粕谷というのが騒々しい御一行様の
ボスの名前。

あわやの粕谷の暴力から
純を救った愛に

頼みがあるんだけど。
と純はいった。

北見の心を読んでほしいという。
バーのカウンターの内側から二人は
そっと北見をみる。

見える?
純は半ばあきらめ顔でいった。

しばらくして

愛は「(北見は)心でずっと泣いている。
女の人の名前を呼んでいる。
以前一緒にこのホテルに泊まった人です。」
という。
それだれ?
と聞くと、

あまり人の顔を見ていると
頭が痛くなって・・・とギブアップした愛。

純は宿泊名簿をめくって北見の宿泊履歴を
調べたのだった。

そして30年前新婚旅行で
北見は奥様と一緒に泊まったことが
あることを知った。

北見は隣の部屋が騒々しくてその分
さみしさが強くなるので
チェックアウトしますという。
奥様との思い出を話す北見に
もう少し待ってくださいと
あきらめない純だった。

しかし、宿泊部長はこの件には
かかわるなというし
教育係の桐野は自分の仕事をしなさいというし。
それはそうなのであって
ほかの従業員さんにも迷惑をかけていた。

悩んだ純は母の声を聴きたくて
家に電話をしたら
父親が出た。

おまえは自分勝手にさわぐけど
それに巻き込まれる周りの迷惑を
考えて見ろ、と一括される。

痛いことを言われて、頭に来た純は
電話を切って
どうしたらいいのかわからないと
いったとたん
椅子から落ちる。

すると、笑い声が聞こえた。
愛だった。
また、ストーカーのように
純を見ていた。

すみません、純さんを見ていたら
面白くて。

純はこんなにも悩んでいるのだから
なにかアドバイスはないのかと
愛に言う。

愛が黙っていると純は結論を出そうとした。
結局ここで働くなら
ここのルールに従うしかないのかな
私一人でがんばったって
このホテルが魔法の国に変えることなんてできない

だったら、もういいや・・・

だめです(愛)

あなたは自分で決めなくちゃ
お客さんに喜んでもらいたいなら
どうすればいいのか自分で決めなくては!

でも、

と純がいうと

ほんとうにここの社長だったらどうするのですか?
愛はそういった。

純はぐっと考えて
立ち上がった。

そして
あの

ご一行様のドアの前にいた。

横にいる愛に
私が何を考えているのかわかる?と聞く。
愛は
静かにしてもらえないなら出て行ってくださいと
いう・・・と答えた。

何かあったら助けてくれる?

いいえ、無理です・・・
人の顔をまともに見れないし
喧嘩も弱いし・・・

純はそれもそうだと納得した。

愛は困ったときはトイレにいくといいと言った。

え?

トイレには人生のすべての答えがあると
何かの本で読んだような気がして

(なんじゃそれ・・・)と純。

うん、わかったと返事をすると

すると、愛はトトト・・・・・と
その場から離れていった

そして、ここで待っていますからと
廊下の向こうでいった。

純は意を決してドアホンを鳴らした。

そして、

出てきたのは

あの

総務部長粕谷だった。

また、おまえか!

怖い顔でにらんだ。

おじい、守ってね・・・・。

++++++++++++++++++
今回は

またまた

二人の仲が進展します。

というか

愛のセリフが
多くなります。

愛の正体は???

という疑問と好奇心が

またまた
くすぐられます・・・きゃははは・・・・

いったい何もの?

確かに純は裏表がないかもしれません。
というと、いい人のように
思いがちですが、
年齢的にも世の中にそれが通じるわけがないのです。

こういう正義感を振りかざすタイプは
自己主張が強くて
思い込みもあって
周りとうまくいきません。

つまり子供です。

お父さんの言うとおり
周りに迷惑をかけます。

裏の顔
表の顔

があってこそ
その場をうまくきりもりできるのですね。

大人になれない純を愛はどうやって
守っていくのでしょうか

そもそも愛が「あなたはそのままでいてください」

なんて言った手前どうにかしないと

裏表の顔を持つ純ができるかもしれません。

しかし、愛にも実は多くのなぞがあって

純の力を必要とする場面がやってくる

のではないかと思います。

なんだかわくわくです。

決してこのお話は
ホテル業、サクセス物語ではない、

ということでしょうね・・・。

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