総支配人は各部の総意があれば
許可するといったが
その可能性は低い。

役所みたいにたらいまわしかと
純が悩んでいると
多恵子が声をかけた。

「相変わらず呼び鈴を押して
もめ事を探すみたいなことをやってるのね~
あなた。」

と、敵意丸出し。

「企画書の中に
総支配人の座右の銘をいれたまでは
よかったのに・・・。

年頭の話にあったのよ
ホテルマンに不可能はない。
みんなが一丸となって
同じ目的に向かえば・・・・って。」

「だからいい企画書だといったんだ・・・」

「しらなかったの??」

「愛君がこっそり書きたしてくれたんで・・」

多恵子は、ためいきをついた

純は愛君がオオサキを魔法の国にするのを
応援してくれていることを言うと

多恵子は、そんなこと頑張ったって無駄よ
どうせ
不可能だからと

企画書を純にぶつけるように返した。

純はどういう意味ですかと聞くと
多恵子は
外資系のホテルと合併の話があるのを知っているわねという。
そこの代理人は多恵子だった。

「いくらがんばっても夢やロマンで
経営ができる時代は終わったのよ」

そういって、純を一瞥してさっていった。

驚く純だった。

しかし純はがんばります。

露木に認めてもらおうと訴えるが
自分はロビーウエディングはすばらしいなんて
思ったことはないという。

池内もあきらめたら
という。

宿泊部長の米田も。
ブライダル部の総意でいうのであれば考えないことはない
という。

千香、ベルボーイ、水野、桐野はじっとみていた。

誰も相手にしてくれない。
誰も協力してくれない。

怒りで、家に帰った純はすぐにトイレに入った。

愛は驚いて
「純さんどうしたのですか?
おなかが悪いのですか」と聞く。

「今顔を見られたくないのよ。
怒りや、恨みや、憎しみや殺意で鬼のように
なっているはずだから。

もう、無理無理無理・・・
あんなホテル愛くんママに乗っ取られたらいいのよ。」

「うちの母にあったのですか?」

「うん、今度吸収合併する外資系ホテルの
代理人なんですって」

愛はため息をついた。

純は、企画書に総支配人のことばを入れてくれたことを
感謝した。

愛はあれはHPで知りましたという。
「愛君だけだね。味方は。
ああ、もうホテルに行きたくない」

「大丈夫ですよ
純さんをわかってくれる人が必ずいます。

「どこに?」

「どこかにいます。

探し物をしているとき
まだ探してないところをさがすとか
忘れ物ってそんなところから見つかるし。」

「・・・」

「腹が減ってはなんとかと言いますから
早く出てきてください。
今日は純さんの好きなカレーですよ。」

純は、はっとした。
このにおい

ってトイレでカレーのにおいがわかるの?
多少はわかるよね。多少は・・・

「それに純さんの好きな豚まんもあります。」

純はトイレから出てきて
うれしそうに、夕飯を食べた。

今月、純と愛は家計が苦しいのですよね。
豚まんとカレー。
それでも幸せそうな夕食です。

純は翌日ロビーでどこかにいる居力者を
探した。

あれでもない、これでもない

すると広報の民子が現れた。

なんだか悩んでいるらしい。
で声をかけると

オオサキの60周年企画でロビーを使った
なにかを考えているらしい。

しかし、いいアイディアが浮かばない。

純は、うれしくなって企画書を出した。

それを見た民子はいいわね、これ!といって
賛同してくれた。

それから各部を二人で回ってせっとくにあるいた。

「いい宣伝効果になります。
マスコミも注目します。」

といってくれたのだった。

そうして各部署はハンコをついた。

愛に報告するとよかったですね
というがトーンが低い。
なに?と聞くと
まだなんだかありそうな気がします。
がんばって

という。

純は不安ながらも会議に参加した。

ところが
愛が言ったことが現実となった。

露木部長が新郎新婦にロビーウエディングのことを
つたえておくようにといった。

純は、それではサプライズにならないということに
気が付いた。

「取材があるから、カメラが入るから、事前に承諾を
もらわないとね。」
と民子がいう。

純は、それではお祝いというよりホテルの宣伝だけで
この結婚式を利用するのかといった。
だったらもし彼らが取材をお断りというと、
それでも結婚式をするのかと
聞いた。

場が凍りついた。

「自分が持ち込んだ企画でこんなことをいうのは
おかしいかもしれないですが
宣伝などなしに、お二人を祝福するというだけで
いいし、それが大きな宣伝になります。
これからもオオサキを使おうと思ってくれるだろうし
そんな話が伝わって大きな宣伝効果になるし
利益にもなる、と思います。
だから、取材なしで祝福しませんか?」

露木は「いい加減にしろ、いまさらなんだ」といった。
米田は「そうだよ、こうやってみんなが協力してやってるのに。」

純は総支配人のことばをだして
ーホテルマンに不可能はない。
みんなが一丸となって
同じ目的に向かえば・・・ー
という言葉を実証したい、みんなで、と訴えた。

そこへ総支配人が入ってきた。

「打ち合わせは順調かと思ったら・・・」

「実は、」と米田が言うと

「知っています、外まで聞こえていましたから
彼女の真剣な声が。」

純は一瞬、総支配人に期待した。

すると、思いがけなく

純にこの企画から降りてくれといった。

驚く純、このひとはわかってくれると思ったのに。

***********************

昨日の桐野の話になりますが、自分が正しいから
協力してもらえると思うことが間違っているという
言葉を思い出しました。

いかに自分が正しくとも組織では通じないということです。
利益優先主義です。
小さなサザンアイランドにしても、大きなオオサキプラ
ザホテルにしても

です。

利益度外視という企画には
どこも相手にしません。

そこをなんとかという純の思いは今はオオサキには
通じないと思います。

この後、ホテルが経営難で外資に吸収合併という事態になっても
お客様の気持ち優先より、よけいに経営優先主義となるでしょう。

そんなとき、純の気持ちはどこで膨らませることができる
のでしょうか?って・・・ホテル経営は遊びでもロマンでもない
のですが。おじいの魔法の国を知っている純ならではの
理想です。

ってことより、愛君は、予知能力があるの?

にしては、今までのいきさつからしてそうでもない
ような気がする。

話変わって
組織ってよほどのリーダーがいないと、責任をとれないとか
仕事が増えるとか、ほかに了解をとってとか
役所のたらいまわしのようになりますね。

役所ってたらいまわしをするってのは、
責任を取れないから
責任を取らないからなんでしょうね。

昔ですが、結婚した当初、サラリーマンの主婦
になったというので年金の書き換え申請に行く前
役所は苦手なので、なにをもっていったらいいのか
電話で聞きました。

そしてその通りにしていったのに、不備があるとか
書類がたりないとか、いろいろ言われて
結局、2~3回いったけど、そのたびに
電話していくのですがそのたびに、不備を指摘されて
申請ができない。

主人に相談したら、電話をしたとき相手の名前を聞け
といいましたね。

その後いそがしくて3~4年年金対策が空白になりました。
悔しいけどね。
また電話をして、確認して、で、「おたくさんの
お名前は?」と聞きました。
驚いていましたね~~~~

名前を聞かれたら驚きますか?
○○会社の総務のかたではなく、
○○会社の総務の山田さんですねって
確認されて、きちんとした仕事をしていれば
確認されても「はい、
よろしくお願いします」ということで
すむものではないですか。

民間の会社では当然ですよ。

それを責任のとれない仕事をしていると
名前を聞かれるとまずいのでしょうね。

つまり仕事の内容をわかっていなかった
のか・・

で、役所に行ったわけですが、
さきほどお電話した○○です、
△△さんはいらっしゃいますか?

というと、あたふたとするのですね。

当事者が出てきて、先ほどの件ですが・・・・・・

と話をして申請ができました。いとも簡単に。
いままでの不備とか、記入漏れとか・・・
あれはなんだったのか?????
いくたびに言われてましたが。
そのたびに修正したり準備したりしましたが。

役所は本当に変な奴の集まりだと思います。

そうですか・・・
今まで申請ができなかったのですか・・・
何度も来てもだめだったのですか・・

そうですか・・・

その間の年金問題どうにかしろよ!!!

といいたかったけど

そうですか

お気の毒に・・・

と腹にもないことを
繰り返すので、むかつきましたね。

役所って、小難しい・・・