「さよなら」
マリアさんは勇気をつれて
国へ帰るという。
勇気をあやすことが出来なかった
正は見守るしかない。
里やの従業員たちも見守る中
マリアは出て行こうとした。
そのとき、愛がもう一度
チャンスを下さいといった。
「次で勇気ちゃんが笑わなかったら
そのときは諦めますから」
愛がそういうと純もお願いと言った。
「でもどうやって?」
純が聞くと愛は
「服を脱いでもらえませんか?」という。
え?とマリアは意味がわからないという
顔をした。
純はあわてて愛をたたいて
「ちょっと何いってのよ、愛君」
「ちがいます、ちがいます・・」愛は慌てた。
「お姉さんの服をお兄さんが着て
勇気ちゃんをだけば、泣かないかなと。」
「なるほど、においが染み付いているから
ママだと思うかもしれないしね」と里さん。
「どうせならウイッグもつけてみれば?」とセクシー。
「いいですね、それ。」乗ってきたぞ、純。
「化粧」
と
チュルチュル。
「うん、それもいい。
お姉ちゃん、おねがい。最後のチャンス
くれないかな?おにいちゃんに。」
里や劇場である。
さて、マリアの格好をした正はおそるおそる
勇気を抱く。
緊張の一瞬だ。
「大丈夫です。きっとうまくいきます。」と愛。
「リラックスよ、あんた父親なんだからね」と里さん。
マリアは勇気を正に渡した。
「勇気・・・」正は勇気を抱いた。
一瞬、勇気は泣かなかった。ほっとした瞬間・・
泣き始めた。
ああ・・・・里やにため息が満ちた。
「勇気、勇気・・・
たのむから泣き止んでくれ
このままじゃ、ママとお前とも
会えなくなってしまうんだ。」
ああーんああーんとなきづつける勇気。
「泣かないでくれ
もしかしてどこか痛いのか
おしっこか
ミルクか???」
見ていたマリアは
正、もういいというが
正は、「よくない」と大声で言った。
マリアは正の顔を見た。
正もマリアを見た。
そして
「勇気そんなにママが良いのか?
そんなにパパが嫌いか?
パパはな、こんなにもお前のことが好き
なのに。くそ、今になって何で気がつくんだろう。
ずっとこうしていたいんだ。お前を何があっても
守りたいんだ。勇気。。ごめんナこんなパパで。
ごめんな・・・ごめんな・・・。」
正は勇気を抱いて頭をなで続けた。
すると
勇気が泣き止み始めた・・・
正はずっと勇気をなでていた。
勇気が笑い出した。
すると
マリアも正もみんなも
笑顔になった。
ーおじい、私は今、あいがつたわる瞬間を見た。
「ドラマチックだね
私も子供ほしくなったな。」
「女将さんこどもいないんですか?」と純は聞いた。
「いるわよ、ちょっといいたかっただけ。」
「なんですか、それ。」
みんなで笑った。
ー私たちは、気づいていないのかもしれない。
もっともっと愛を伝える方法を。
その夜、純は晴海に電話をした。
「おかあちゃん、頼りない娘かもしれないけど
なにかあったら相談してね。一人で苦しまないでね。
私に甘えてね。おやこだからさ」
「ありがとう・・」
ーとりあえず今は自分に出来る形で愛を伝えよう。
愛も、実は誠に電話をしていた。
狭い家なので純にきをつかい、庭先で
電話をしていた。
誠は彼氏と別れたそうだ。
今は家にいるらしい。
愛は、両親が離婚しないようにたのんでくれと
誠に言った。
「いまさらだけど、家がおかしくなったのは俺にあるし
このまま逃げていてはだめだなっとおもった」という。
誠は写真を見た。純が生きていたときの一家でとった
写真だった。(確かに双子だ・・・。)
ー私たちは毎日試されているのかもしれない。
愛を伝える勇気の量を。
愛の背中で寝ている純に愛は話をした。
「純さん、そのままで良いから聞いてください。」
「なに?」
「実は純さんに言ってなかったことがあるんです。」
「ちょっとまって。
実は浮気していましたなんてやめてよ
あ、相手は隣の山田さんだ。」
「何言ってるんですか。違いますよ。」
「じゃ、何よ。」
「実は最近見えなくなってきているんです。
人の本性みたいなものが。」
「え?うそ・・・なんで?」
純は起き上がって愛に聞いた。
愛は寝たまま、話をした。
「推測するに・・・
それはきっと
今、僕が幸せだからじゃないでしょうか。
と、(愛は純のほうに振り返っていった)
思うことに決めました。」
・・・・
純は、
「あかちゃん、作ろうか?」
と言った。
「赤ちゃんが出来たらさ、愛君のお母さんも
私と愛君を許してくれるかもしれないでしょ。」
「すごくうれしいです。
でも、もう少し待ちませんか?」
「うん、自分が父親になるのが怖いの?
私は、愛君はいいパパになると思うけどな。」
「違うんです。」
「うん?」
「純さんが魔法の国を作るまでは
待ちませんか?」
「デモいつになるかわからないよ。」
「待田純の辞書に無理って言葉はないんでしょ?」
純は微笑んだ。
それを見て愛は言った。
「二人の子供に会うために頑張りましょ?
二人で・・。」
「わかった。」
愛は純のほうに向いて・・・
二人は安らかな眠りについた。
**********************
やっぱり。愛の力はなくなりつつあるんだ。
これは一大事です。
隣の山田さんが来たときしっかりと目を見ていたから。
おかしいな、と思ったし。あのときの純との
受け答え覚えていますか?
「見たままの人でした」と答えるけど、見たまま裏表のない人って
純だけでしょ・・・。
今年になって、本性をみたというのは、里さんの本性を
純が聞いて愛が「女神様です」と答えたあの一件ぐらいかな。
善行が失業を隠してることや、晴海が認知症かもと不安に
思っているなど、普通は当てますけどね。
天野さんの経歴を話しているときも。
「うちの旦那に見てもらいますから」と愛をひっぱって
天野さんの過去を話させますがあの時も、
遺書を見ていてそれを話したっていうから。
なんだか、愛の力がなくなっているとは思っていたけど。
そうなんだ・・・。その原因は、「僕が幸せだから」。
そうなんだ。
それで、純と向かい合って寝ても大丈夫なんだ。
(これはちょっといいすぎかも)
愛は、天井を見て寝ません。最初のマンションで誠が
転がり込んだときも、三人、川の字で寝ましたが
愛は端っこで、壁に向いて寝ていました。
(観察、細かすぎか?)
つーとこれからどうなる???????
普通の夫婦になる可能性があるということである。
いいことだよね。
