純は愛にあたってしまった。
「私の顔なんかみたくないんでしょ。
浮気でもしてきたら?
もっといい女がいると思うよ」
「本気で言っているのですか?それ・・」
愛は、ついに家を出た。
カフェバーで「飲んでいるとさみしいから
誰かなぐさめて」
という心の声を聴いた。
見知らぬ女性だったけど二人でホテルへ行き
ベッドの上でキスを・・
その頃純は内職をしながら寝ていた。
愛が浮気をして誰かと一緒の所だった。
だめだめ あんなこといったけど
浮気してはだめ
と必死で訴えたところで目が覚めた。
すると、ドアの所に愛が立っていた。
二人とも呆然としていたが。
「いつ帰ったの?」
「今です・・・・」
「もしかして
本当に浮気してきた?」
「・・・いやぁ・・まさか・・。
・・おにいさんが・・・」
と言いながら部屋に入る。
「おにいさんが、」
思い出しながら話すのが変なかんじで
明らかに浮気をしようとしたとき
の場面を純にわからないようにと
しながらその場のことを思い出していたので、これは
苦しいかな。
「電話があって純さんに伝言を頼まれたのです」
それはそのベッドの上でのキスの瞬間
けたたましく携帯が鳴った。
愛は、びっくりして起き上がって
携帯にでたら
正だった。
「今、大丈夫か?純にかけても出ないんだ」という
「大丈夫ではないです。あとでかけなおします。」
といって、愛はその部屋から、相手の人に
謝りながら出て行った。
ーおかげで助かりましたけど・・・
「それで??」
と純が聞くので
愛はどきっとして
「それで?え??それで
何にもありません・・・・」
「は?」
「はい?」
「お兄ちゃんから伝言があったのではないの?」
「・・ああああ」
と、我に返った愛は正の伝言をいう。
正がマリアがお産なので産婆さんをよんで家で
お産をするという。
で、純に来てほしいとマリアがいっているという。
「いやだよ。いかない
愛君が行けば?
私が行くより役に立つと思うし」
「・・・僕は行きません」
「・・・なんでよ」
「・・・見られたくないんです
こんな・・・僕たちを。」
・・・・
翌日純は那覇の正とマリアのマンションへ行った。
中からマリアの悲鳴が聞こえてくる。
お産中だった。
「マリアさん、マリアさん」
純は驚いてドアをたたいた。
正がドアを開けて
純をいれた。
「マリアさん、大丈夫?しっかりして」
晴海も来ていた。
純はびっくりした。
「お母さんにも来てほしいと頼んだの」
とマリアが言った。
晴海はマリアの額の汗を拭き
純はマリアの体をさすった。
そこへ剛が来た。
「メリークリスマス」
「剛あんた自分探しの旅に行ったのでは?」と母。
たまたま那覇にいたので正から電話があって
来たという。
実はマリアが正に知らせろといったらしい。
剛なんか来てもなんの手伝いにもならないと
母と娘は思ったが。
「あああ・・いたい、いたい
正、さすって」
「大丈夫かマリア」
「ああああああ・・・
おなかすいた」
「純、そっちにおにぎりがあるから」
と晴海が言った。
純がおにぎりをもってきてマリアに
食べさせた
「俺は何したらいい?」
剛は言うが晴海はあっちにいってて
という。
剛は書道の道具を出して墨をすりはじめた
するとインターフォンが鳴った。
純が出ると
笑顔を作っていた善行が
いて
純を見て急に渋い顔をした。
「なんやおまえきてたんか」
「おとうちゃんこそ何やってんのよ」
「そっちこそや」
マリアが叫ぶので二人ともあわてて
マリアのそばに行った。
晴海は「おとうさんどうしたのですか?」
と聞くので
たまたま那覇に営業の仕事があったから
という。
嘘である。
マリアはかなり難産で苦しんでいる。
マリアはぎゅっと純の手をにぎっている。
誰かに必要とされている気持ちが
伝わったかな、と思いましたね。
産婆さんはもうすぐですよという。
剛は
「今日はクリスマスで
マリアさんが産んだ子供って・・・
キリストの生まれ変わりだよ
おにい、なまえきめたの?」
「だったら・・・」と言って善行が紙を出して
「わしが決めて・・」
というと
マリアは「お父さん
ごめんなさい、この子の名前は決めています」
「何て名前?」と純は聞いた
「ゆうき」
「え?勇気?」
純はマリアの顔を見た
「純ちゃんがいつも頑張っているのを見て
思ったの
これからこの子が生きていくのに一番必要なもの・・・」
「勇気・・・」純はつぶやいた
マリアが頑張っているのを見て
純は
「早く生まれておいで
勇気・・・あんたの家族が待っているよ」
純は勇気の誕生を祈った。
すると
産声が聞こえた。
「元気な女の子」
と産婆さん。
みんな笑顔になった
純も笑った
晴海も笑った。
マリアは家族に見守られて
勇気を生んだ。
「勇気
あなたのパパ」
「ハロー勇気」
「あなたのおじいちゃん」
「わてが善行だす(笑)」
「あなたのおばあちゃん」
「よくうちへ来たね
バーバーだよ」
似てる似てる
「あなたのおばちゃん」
「勇気、純おばちゃんだよ」
「勇気。おじちゃんだよ」
「ああ、よかったよかった」
と善行はいいながら
感動で泣きはじめた。純も泣いた。
善行と純が横を向いて泣いている
姿を見て
みんな
「二人とも似てるね」
といって笑った。
純は愛に電話をした。
「そうですか、女の子でしたか」
「そうなのよ、マリアさん
難産でずっと手を握られていたから
手がしびれているの。
愛はうれしそうな純の声を久しぶりに
聞いたのでは?
「よかったですね。」
「・・・やっぱり愛君も来たらよかったのに」
「・・そうですね」
なまえのお披露目は剛が書いた。
家族そろって記念撮影をした
晴海は泣き出した。
家族みんなで笑ったのはひさしぶりだからという。
それから、三人で大阪に来ないかと正にいうが
正は就職がきまったからという。
剛も大阪に来て予備校に通いなさいという
「俺もおかあちゃんといたいけど
書道の修行をして世界の旅もしたい」という
「そんなこと言わないでさ・・
お父さんからも頼んでくださいよ」
「なにをいうてんねん
こいつらが勝手に出ていったんや」
という。
「おとうちゃん・・・」と純が言った
「本当にそう思っているの?」
「こうなったんもな
お前のせいや
がんばって借金を返そうとか
ホテルを売ったらあかんとか
みんなをたきつけたからや
一家そろってにっこり笑うという
幸せを壊したのはおまえや
おまえは疫病神や
慇懃自重といってな
人間は耐えねばならないときがある
それをやな
朝から
ワーワー言うから話がおかしな方向へいったんや。
おまえは一切余計なことをするな
無人島へ行って岩でもかんどけ」
純はじっと善行を見た
これしか反論はできなかった
「なんでぇ・・」
と善行は言った
勇気が泣き出した
「喧嘩はやめてっていってるのよね」
とマリア。
純は大粒の涙を流して
荷物をもって立ち去った。
母が追いかけてきた。
「純、あんたまだ新しい職場
きまってないでしょ?」
といってお金を渡そうとした。
純は
母にいった
「今まで私はがんばれば気持ちが通じるものと
思っていた。世界を変えることも可能だと
思っていた。
家族なんだからいくらけんかしても
最後は分かり合えると
信じていた
でも、ちがうみたい。
私なんかが何をやっても世界は
一ミリもかわらないんだよ・・・」
そういって、純は去って行った。
母は心配そうな顔をした。
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浮気は不成立でした。
この辺はコメディの要素があるので
不成立だろうな~~と思いましたが。
かえって純の愛の浮気現場の妄想が
いやらしくて何とかしろと言いたい。
愛は那覇に行かないといった理由。
私だったら愛と同じ思いになります。
よって、判断は正解・・・・
しかし家でお産するってすごいですね。
昔はそうだったといいますが。
この時代です。
マリアさんは強いです。
家族思いの人です。
家族を全員呼んだのもマリア。
純にとってしばしの癒しの時だったのでは?
しかし、善行とのくいちがいは続きます。
勇気の出産シーン。
思わず泣けましたね。
生きていくうえで一番大切なもの・・・
それは勇気だとマリアが言いました。
大事なものはなんだろうというと愛とか
お金とか、友情とか、心とか
そんな答えが一般的ですが。
並々ならぬ思いを込めて親は子供に最初の
プレゼントを贈ります。
名前です。
狩野家は
正、純、剛と・・・こうあってほしいという思いなのか
なるほどと思います。
で、待田家は
愛、純、誠・・・多恵子がつけたと思えば
そのころの多恵子さんは優しかったのかな
とも思います。
そして新しい狩野家の家族は勇気。
勇ましいですね・・・
男の子が生まれると思いました。
最近は男女を産む前に医者に聞くことが
できますから。
今日のむかつくシーンは
やはり善行の態度。
いまだに警備員であることを晴海に
隠している。そのうえ、純が悪いと
決めつける・・
「お前は余計なことをするな。」
この言葉は深く純をがんじがらめに
しているみたいです。
