借金を返せるように
がんばりますから」
振りかえって里さんはいった。
「ああ・・ごめんね
ドラマだったら涙流してありがとうと言うべきところ
だろうけど
始まったものはいつか終わるものよ・・・。
あら・・
わたしいまいいこと言ったわ・・・メモっとこう」
「ちょっとおかみさん、」
「いいから、あんたたちも早く就職先を決めたら?
土曜日までには出て行ってもらわないと
いけないんだから」
「ちょっと、待ってください・・・」
里さんは帳場の向こうの低い出入り口へ消えた。
純は立ち尽くした。
「やっぱりあきらめるしかないんじゃない?」
とセクシー。
「終了」とチュルチュル。
重い空気になった。
「ちょっと愛君、どうしたらいい?」
「気になっていたことがあるんです」
「なに?」
「あの中はどうなっているのかと。」
愛は里さんが消えた出入り口をさした。
「そうね・・・」
里さんが消えてから三線と歌が聞こえる。
「そうじゃないでしょ。」
と純は言った。
「里やの再建計画よ」
ああ~~と、ため息の中、セクシーが言った。
「お宅のお母さんなら何とかしてくれるのでは
ないの?」
多恵子がセクシーを救ったことが根拠だった。
愛は
「え?」と意外な顔をしていった
純は、「そうか・・・・」と納得した。
「お母さんなら借用書とか帳簿とか見せたら
起死回生の一手が見つかるかも。」
愛は「そうはいってもここに来るかどうか・・それに・・」
と自信がない。
純はこのさい、助けてもらいたいと思って
携帯を出した。
「私が連絡してみる。」
そこに扉があいて
誠が来た。
と思ったら・・・
なんだかお疲れの多恵子も一緒だった。
「おかあさん・・・・」
明るい光が見えたような、純だった・・・が。
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ドラマですね~~~呼ぶ前に多恵子が来ました。
先週はストーリーのテーマが重たくて、画面を凝視して
息も小さくして見ていました。
今週は打って変わって明るくなったな~~~
と思いきや、純、三度目のホテル再建作戦に
なりました。
里さんの思いを覆すことができるかどうか
里やの再建はできるかどうか・・・
サクセスストーリーが始まりました。
三度目の正直だ。がんばれ、純・・である。
