善行は晴海をさがした。
晴海は岸壁に座って
海を見ていた。
「メロちゃん・・・」
善行は晴海を見つけた。
「は・る・みさぁ~~ん」
晴海は善行に気がついた。
「メロちゃん・・・・」
振り返った晴海はバランスを崩して岸壁から
海に落ちた。
善行は晴海を助けようと泳げもしないのに
海に飛び込んだ。
そして、海に浮かんでいた浮きに
晴海をつかまらせたが
自分が溺れてしまった。
---------晴海さんは美しい人です。
外見だけではありません
心が美しい人です
あなたが一緒にいてくれたら
僕はもう何も要りません
晴海さんがいまのまま
宮古の海のように
美しい心で僕を愛してくれたら
・・・・
晴海さん
僕を愛してくれませんか
病院に収容されたふたりだった
純と愛が廊下で待っている間に
正夫婦と剛が駆けつけた。
「どうなんだよ、」
と聞かれて
純は「おかあちゃんは大丈夫なんだけど
おとうちゃんが多臓器不全なんだって」
といった。
剛は「それなんだ?」と聞いた。
愛は「長い間酸素が体に回らなくて
いろいろな臓器がだめになって
いるんです」
といった。
「意識は戻らないかもしれないから
覚悟してくださいと医者に言われたの」
ベットに寝たままの善行にあった兄弟。
純はいった。
「とにかく、奇跡を信じよう
泳げないのにおかあちゃんを助けようとして
おとうさんのためにも・・・」
晴海は目を覚まして、周りを見た。
純は「大丈夫?」と聞いた。
晴海は「ここはどこ?」と聞いた。
「私はどうしたの?」
「ちょっとした事故にあったの、でも
大丈夫だから安心して」
マリアは家に帰って晴海の着替えをもって
くるからといって出て行った。
少して、純が廊下に出ると
愛と山田さんがいた。
山田さんは晴海を心配して来てくれた。
山田さんは善行と晴海の話を聞いて
何か感じたのか、自分のことを話し始めた。
山田さんは昔好きだった人がいて
そのひとと結婚するはずだった。
ところが大きな事故にあって
寝たきりになってしまった。
必死で看病をしていたが
直る見込みはない。
おれと付き合ったことを後悔しているだろう
となじられて、心が折れたという。
二人が仲良くしているのを見たら
壊したくなったと言う。
「永遠の愛なんかあるわけないと。
でもそんなん、間違っていました。」
そういって山田さんは帰っていった。
純は善行のことを晴海言うべきかどうか
迷っていた。
正は「医者はなんと言っているのか」と聞いた。
「余計なショックは与えないほうがよい。
自分を助けるためにお父ちゃんの命が
あぶないなんてショックだろうしって。」
正は言わないほうがいいなというが
純は晴海と約束したことが心にひっかかった。
なんでも正直に言うと。
晴海の病室に入ると
晴海は元気そうにしていた。
その日の日記もつけていた。
「純、お父さんは?」
「お父ちゃんは今寝ているのよ。
お母ちゃんの看病を徹夜でやったから。」
「そう?」
純は晴海に、なんで善行をメロちゃんと
呼ぶのかと聞いた。
善行は太宰治が好きだった。
「太宰治の話ばかりで走れメロスの話に
なると
とまらなくてその顔が一生懸命なので
余にかわいいので、メロちゃんって・・・。
人間不信に成っていた王様は、真の友情や
永遠の愛があるなんて信じられなくて
デモ約束を守ったメロスを見て
自分が間違っていたと悟るのよ・・・。
うれしそうに話すお父さんを見てて
私は結婚しようと決心したのかな。
不器用で無愛想だけど
この人なら信じてもいいかなと思ってね・・・」
「そう・・か」
善行は目を覚まさない。
純は善行に話しかけた。
「お願いだから目を覚ましてよ。
このまま死なれたらさ、
お父ちゃんが何を考えていたのか
わからないじゃん。
最後までけんかして仲直りできないなんて
やだよ、わたし。
おとうちゃんのことさ
もっと知りたいよ。
好きな本の話とかさ
お母ちゃんと付き合っていた頃のこととかさ
もっと話してよ・・・」
純は反応のない善行に寂しさを感じながらも
靴の話をした。
今履いている靴は、大学に入るとき
お祝いに善行が買ってくれたものだった。
ダサいと思ってはかなかったけど
里やで働き出して掃くようになったこと。
とても動きやすくてはきやすいこと
それを話した。
善行のやさしさを感じたという。
いまさら、愛されていたのかと思うという。
感じるのが遅いとも思った。
涙が出てきた。
純は泣き出した。
「今までひどいことをいってごめんね。
謝るからさ・・・
こころをいれかえて 親孝行もするから
やさしくもするから」
純は反応のない善行に語りかけた
「目を覚ませよ、アホ親父
おとうちゃん、ねぇ、お父ちゃん」
純は狂ったように善行を揺さぶった。
愛はとめに入り、看護師もやってきて
純を外に出すように言った。
「お父ちゃん、私は奇跡を信じているからね」
と、叫んだ。
その夜、純、正夫婦、剛は廊下の椅子に座って
寝ていた。
愛は1人、やってきた。
部屋に入り善行のそばに座ると
愛は布団の上から手を置いた。
善行の顔が動いたようだった。
いや、動いた。
「お父さん・・・・」
善行が目を覚ました。
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イノッチは「すごい、愛はあんな力もあるのか」
といいましたが、愛の力なんでしょうか?
あしたになったら分かると思います。
有働が、イノッチになきそうになるのをごまかそうとして
「僕は死にましぇーン」というのはやめてよ。
と話していました・・。やはり武田鉄也というと、「僕は死にましぇーン」
なんでしょうかね。
善行は文学青年だったのですね。
なかなか、博学で哲学的な青年だったのかと
思います。
その子供たちはどうみても文学には程遠い
キャラになりましたが。
山田さんの謎も解けました。
普通の女性ではないですか。
幸せになってほしいですね。
いや、それよりも・・・
このまま善行が死んだら・・
あまりにも悲しすぎませんか?
里さんてきには、ドラマチックかもしれませんが・・・
「おもいよとどけ」のタイトルはどんな意味があるのかと
思いますが。
思いは届くのか?それとも・・・・・・・・・・・・
また、明日(笑)
