このベートーベンウイルスをはじめてみたときドラマの紹介に「韓国版のだめカンタービレ」とあった。
はたしてこの作品は日本の、のだめカンタービレなのかというと・・・・・・
クラシック音楽コメディなのかもしれないが・・・・ちょっとちがう。
恋愛に宿命的なアンハッピーエンドがつきものの韓国ドラマであるこの作品と、「のだめ」は彼が彼女にしだいに引かれていくというか丸め込まれていった千秋真一をみるとやはり両作品はとことん違うと感じる。
のだめにでてくる気難しいマエストロ。おちこぼれオケのメンバーなどはベートーベンウイルスのカンマエやジュヒたち、場を盛り上げたキャバレーのヨンギさんは峰竜太郎とか。主人公よりまわりのキャラが似ているかもしれない。
しかし、オーボエのガビョンさんとフルートのハイドゥンのエピソードは「ベートーベン」ならではである。
結論..................
どちらも魅力的なドラマでした。
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第4話 逃げない勇気
詐欺事件が市長にばれた。
翌日ルミは市長室に呼びだされた。
係長は二日酔いの市長に気を使いながら『お前のおかげで俺は首になりそうだ』
とルミをみて首に手を当て切るしぐさをした。
カンマニがやって来た。
「酒臭いですね。
オーケストラ公演の大成功の前祝ですかな?」
市長は「詐欺事件をご存知だったのですか?」と聞いた。
「詐欺に会って金が払えず、アマチュアを集めた事は知っている。」
「なぜ言ってくれなかったのですか?」
「犬を殺すと脅されたからだ。
その上指揮者まで素人に変えるというし
練習は楽しくあるべきだというし・・・・」
カンマニは連中には困ったものだ、といった。
市長はカンマニに謝罪した。
終わった事ですからと、カンマニは去ろうとした。
「やはりお辞めになりますか?」
「今日発ちます。」
市長はルミにお見送りしろといった。
秘書室を通ると秘書がルミに駐車場の駐車権に無料のハンコを押しますからといった。
「これからは節約だな。首になりそうだし、貯金も無いだろうから。」
カンマニはいい気味だといわんばかりに言った。
そしてドアを開けて出て行こうとしたとき、秘書はミョンファンからの電話を取って話を始めた。
「ミョンファン先生ですか?」
市長に会いに来るらしい。
オーケストラの指揮はカンマニの後任にミョンファンを充てるという。
カンマニは帰ろうとしたが市長室にいって、後任は私が決めるといった。
「なぜですか?」と市長が言った。
「私とミョンファンはスタイルが違う。
しかも、ミョンファンではダメだ、全く違う。
ミョンファンは出がらしです。」
そういってお茶のパックを食べて見せた。
「まだ緑茶の味が残っているか・・
公演を期待してください。」
そういってカンマニは急いだ。
ルミはあわてて後を追った。
「公演まで何日だ?」
「14日です。」
「急いで団員を集めろ、聖堂隣の新館の屋上へ集合だ。」
「先生指揮をしてくださるのですか?」
「楽しい練習などと甘いことを言うな
公演が失敗になって笑えるか?」
そういいながら急いでエレベーターに乗った。
そしてルミには階段を走れと命令した。
さてその屋上。
カンマニは一人一人の経歴をもう一度確認した。
「生活が苦しいから、音楽ができないなどと被害者意識を捨てろ
現状を誰かのせいにするのは卑怯なだけだ
もう逃げられない、がけっぷちだ
最後のチャンスだ逃げるならあのドアから逃げろ、ただし、鍵は私が持っている。
逃げるなら屋上から飛び降りろ。」
そんなことをしようとするのは
誰もいない。
「では練習だ。」
緊張が走った。
「コントラバス、弓を垂直にして
オーボエ、今朝何を食べましたか?」
「マクワウリと・・」
「マクワウリの種がオーボエに詰まっています。」
いつもの辛口であっても、団員はしっかりとカンマニを見据えていた。
「なんだ?その顔は?」
「せんせい、すてきです~~~」
「プライドを持てと行っても無理か・・・・」、
しかし、タクトを振っても音が合わず、
「一時間昼食ぬきで練習しろ」
そういって指揮者室へ戻った。
そこへミョンファンがやってきた。
「遊びに来たのだよ~~~
なれないことしているね~~~
アマチュアはほめなきゃ~~~~~
勲章をもらってやることなくなって、暇だなぁ~~~~~。
ね~~飲みにいこうよ~~」
と、甘えた声で言った。
練習場では、パクがゴヌに聞いた。
「俺の音はどうだ?間違ってないか?」
「大丈夫です。」
「ちゃんと聞いてくれよ。」
「・・ビブラートでもう少しゆっくりと・・・・・」
「あ、出来た!!」
するとキャバレーが、「俺は?」と聞いた。
「大丈夫です。」
「言う価値なしか。」
「価値がなければ口は利きません。」
「私のバイオリンは、どう?」
とジュヒがきいた。
「俺は何も出来ません」
ルミは
「みんな、ゴヌは指揮をしません。」といったが
ジュヒが「わたしはどう?」
と、無視して聞く。
「・・・大丈夫です。」
「ゴヌ・・・」とルミが言った
「自信を持ってください。」と
ルミに背を向けたままみんなに言った。
「カンゴヌ!!!」
とルミがきつく大声で言った
ゴヌは驚いた。
皆はルミが大声を出したのでみんなはハッと注目した。
ルミはそれをけん制して
ちょっと表情を崩してにこやかに
「私は?」
と聞いたので、どっと笑いがあがった。
キャバレーが「直す所ばかりだな。」といった。
みんな笑っている。
ゴヌは、その通りといったので、爆笑になった。
ミョンファンはカンマニにまだ話をしている。
「お前には無理だよ。プロを率いてきたお前はアマチュアがわからない。アマチュアは緊張に耐えられない。おまけに気遣いも出来ないし。配慮しないし
団員もお前もかわいそう~~~~~」
カンマニはこのおしゃべり男に帰れといった。
「どうして?遊ぼうよ~~無駄なことやめてさ~~」
カンマニの顔を見たミョンファン
「鼻の穴が膨らんで、爆発寸前だね。爆発する前に帰るわ~~~。」
といって去っていった。
ペールギュント組曲の第一楽章「朝」。
ゴヌは言った。
「カンマエが朝の感じっていったから
イングリッシュホルンのようなすんだ透明な感じかなぁ~~
爽やかにでも元気よく演奏したいな。」
パク:おまえカンマエの解釈でするのか
ゴヌ:彼が指揮者だし
ジュヒ:前で話してよ
ゴヌ:ここで話すよ。
それをドア横で聞いたカンマニはある考えが浮かんだ。
指揮者室にゴヌが呼ばれる。
「私は腕を怪我をして指揮ができない。お前が代わりをやれ。指揮を教える。練習の時だけだ。公演までには直る。
皆をあやして私の言葉を伝えるだけでいい。私の操り人形だ。人には指揮者に見えるだろ。言うとおりにしていれば少しは勉強になる。子守とトランペット、どっちを選ぶ?」
「やらせてください。」
ウィリアムテルの演奏。
椅子に座っているカンマニ。
指揮をするゴヌ。
途中、カンマニがゴヌを呼ぶ
「もっと威厳を持て。お前が舞い上がってどうする。
それから、耳を貸せ。」
カンマには小さな声でゴヌに言った。
「なんだあの最後の音は、ちゃんと足並みをそろえさせろ。できるまで何度もさせるぞ。」
不安げに様子を見ていた団員達に、ゴヌは
「だいぶよくなったとおっしゃいました。」
団員達は歓声を上げた。
「でもレターCのところでは勝利のラッパを鳴らすところです。心を一つにして演奏しましょう。」
練習はすばらしくよかった。
カンマニも納得していた。
ところで不安と怒りの収まらない市長。街をあるいて市民と直接話をする市長だった。
延期にならないかとか中止にならないかというが。
係長は取材も入っていますしいまさらとことばをにごす
そこに次期市長選で対抗馬になる議員とあう。
「あのプロジェクトオーケストラの公演はなかなかすばらしい企画です。注目されています。おみそれしました。」
というではないか。
では失敗したらどうなる?と市長は青ざめた。
そして聖堂の練習室へ行った。
「公演は可能な限り先に延ばします。今のレベルを聞かせてください
とにかく団員の経歴が問題ですからな。」
カンマニは
「審査をするというのですか。」
そういってピアノでシューベルトの鱒を弾いた。
「ご存知ですか?」
聞いた事はあります。
「シューベルトは認めてもらえなった
経歴にこだわる人ばかりだったからだ。あなたのような人たちがいたからだ。」
「若い時は苦労するのはみな同じです。」
「シューベルトは生涯貧しかった
ロッシーニは劇場の伴奏をやって生活をした
ショパンは栄養失調だった
シューマンは自殺
ビバルディも貧しかった
市長は偉大な音楽家を殺す側の人だ
しかしそれは当時の時代ではいたしかたないこと。
私も貧乏で苦しかった
レッスンすら受けられなかった
夜中に学校のピアノでこっそり練習した。
しかしやっと出場できたコンクールで落ちた。そんな私に音楽をやる資格はないと?」
すると市長は
「私はシローとです。
経歴をみるしかない。世間も同じだ。
ミョンファン先生の経歴のほうが上だ。だからそっちを重視した。」
ルミは、「私達は必死で頑張っています。」
というと
市長は怒って
「口をはさむ気か。だれのせいだと思っているのだ。早く辞表をもってこい。」
去ろうとしたルミにカンマニは座れといった。
市長は
「私の部下だ。」
といった
カンマニは
「私のコンマスだ」
といった
「皆私の団員です。侮辱は許さない彼らを侮辱する権利は無い、誰だろうと許さない
」
「自信がおありですね。
公演の負債はあなたが払えばいい。
一筆かいてください。
失敗したらすべての責任をあなたが受け持つと。この際指揮も生涯やめると書きますか?
観客の反応が悪ければの話です。」
「そうであれば生涯市長の脚をマッサージします。音楽をやめてね。どうですか?」
カンマニはいった。
さてカンマニはルミと打ち合わせをしている。
「場所はどこだ。」
「アートホールです。」
「曲の解釈の資料は?」
「配ってあります。CDもわたしました。」
「仕上がりがおくれているものは?」
「ヨンギさんはゴヌが個人指導をします木管はガビョンさんが。」
「チェロとコントラバスはヒョックオンだな。バイオリンは?」
「私とヒョンショクさんがします。」
「そういえばあの二人(バイオリンの女性)から先生に手紙が来ています。」
「読め・・」
「先生チョー素敵でした。
あんなにやさしいなあんて カンゲキ
カンマエに萌え~
アイラブユー~~~」
「なんて言葉遣いだ。」
「ネット世代ですから。」
ルミは「私の団員だといってくれましたね。うれしかったです。少しは認めてくださったのかなと。」
「私がお前たちの指揮者だろ
指揮者と団員は一心同体だ
だから失敗したらおまえがマッサージをやれ。」
ぽかんとするルミの手帳をとって
「二部のリベルタンゴソロはだれだ?」
「ガビョンさんにと思ったのですが音色があわないと。」
「オーボエは違うだろうな。でどうする?」
「ガビョンさんはゴヌがいいといいます。」
「カンゴヌ?アイツは何でも屋か?魔法使いか?」
「遅くなりました。」
そこへゴヌが来た。
「新しく出たポスターの日程がちがうのだけど。
14日?」
「21日よ。延期ですって。」
その日はゴヌの復職の日だった。
復職をおくらせばいいとカンマニはいった
休暇でもあるまいに、停職が解けるのだからその日に粛々と仕事に就かねばならない。
「そんな仕事はやめてしまえ!!」
カンマニはいった。
「公演には出ないというのか。ソロはゴヌ。いまさら自分だけ抜けるのか?許さない。何をしている、また事故を起こして、停職になれ。」
ゴヌは職場に掛け合いに行った。
追いかけるルミ。
「公演のために仕事がなくなるなんて無理なら抜けていいのよ。後は任せて。」
そうはいうもののゴヌとて、公演にでたい。
しかし上司は反対した。
そこで署長に掛け合いに行く事にした。
ゴヌが抜けるというのでトランぺっターのオーディションをすることにした。
あのときのプロの先生に声をかけると、250万ウォンだせという。その条件を飲んだ。
するとカンマニを見て態度が変わった。
「古典派の音楽を忠実に再現する先生の実力に感銘しています。尊敬しています。
そして頑張ります。」といって一礼した。
しかもオーディションを受けてもお金はいらないといった。先生の前で演奏する事だけで十分です。
そういった。
「ソロはゴヌでなければならない。」
「でもゴヌは来ません。」
「では、観客に言え。ソロは交通整理で忙しいと。日程が変わったぐらいであきらめるとは許せない。いまさらゴヌ以上のやつはいない。」
「失敗したら私が市長のマッサージをします。」
「私が指揮者でいる限り台無しにならない。失敗はない。」
帰ろうとするルミにカンマニは
おいサムタクといった。
「元気を出せ、それではサムタク(闘鶏)にならないぞ。」
といった。
キム老人はイドウンのコンビニにいった。イチゴ牛乳とパンを注文した。
おまえが告げ口してどうなったか分かるかと聞いた
「そんなのどうでもいいわよ。」
と無視を決め込むが、キム老人は封筒をわたした、
「いまさら20万ウォン?なにをいってるの。」
と馬鹿にしたが、老人は去って行った。
お金に執着のあるイドウンは中を見てビックリして怒った。
中はお金ではなく公演のチケットだった。
「馬鹿にしたわね」
大家のチョンヒョンさんはご主人に見つかったらしくオーケストラをやめろといわれた。
どうしてもチェロでオケをやりたいというチョン夫人。
「私だって好きなことしたいの。」
何をいっているのか分からないとご主人はいった。
夫人の怒りも収まらず彼女は家を飛び出した。
さがす主人とルミ。
夫人はゴヌの家にいった。
そこは、カンマニがいた。
かつてフンの塊といったあいつだった。
ルミはゴヌに電話をしたが、ゴヌは署長をまっている。
しかも、トランぺっターは探しているから大丈夫よ、などと人の気も知らないで無理するな、帰って来るなといわんばかりである。気を使っているのだろうが、ゴヌには迷惑のようである。
携帯がなっているので後輩の警察官が彼女からですよ、でなくていいのですか?などというと。そして署長にあえることになった。
チョン夫人がいすにすわる。
カンマニの家である。
夫人は酔っ払ってチェロを弾くが、上手ではない。しかももともと性格的なものなのか音がくすぶっている。なにかに圧迫されているようだとカンマニはいった。
酔っ払っていろんな愚痴をいいながら夫人はカンマニに絡んでついに、カンマニは呆れて家を出て行く。
その夜、練習会場にヒョン夫人が参加した。
カンマニがはいってくるとキャバレーがリベルタンゴのソロは誰がするのですかと聞いた
抽選で決める
というと
参加しますといって手を上げた。
ほかに何名か手を上げたが
カンマニは
冗談だ
といった。
その時ゴヌが来た。
ソロはアイツがやる
といった
「やるんだろう?」
「すみません、署長に頼みましたが絶対にダメだと
公演には出られません。」
団員達は驚いた
「すみません・・・」
「公演の曲目は予定通り
公演に失敗したらお前のせいだ
皆の努力をお前が全部台無しにするんだ
公演当日に会おう。」
立ち尽くすゴヌ・・・
第4話おわり
