純の生きる目標になっていた
ホテルサザンアイランドが壊されて
その後

二人は大阪にいた。ずっとまずしくなって
古ぼけたアパートに住んでいた。

純はふさぎこんでしまい、仕事にもでれない。

愛は必至で支えようとするが、純の心の声が
聞こえなくなっていた。

町はクリスマスでにぎわっていた。
その古ぼけたアパートに愛が買い物から帰ってきた

「純さん、古くて狭いアパートですがいろいろ飾り付けたら
いい感じになりますよ、きっと。」

純はものもいわずに部屋の隅でじっとすわっていた。

「・・・そうだね・・」

ーおじい、大阪に帰ってきてから
純さんはまるで魂が抜かれたみたいです

純はサザンアイランドのプレートや
家族の写真をずっとみていた。

「引っ越しそばを買ってきたました。
すぐ作りますね。」

「ごめん、食欲ない」

「そうですよね。

あ、、じゃ・・・気晴らしにどこかへ行きましょうか
デートらしいことをしてなかったから」

「ごめん、疲れているから」

そういって、純は押入れの横の穴のようなところから
はいずりながらとなりの部屋に行った。

ーおじい、ぼくにはわかりません、どうしたらいいのか
純さんの心の声が聞こえなくなったから・・・。

「いらっしゃいませようこそホテルサザンアイランドへ」
純が客を出迎える。

フロントは晴海、「んみゃーち、こちらにご署名を」

ベルボーイは剛
「社長こちらのお客様がご挨拶をしたいそうです」

その家族は以然、オオサキでサプライズのケーキと
日本の楽器を購入することを約束した外国のお客様
ファミリーだった。

純は再会を喜んだ。

マネージャーの正が「ボス、団体さんの予約が入りました」
という。

メイドのマリアが「清掃が終わりました、社長」という

純は子供たちにマジックを披露しようとしたら

そこにシェフ姿の愛が家族の従業員と一緒にやってきている

「愛君・・・ね、おじいの魔法の国、なくなってなんかなかった
うれしい、夢みたい」

「夢みたいじゃなくて、これは本当は・・
本当は・・・・本当・・は・・・・」

純は夢を見ていた。
愛は、「純さん、純さん」という。

純は目を開けて夢だったと思った。

「大丈夫ですか?純さん、笑いながら
うなされていましたけど・・」

「うん・・」

朝のご飯は質素だった。
ご飯を味噌汁と味付け海苔・・・

ー会話がない・・
なにか話題を探さなくちゃ
なにか・・
もうすぐクリスマスですね・・・なんて
そんな話しか浮かばない・・・ああ

すると純が食べる手を止めた
「どうしたんですか?」
「うん、なんかこんなに悲しいのに、普通にご飯を食べていると
思ったらむなしくなった」

「そんなこと言わないでください、純さんお替りがまだまだ
ありま・・・す?」

純は小さな声でうれしいひなまつりをうたい始めた。
しかし無表情。

♪~あかりをつけましょ、ぼんぼりに・・・・
お花を上げましょ、桃の花

ーおお
突ぜん歌い出した。そしてなぜ
この時期にひなまつり?

♪~・・・五人囃子の笛太鼓・・・・

う・・・ぎゃぁあああああ

「どうしたんですか、純さん」

純は急にあたまをかきむしりながら、わめいて
持っていた箸をなげてしまった。

「あああああ・・ん~~」

「どうしたんですか、純さん」

「今頃お父ちゃんが
おじいのホテルを売った金で買ったマンションに暮らして
おじいのホテルを買った会社に勤めていると思ったら
なんか腹が立った。

宮古にいたいおかあちゃんを無理やり大阪に連れてきて
自分だけいい思いをしていると思ったら許せないよ・・・」

その頃善行は、その会社へ出社した。
見上げるほど大きなビル。

受付で「こちらでお世話になる狩野善行ですが・・
重光 エンタープライスのオフィスはこちらでいいのかな?」
というと

「その会社はうちの関連会社で隣のビルです」という。

不思議に思って隣のビルに行くと、職場へ通してくれた。

そこはなんと、警備室で、宅配便や出入りの業者の受付
をしてほしいという。
「簡単な仕事だからすぐ覚えますよ。」
そんな話ではなかったはずというと、案内してくれた人
は僕に言われてもね
といって去って行った。

善行は梨田に電話をした。
「話が違うではないですか。私は警備員を
するためにわざわざ宮古島からでてきたの
ではないですよ。」
そういうと梨田は、「ホテルを売ってくれた
狩野さんに恩返しを精一杯したつもりです。
狩野さんの年齢や社会状況を考えると
こうなります」

と言って切った。

その夜、マンションに帰った善行。

晴海は高層マンションの窓の外を見ていた
1204号室だから、12階でしょうね。
純と愛に比べたらすごい家です。

善行は「かえったで~」

といって晴美に声をかけるが答えない

おい。
おい。
おい!!

と三回読んで晴美はやっと気が付いた。
「どないしたんや、ぼーっとして」

「お父さん、・・・」

「なんや?」

「正の赤ちゃんそろそろ生まれるから沖縄に行きたいのですが」
というが、そんなことせんでもと善行は言う
「でも心配で・・」

「うん・・・・」

「お父さん、・・・」

「なんや?」

「剛から変な葉書が来たんですけど・・・」

そのはがきはうらに一文字一文字
かいてあった。
二人でならべると

”俺は書道で生きていく”

となった。

「なんやこれは、それにしても下手な字や。

ほっとけほっとけ、どうせそのうち俺は書道には
向いてないというのにきまっている。」

「住所がないから剛がどこにいるのかわからないし
純も引っ越したというけどどこにいるのか全然
連絡がなくて・・・」

「おい、純のことは・・・言うな」

愛はお裁縫をしていた。

かわいい、床に敷く敷物や
カーテンを作っていた。
さむざむとしていた部屋にファブリックが
できるとなんだか楽しくなります。

器用ですね・・・・

しかし純は、トランプで占いをやっていた。

「昔からこうだった
七ならべをするとかならずハートの2が
邪魔をしたのよ
結局このカードが私のついてない人生を
象徴しているんだよね・・・?」

落ち込む純。

愛は何か元気づけないと
そう思ってあれならいけるかも・・・と

マジックをして見せた。

サンタ帽子に三色のハンカチを入れる。
取り出すと

メリークリスマスと書いたサンタのイラストの
大判のハンカチが出てきた

「純さん・・・メリークリスマス~~~」

「これ買ってきたの?」

「さっき買い物へ行ったついでに」

「もったいないじゃん、お金ないのに」

「・・・すみません。」

「すみません、遊んでないで私が仕事をさがさなくちゃ
ね・・・・」

そういって純はかたづけはじめた

ーなんかむかつくな・・・そのいいかた

テーブルクロスもつくったんだ~~~愛は・・
台所の食卓に求人情報を出して純は
仕事を探し始めた

愛は一緒にいて、ティッシュにチラシを詰める
内職を始めた。

その音が耳に触るらしく純は言った。

「なんか・・・なんかその音私のことを攻めているような
感じがする・・・」
「別にそんなつもりじゃ・・
僕はただ純さんが早く元気になってもらって
はやく元気に働いてもらいたいだけです・・・ね?」

「わかっているけど・・なんになるの?
あんなにがんばったのに、おじいの魔法の国が
なくなっちゃうから
体中から力が抜けて外に出る気にもなれないし誰にも
会いたくないの。
人の心が読めるんだからさ
そのくらい、いちいち言わなくてもわかってよ」

愛はじっと純の顔を見る

純はそれに気が付いて愛を見た

「なに?」

「純さんの心の声が・・・・聞こえなくなりました」

「え?・・・・そうなんだ。(ちょっと笑った)

てか・・私にどうしろというわけ?」

純は愛に背を向けて求人情報を見はじめた

愛もずたずたです。

「わかりました。
別にどうしなくてもいいです。
純さんなにもしなくてもいいです。

そうだ、僕が外で働きます
そうだ、そうだ、そうしよう。

だから純さんこの家のことをやってください
僕がこれを読んで
純さんこの内職をやってください。

そうだ、心の声が聞こえなければ、就職もうまく
行くかもしれません。
どこで働こうかな~~~~
忙しい、忙しい~~~~」

愛は隣の部屋に行き、疲れたように
ごろんところがった。

ーおじい、なにやっているんでしょう?僕は・・・

純は、じっと表情も変えずに動かずにいた・・・。

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もう~~~~~~

朝からうっとうしいんじゃぁああああああああ

これは私の心の声。

これ面白い?
面白くないよね???
たとえこういう展開でも
脚色でどうにかしろよっNHK!!!

しかし、善行は梨田のおいしい話に乗ったが
ぜんぜん思った通りの仕事ではなかったでしょうが。
ざまぁ~~みそらそ。
大体、その年でこの不景気で
バリバリ働ける職場があるはずがない。
一種の詐欺にかかったようですが、詐欺と訴えられ
ないように多恵子が工夫をしているはずです。

二億三億を動かして儲ける仕事がしたいと
言っていたけど
警備員では、そんな仕事ではないですね。

正は那覇、剛は行方不明。純も行方知れず。
晴海の心労は続く。

いま、ヘドロ状態のドラマですが、さらさらと清水のように
流れ始めることを・・明日では早いかな?

いつまで我慢したらいいの???