第9話:不惑の人
第九の練習の中でカンマニは団員達から攻撃を受けた
この程度の実力でプロといえるのかと厳しく叱責をしたからだ。
じっと聞いていたコンマスは
「話し合いが出来ない以上ここにはいられません
無能な研究団員と心の無い指揮者。
創立記念公演がいかなるものか見せてもらいましょう。」
そして団員の多くがでていった。
正式団員のコンマスは「話し合ってみましょう。指揮者が変わり者なのは仕方が無いが」といいます。
なぜかイドウンとヒョン夫人がコンマスとジュンジンと向かい合って話をしているのです。食事をしながら(笑)
イドウンは「私はカンマニを好きではない。あの時もお父さんをひどい言葉で追い出した。でも、今から思えば私のためだったかもしれない。」
ヒョン夫人は「そうだったのよ。」
ジュンジンは「あなたのためにですか・・」と聞く。
「そういう人なのよ」
「先生はいい人なのよ」と二人はいった、
「フンの塊にも意味があるのですか?」
・・・・・?!?!
・・・・・・・
複雑な表情の二人。
場所が変わってヒョン夫人、イドウン、ヨンギが公園ではなしをしている。
「フンの塊が激励なんてそんなわけ無いわよ」とイドウン。
「でも下手でしたから当然・・(そういいながらイドウンに)
あなただって注意するにも値しないといわれたわよそれも当然?」
「まさか!」
「何が問題なのかしら?
あの難しい第九をするのよ・・・」
「なにが問題なのかしら。まるでバタードウーマンだわ。
虐待される女性のことよ。
殴られるのが当然と思って生きているのよ
カンマエにあうと緊張するでしょ
バタードウーマンよ。」
「克服の方法は一つ
抗議する事!!!」
場所変わって。キム老人宅。
「なにをいうのだ!!!」
その三人にキム老人が加わった。
「指揮者に抗議するなんてとんでもない。」
と老人は怒った
「ハラボジだって病気だっていわれたじゃない。」とイドウン。
「だが受け入れてくれた。
騒ぎ立てるだけのお前達と違って。」
「先生(ハラボジのこと)が心配です。お子さんには連絡したほうがいいのでは?」とヒョン夫人。
ヨンギがヒョン夫人のひざをつついて余計なことはやめろと制止させた。
キム老人はいった
「我々をいじめてカンマニにどんな得があるのだ?
何も無いだろ
育てようとしているのだ
指揮者は舟で言うと船長だ
船長に逆らえば舟は転覆するぞ。」
「ハラボジ・・古い!!」
そこへルミがやってきた
キム老人がよんだというのだ
出て行った団員たちの説得にいくという。
「手伝ってくれるだろ?」
キム老人がいった。
三人とも後ずさりをした。
イドウンは塾へ行くといって出て行った。
ヒョン夫人は家に帰ろうと口実をさがした。
そこへキム事務局長からルミに電話があった
合唱団も出て行ったという。
その合唱団だが。
合唱団とカンマエが話し合っている。
「出ないというのではありません。練習に無理があるからその改善をというのです。」
「言いたいほうだい言われて
練習時間を延長されました。」
「そんなことか?
公演はするのだろ?」
「先生とは出来ません。」
「練習だけ別の方というわけには行きませんか?」
「わかった。カンゴヌ入れ。
合唱団の練習の担当は彼がやる
彼は音大も出ていない
合唱の専門家でもない
楽譜もやっと読める
今は私が指揮を教えている
・・・二ヶ月ぐらいかな・・」
「からかっているのですか?」
「ほんきだ。」
「何故素人に練習を任せるのですか?」
「私を拒むのは経歴ではなく練習方法だろ?
前のオケの仕上は彼がやった。私と団員の橋渡しもした。」
「でも・・それとこれとは・・」
「作戦に失敗したか」
カンマ二は合唱団の団長にずばり言った。
「作戦だなんて」団長は躊躇した。
「第九は合唱抜きでは演奏にならない、だったら指揮者は合唱団の言うことを聞くだろうと思ったのだろう。
時間がもったいない。
この提案を飲むこと自体が譲歩だ
これ以上私の忍耐を試そうなどと思わないように、ベートーベンが聞いたら激怒するが。やる価値はあったと思えるようにしてくれ。」
部屋から去っていこうとするカンマニを団長が止めた
「そのおっしゃり方からすると私達が悪いという事になりますが?」
「そのとおりだ・・・。」
どこまでも折れないカンマニ。
「しかし、悪い生徒はいない。悪い教師がいるだけ。
そう・・いわれているように思えます。」
「指揮者は我々の能力を引き出すべきだ
やる気にするべきです
我々が悪いのではない。先生が原因です。」
決裂した。
場所が変わって市長室。
市長はかんかんだった。
「辞表が20通も来ている。どういうことですか?」
「市響を作る時カンゴヌのやり方で鍛え上げろといったのはそちらだ
カンゴヌの市響をつくれといった。
いずれもが通る道だ
最初から気持ちの通った団員などいない。」
「分かっています。彼らも悪いわけではない。先生が謝ってくれたら元に戻るというのですから。謝ってください。」
「辞表にはんこを押してください。縁がなかったのだと。」
「謝ったらすむ事です。」
「謝る気はありません。」
「負けるが勝ちでは?」
「それは負け惜しみです。」
「公演はどうなります?」
「オーディションで補充します・・」
ところが、前回落ちたメンバーは今回カンマにと衝突したメンバーからオーディションを受けるなと圧力をかけられているという
パクはカンマニの指示をうけて団員の補充にあたっているがうまくいかない
これは戦争だ、強気で行かないと負けてしまうとカンマニはいった
研究団員の事もある。曲をかえたらあいつらはついて来れ無いだろう。
パクはうれしくなった。
「もう少しあたります。」
ルミがエスプレッソと新聞を持ってきた
そしてカンマエ特集の雑誌をみせて、記事を読んだ。
「せっかく買ったんですから。
え・・と
【カンマエは最高の実力者だ
ソクラン市響の指揮をするのは王の帰還である。国内クラシック界の底上げとなろう
一つきになる事がある
果たして彼は市響でどのくらい持つか】 」
ルミは黙った。
「・・・読め」
【彼はひとつのオーケストラに半年以上いた事が無い
彼が出て行くか 団員が出て行くか
長くて5ヵ月半、一日でやめたこともある】
ルミは考え込んだ。
「読め・・・」
「この人おかしいわ。」
「正しい情報だ・・読め。」
【ここで予言しよう
団員たちは反乱を起こす
カンマエの態度に謝罪を要求する
彼にとってはたかが市響なのだから一ヵ月後には去るだろう
しかし予言というよりは彼のパターンだ。】
「一ヶ月は持ちこたえないとな・・」
「この記事はおかしいわ。
今初めて読んだの。」
「お前の行動は先を読まない。いつもそうだ。
気分は変わらないが刺激になった。」
「団員は二人ほど帰ってきます。辞めた団員達に会ったのです。それで説得して。」
「おまえはコンマスのつもりか?それともわたしと特別な関係か?」
ルミははっとした。笑顔が消えた。
「おまえは私にとってトラブルを抱えた厄介な団員であり、私の弟子の恋人だ。
あれこれ手を出すな。浅はかだ。」
「すみませんでした・・」
ルミはやっと言えた・・
「でも私は先生の力になりたかったのです。」
「その力はゴヌに注いでやれ。」
ルミは涙をはらはらと流して礼をして去っていった
泣いてはいけない・・・
特別な関係ではない
指揮者と団員なのよ・・
ルミはそう言い聞かせた
おそらくカンマニも同じ事を自分に言い聞かせたに違いない(なぜ?)
さてイドウンがなにやらやっている
おばさんとヨンギさんが交渉の代表だからね
ルミは連中がカンマエと交渉することをしる。
カンマエのところにコンマスとジュンジンともう一人の女性団員、ヨンギとヒョンがやってくる。
コンマスがいった。
「交渉内容をいいます。
その1団員の人格の尊重
その2追加練習の禁止
その3侮辱的な発言の謝罪及び再発の防止
お二人も同じでしょ?」
ヨンギは「マア似たような・・」と言葉を濁した。
ドアの外では
ルミは何故こんなことをするのかとキム老人にきいた
「カンマエは受け入れてくれたじゃないの。」
「実力よ」とイドウンはいった。
ルミはイドウンの肩をにぎって椅子に突き飛ばして座らせた。
「殴られたくなかったらおとなしくしなさい!!ガビョンさんも賛成ですか?」
「止めようと思ったけどみんなの不満もあるしカンマエの言葉もひどいし・・」
「ひどい?本当にひどい人は裏表があるわ。
私達を見捨てなかったわ。」
「公演後見捨てたわ。」イドウン。
「今は?ちゃんと団員になっているわ
カンマエは指揮者よ。コンマスも団員も首に出来るわ。そんな人が研究員を残したわ。見学もさせてくれた。見捨てたというの?
最初のオケを牽引してくれたのはカンマエだった。こんども研究員として残してくれて第九の練習も許してくれた。
ガビョンさんのこともちゃんとみてくれた。」
「口が悪すぎよ。」
「みんなを信じているの。」
「馬鹿じゃないの。」
「きっとね。不意打ちを食らったはずよ。」
その不意打ちにヨンギとヒョン夫人が参加していたのが残念だった。
カンマニはコンマスたちを退席させてヨンギとヒョン夫人とはなしをすることにした。
二人のまえに座ったカンマニ
「打ちのめすチャンスだね。笑ったらどうだ?」
ヨンギはいった。
「先生、友達いないでしょ?」
「人は一人で生きていくものだ。」
「だから犬なんかと。」
ヒョン夫人は
「私達は抗議にきたというより仲裁です。
公演しましょうよ。だから一度だけ謝ってください。」
「謝る気はない。
真実をいっただけだ。
フンはフン、・・あ、フンの塊だったか
こっちはなんだ?」
ヨンギを見た
「注意するにも値しない・・」とヨンギはいった。
「分かっているじゃないか。」とカンマニ。
「腹を割って話しましょう。
団員として来ているのではない。
あんたは指揮以外何ができる?
我が強くていつも口が悪い。
かっこつけてあんたこそフンの塊だ。」とヨンギ。
「ヨンギさん・・」
「見苦しいと思わないか?
私が追い詰められたから一緒になって文句を言いに来る。
君がオヤなら子供がかわいそうだ。」
ヒョン夫人「先生それはは子供を例えに出しての侮辱です。」
ヨンギ「子供も友達もいないからよく分からないのだろう。
いつもあんたの前ではビクビクしていた。
アンタは気の毒な人だと思っていた。
あんたは愛や友情や涙を知っているのか。
そういう感情こそ音楽を豊かにさせるのだろう?」
カンマニ「基準は人それぞれだ。」
ヒョン夫人「卑怯だと分かっています。卑怯にしたのも先生です
押さえつけられて不満がたまります
先ほどの子供の例えですが先生のように人に子供を育てる資格はないわ
だから犬を暮らしているのだよ
これ以上長くなると傷つけあいますのでやめますが。どうか謝ってください。」
「その一言で澄むんだ
簡単だろ?」
「一度でいいから自分を抑えてください
難しいでしょ、でも世間はそうなのです
プライドはあっても我慢しています先生は
わがままです
分別が無いのよ
失礼しました。」
カンマニはじっと耐えていた(はずだ)
ガマンしているのはこっちだと思った(はずだ)
何も分からないくせにと思った(はずだ)
こんな奴らと話をしようと思った自分があまかったと思った(はずだ)
帰りの車でのこと
ゴヌにカンマニは聞いた
正直に答えろ
私は変人か?
性格破綻者か?
急に何を・・・
顔も見たくないか?
全部イエスだろ?
カンゴヌ・・・指揮の技術を盗んでも性格は盗むなよ。
最も盗みたくなるような性格ではないがな。
指揮デビューでもしてみるか。
公演の最初の曲なら短いからできるぞ。
なぜですか?
引退の準備だ・・・
笑った
ゴヌはいきなり車を道端に止めた
さっきの質問に答えます。
これはなんですか?と車を指差した。
車ですよね。これを気に入って有り金はたいてかったとする。なのに突然コイツが車ではないぞ、俺は鳥だと言い出した。鳥になって飛んでいくと・・そしたら俺は?
質問に答えます
変人?性格破綻者?そのとおりです。顔も見たくない奴?やっと気づきましたか?
40歳にもなればわかるでしょ。何故いまさら騒ぐんですか?
慰めているつもりか
警告です。逃げないようにと
ほんきなら夜逃げでもしてください。
俺は師匠を慰めたりしません。
そんな大人を何故慰めるのですか。
終わりか?
締めに一発殴りましょうか?
それは後だ
行くぞ!!!
どこへ?
行った先は洋服屋だった
りっぱな礼服を買ってくれた
服はいいのに来ている人間がこれだ・・
回って・・・
ゴヌはぎこちなく回った。
最初の曲を指揮しないか?
お前を利用してみようと思う
観客に比較させてやる
最初の指揮者は無能だ。
二番目はすばらしいとな。
合唱団の練習をしっかり頼む、第九を編曲している。合唱アリとなしを平行して進める。
はい
合唱団が使えなければ無しでやるぞ。公演をするのだからいいだろ?第九を生かすも殺すもお前しだいだ。
(後々この言葉が間違って流れてしまいとんでもないことになる)
はい
最初の曲は適当にな。私の引き立て役だ。
はい。
冗談だ。下手だったらミョンファンに送りつけるぞ
はい
着替えろ
はい
ルミとはうまくいってるか?
もちろんです
・・・・・
40歳にもなってか・・生きる道なんて見えてないぞ
カンマエにメールがきた
ルミからだ
浅はかだって?
けんかしようぜ
事務局前に来い
コケコッコー
闘鶏(サムタク)
ルミはカンマニをまっていた。
ゴヌの相手もしているし・・・
ダメか・・
ヨンギさんとの話はどうでしたか?
これもダメよね
浅はかだって言ってましたね?
本当の浅はかはなんでしょうか
なんてね・・・
カンマニはそっと近づいた。
そうだ、これを見せて
ルミはビスケットの包み紙をあけた
私は口が縦に伸びるんですよ
これ7枚一気に口に入るんです
浅はかの神髄ご覧あれ
はぁ・・・
高校以来やってないけど・・
口を開けて
ストレッチをして
できるわよ、トゥルミ・・・
今日こそ笑わせてやるわ
果たして口に入るか・・・入れたぞ
その時笑い声がした
ルミは驚いてそっちをむくとカンマニが笑っていた
本当に高校時代それをしたのか
ほんの暇つぶしで
隠れてみていたのですか?
動物の習性だな。攻撃されないよう隠れるということだ
ルミはじっと見ていた
ヨンギさんとの事は聞かないのか
私のことを何も分かってないと、子供を育てる資格もないといわれた。私は気の毒な人だって(笑)
だから団員に謝罪しようと思う
・・・
練習時間が足りなくなるしな
・・・
簡単だ謝るだけだ
ルミは目に涙を一杯ためた
明日2時に練習室だスマートに謝って頭を下げる。
申し訳ありません
ルミは声を上げて泣いた
その時がきた
カンマニは団員たちの前で、原稿を出した。
ルミは廊下にいた
ゴヌは練習室にいた
わたしことソクラン市響総指揮のカンゴヌです。
この度団員達が不信を持ち理解しあえなくなったことについてそれは全て私の過ちであるというのか。私は決断しました今日からわたしは指揮者として人間として生まれ変わり心の底から皆さんに・・・心を込めて・・・
ルミはドアを少し開けてみていた
ゴヌも哀しそうに見ていた
キム老人も
パクも
イドウンも・・・
ジュヒも・・
カンマニは頭を上げて会場を見た
そしてドアの隙間のルミを見た
ルミははっとして目を伏せた
心を込めて謝罪を・・
またルミを見た・・・
ルミはドアから離れてみえないよう移動した
カンマニはそれも見た
カンマニは怒ったように原稿を叩きつけて
謝罪は出来ない!!
これは本心ではないからだ
追い込まれて無理矢理書いた
皆さんの三つの要求
受け入れられない
先生・・・
追加練習の禁止?
必要なければやらない
時間外手当も出る
講演もうまく行き皆さんの実績となる
人格を尊重する話は済んだ
とにかく謝罪しろというのは・・・・
一つだけ質問する
私が実力以外のことで皆さんに文句を言ったか?
私のじゅんび不足で皆さんに迷惑をかけたことがあったか?
何が問題だ?
先生のいいかたが
とジュンジンが言った
言い方を直してくださいということか?
私は治さない。幼い頃からこうだった、だから家族も皆私を嫌う。どうしようもない
ルミはまたドアの隙間に張り付くように見ていた
代わりに皆さんに約束する時間外手当は期日どうりに支給する。
国家の演奏はただではしない。奏でる音全てに報酬を出す。予定されている行事以外演奏はしない。
市長の個人的なお願いも受け付けない。
決められたスケジュールどおりにやる。
なによりも皆さんに恥じを欠かせない
演奏する音楽を観客の前に堂々と出させる
私達の演奏が人々の小さな慰めになるようにする
これがこの市響をする上での目標であり夢だ
皆さんもその夢を一緒に見て欲しい
ヨンギも
ルミも
ゴヌも
パクも
笑顔になった
泣き顔になった
後悔顔になった
廊下を去ろうとしてカンマニに声をかけられた
トゥルミさん
ふりかえると
いつものカンマニがいた
これでいいだろ?もう泣くな
・・・・ルミは後姿を見送っていた
帰り道ゴヌはコンマスに声をかけた
やめられるのですか?
責任上ね。簡単に出した答えではない。
コンマスは笑いながら頑張って講演を成功させてくださいといった
残った団員達が話をしていた
ヨンギは
カンマニは謝ったんだだから受け入れよう
という
ヒョン夫人はジュンジンに一睡も出来なったわといった。私はひどいことを言ったのよ。
カンマエの言う事は間違っていないわ
言い方なんて形式的なもの。聞き流せばいいのよ・・ね?
ジュンジンは辞表を破った
練習が終わってお疲れ様といった
指揮台をおりたカンマニにハピーバースディーの演奏が聞こえた
振り返った
お誕生日おめでとうございます!!
クラッカーがなった
驚いていますか?
先生お誕生日おめでとうございます
プレゼントがつぎつぎと
花束もつぎつぎと
ルミはそれをじっとみていた
にぎやかにおめでとうの嵐だった
イドウンが何か言いなさいよといった
カンマニはプレゼントを一度床に置いて
いった
誕生日は今日ではないのだ
え?
ルミさん~~調べなくちゃ!!
ゴヌが用意したのよ
おまえだろ?バースディソングの練習も
ケーキも・・・
第九より難しかったわ~~とヒョン夫人
お祝いは多いほうが嬉しいでしょ~~ヨンギがケーキを運んだ
電気を消してロウソクに火をつけた
いち・・・にぃ・・・
さんで吹き消すはずがにぃで吹き消した。
指揮者がリズムをはずすなんて
わぁ~と歓声が上がった
誕生日のお祝いなんて何年ぶりだろうな
久しぶりの笑顔だった
ヨンギが
終わり?
と聞くとカンマニはうなずいた
長いな・・・
また皆笑った
この雰囲気をやわらげるにはカメラカメラ・・・
ルミさんゴヌとは仲いいの?
え?なんで??
あ、ばれたばれた(笑)
カンマニはゴヌの笑顔をじっと見ていた
ヨンギは
尊敬するカンマニ先生、私はこのケーキをどうするか悩みました
最後の仕上げとして
ロウソクをひとつひとつ取り去って
てについたバターを舐めて
そして、カンマニ向けてケーキをぶつけようとしたら
カンマニがよけて
後ろにいた
ジュヒに、命中した
それからはてんやわんやの大騒ぎとなった練習会場だった
その夜、一人で練習していたルミ
うまくいかない・・・
そこにゴヌから電話が・・電源を切った
思い出した
最初の公演のときだった。
ああ。マイクのテスト中
サムタク 野良犬
馬鹿 間抜け私について来い
私のコンマスだ
ここにいる私の団員だ上手く弾けているぞサムタク
どうすればいいの?
大変な事になったわ・・・
ルミは思いが通じないもどかしささを感じた。
ああ・・・・
さて公演の日が近づいていた。
長く続く雨のため洪水が起きた
ソクラン市は非常事態となった
市長は可能な限り延期にしますといった
被災者が多いので公演する場所にも50人ほど避難しています
その人たちを気遣いながら準備をしてください。
この講演は大変な中で行われることになります。
連日の雨で洪水まででた。
避難民も多く決して歓迎されるべき市響の創立公演ではなかった。
しかも・・・
カンマニには第九にまつわるジンクスがある。大きなトラブルに襲われるというのだ。
そのトラブルはもう起こったのだろうか。
それともこれから起きるのだろうか?
団員達の反乱という試練を乗り越えて残った団員達で一つになれたカンマニの市響だった。
創立記念公演の会場は雨と風の中準備が行われていた
会場も避難民に使用されている。
楽器を運ぶトラックがぬかるみにはまって動けなくなっている
公演の時間まで到着しなければ演奏が出来ない。
ルミはトラクターのレンタル先にレンタルして交渉している
パクは緊張状態だった。
そのうえキム係長まで水道管の破裂工事に対応しなければならない
書類にサインを頼んだよ
と強引にルミにカンマニのサインを押し付けた
恐る恐る指揮者室にいった。
カンマニは居ない。
豪華で静かな部屋だった。
コーヒーを入れて、メモをしていこうとした
しかし
インクの出ないボールペンほど苛立つ事はない。
書けない~~といいつつメモをしていると、カンマニが静かに入ってきた
気がつかないルミだった。
書けないボールペンと格闘しているので、自分のペンをだして差し出した。
気がついたルミは驚いて立ち上がった
どけ
とカンマニは、いった
相変わらずである
書類にサインを・・というとにらまれた
先生は機嫌が悪いと、キム係長がいっていた。
先生は楽譜を見ていた
このところ実はルミは誰とも連絡を絶っていた。
バイオリンの練習に夢中だった
カンマニも連絡を入れたようだが通じなかった。
実家に戻っていたのか?
は?
ではゴヌとデート?
違う・・あいつは指揮の練習で忙しかったはずだ
浮気か?
は???
仲良くしろ。めったにいないいいやつだ。
ビスケットを口の中に入れることゴヌにも見せたのか?
・・・・・・・・
私はゴヌのこと好きみたいです
付き合っているんだろ?
ゴヌの気持ちが分かりません
好きみたいだぞ
私には分かる
本当に?
・・・?
本当にそう思いますか?
もう一人のゴヌですよ
その若いゴヌはカンマニを探して指揮者室に来ていた。
ドアのガラス越しにみえるルミとカンマニが何を話しているのか、気になった。
若くてやさしいゴヌではなくて年を取って意地悪な憎たらしいゴヌですよ
さすがのカンマニ・・・驚く
ゴヌも何事かなと思ったけど深刻そうなのでとまどっていた。
が、持っていた楽譜をドアにぶつけてしまった
ルミとカンマニが気がつく
カンマニは立ち上がったゴヌのところに行った。
すみません、盗み聞きをするつもりは
・・
そういうゴヌの手をひいて部屋にはいった
そしてルミにもう一度言って見ろといった
え??もう一度言えって、あんた・・・・???
第9話おわり
