多恵子が突然倒れた。

お母さん、とみんなが駆け寄り
お騒ぎの時
純は周りの音が遠ざかり、風景がゆがんで
見えた。

ーおじい、どうしたんだろう?私・・・

純は気を失った。

愛は驚いた。

「純さん・・・」

純が気が付くと
多恵子も目を覚ましたようだった。

里やの部屋で二人で並んで寝ていた。

「お母さん大丈夫ですか?」

「ここはどこ?」

「私の働いているホテルです。」

「あなた・・・何やっているの?」

「ちょっと風邪ひいちゃったみたいで・・」

純は咳をした。

そういえば、雨の中晴れ乞いをしていた。

と、多恵子は気が付いた。

「セクシーさんのこと助けていただいて
本当にありがとうございました。」

純は起き上がって多恵子に礼を言った。

「根本的な問題が解決したわけではないのよ。
10年、先送りしただけ。
あの男が奥さんを好きな気持ちは法律では止められないし」

といって起き上がった。

純はどこへ行くのかと聞くと
多恵子は帰るに決まっているでしょという。
「あなたと布団を並べているなんて
耐えられないし。」

「まだ無理ですよ、おかあさん」

というと多恵子はふらっとして
純と一緒に布団の上に倒れた
そこへ愛が来た。

「ちょっと何しているのよ」、と多恵子は
純に言うけど二人ともふらついている。

「喧嘩はやめてください」、と愛が言った、

「違う違う、そんなんじゃないの」と純は言った。

愛はおかゆを作って持ってきた。

そして母にいった。

離婚したいと言っているのはお父さんだということと
人の本性が見えにくくなっているということを。

きっと、自分は幸せなんだろと思うことにしたと。

しかし、母の本性ははっきりと見えるらしい。
それは母が不幸に取りつかれてさみしくて苦しい思いが
愛にとどいているからだと愛は思っている。

階下では里さんがドラマに突っ込みを入れていた。
「悲しい音楽をかけると泣くと思っているでしょ
ちっとも悲しくないのよ。」

すると横で謙次がはらはらと「本当ですね」
といいながら泣いていた。

純が降りてくると
「大丈夫なの?」と里さんは聞いた。
純は大丈夫と答えた。
謙次は多恵子の様子を愛に聞いた。
愛は、「もう一日休んだほうがいいのではないか」といった。

謙次はそうかといって、事務所には謙次から連絡すると
いって帰ろうとした。

「あって行かないのですか?」と愛は聞いた
「離婚のけんについては知り合いの弁護士に間に入って
もらっているから」といった。

誠は「逃げんといてよ、これは家族の問題なんやから」という

誠は多恵子の寝ている部屋にいって謙次が帰ったことを言うと
「どうせ逃げたんでしょ」と図星をついた。

そしてママと話したいという人がいるといって
その人を通した。

セクシーと士郎だった。

多恵子は起き上がった。

セクシーは今回のことのお礼を言った。
「もういいわよ」、と妙子は言うが
セクシーは半分顔を隠していた髪をあげて
この傷を隠すのをやめようと思うといった。
「士郎のためにも強くなります」と。

多恵子は士郎を見て思い出した。

その年ごろの
息子純が病弱でよく看病をしていた。

すると、隣で寝ていたはずの愛が
起きていた。

「寝れないの?」と聞くと
布団の中からねむり姫の絵本を取り出して
読んでほしいという。

多恵子はそばでよんでいる間、愛はじっと多恵子の
手を握っていた。

多恵子は夢を見た。

「愛がいってしまう。
違う、二人ともママを置いていかないで」

と叫んでいた。

多恵子は泣きながら夢からさめた。
そして、帰ろうと着替えて
部屋を出た。

すると部屋の横の階段で士郎がいた。
愛が持っていたねむり姫を読んでいた。

多恵子はびっくりしたが、士郎に
「寝れないの?」と声をかけた。

士郎を多恵子のいた部屋に寝かせながら
多恵子はねむり姫の読みきかせをした。
士郎は多恵子の手をにぎって
静かに寝いった。

ドアが開いて純がおかゆを持ってきた。
純は読み聞かせの様子を見て
「愛君にもそうしていたのですね」と
いった。
「何しているのあなたは?」
と多恵子が言うと

「私にできることがあれば、何でもいってください」
といった。

多恵子は「家族をあのころに戻してくれる?」
と聞いた。
「無理という言葉はないのでしょ?」と。

「すみません、それは無理です。というか
それができるのは、おかあさんだけです。
あのころに戻れなくてもあのころのようなしあわせな
家族をまだつくれます。おかあさんなら。

”愛はちゃんと伝えないとなにもはじまらないよ”

おじいがいっていたきがします。」

多恵子は純を見た。

純はスミマセンといった。

「もうひとつ・・・」と多恵子は言った。

「布団を敷いてくれる?
もう一晩泊まっていくから

それから・・」

「はい?」

「うちの人に迎えに来るように伝えて」

純は笑顔になって

「わかりました」、といった。

翌日、謙次が階下で待っていた。

誠、愛、純がいた。

多恵子は降りてきて
「お店の人は?」と聞いた。

「気を聞かせて、ここにはいません」と純は言った。

多恵子は「そう・・・」といって
椅子に座って謙次を見た。

「わたしは・・・」と多恵子がいうと

謙次は突然土下座をした。

「多恵子、頼む わかれてくれないか」

「パパ何やってんの?」誠は驚いた

「僕はもうお前の愛にこたえる自信がない」

「父さんどういう意味ですか?」と愛。

「母さんは純粋すぎるんだ。」

と言って立ち上がった。

「な、もう楽にしてくれないか?

おまえと一緒にいると耳鳴りがひどくてたまらないんだ。」

愛はショックを受けた。

誠も。

おぼえがあるのかな?

多恵子は

ひとこと

「わかりました。」

と言って立ち上がって

「離婚届にサインをしておきます。」

といった。

誠は、「ママ」とさけんだ。

純は「おねがいします。ちゃんとご自分の気持ちを
伝えてください」

といったが、
多恵子は

「二人とも早く気づいたら?」
という。

「あなたたちの愛も永遠には続かない・・」

といって去って行った。

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多恵子という人物の様子を垣間見ることができる
今回のお話でした。

深い傷をもっているらしいのですが、だれもわかってくれま
せん。自分自身もそれにかんじがらめになって
身動きが取れません。
辛いとか苦しいとか、悲しいとか、言えないのでしょうね。

愛にはその悲しさが見えるので家にいられなくなったのでしょう。
だんだん待田家の崩壊の様子がわかってきました。

純が多恵子なら幸せな家族に戻すことができるといった
けど、多恵子の気持ちがどうなんでしょうか?

多恵子はきっと謙次とやり直したいと思っていたのでは?と
思いますが・・・。謙次に土下座までされてしまって
別れてくれなんていわれて・・。愛を伝えることは
難しいことなんでしょうね。

なんだか、怖い人ですがかわいそうな人だと思います。