第18話④

さてクッパ屋では、イノクがコブラダンスの真似を長いソーセージをもってやっています。みんな楽しそうに笑っています。

「私のコブラはコンナにおどったのよ」それをみておばさんたちは大笑いをしています。

「あんたのコブラは本当に踊るの?」
「コブラだけは踊る事が出来るのよ。清国で見ることができるわ。でもわたしのかわいそうなコブラは事故にあったわ・・」そういってイノクはソーセージの頭をかりっと食べました。

「うん、このソーセージ本当のおいしい!!」「谷城で私達が作ったソーセージはもっとおいしかったわ」
「でもこれもおいしいわよ。あははは」
「なんて面白い子。もし息子が生きていたら彼女を紹介するのにね」

「私はそんなことできないわ」「あんたはあの彼と結婚しているの?」

「いいえ、でも私は彼が好きなのです」

「本当??」あはははは・・と笑い声です。

その様子をじっと見ていたギルドンは「アイツは情報を引き出しているけどソーセージを食べることが忙しそうだな?」とつぶやきました。

ホ老人は独り言を言っています。「イノクは今までずっと自由に生きてきたが貴族のお嬢様の生活ができるのだろうか」

ワンさんのお店ではまたあのホン大臣の部下が張り付いています。
「帰ってよ、さぁ帰ってくれ。彼は営業中なのにそこにたったままだ・・じゃまだ」といって「くすり売りはここにはもうこないある。帰ってくれ。あんたは仕事の邪魔ある。」
部下は「私はホン大臣の命令に背けない。ここで捕まえるつもりだ、そしてくすり売りを主人のもとに連れて行かねば」といいます。

「私にとっては息子だけでなくギルドンの親爺さんまでも災難のもとある」

歩いているホ老人です。考え事をしています。

「彼らは私に対して何をするのか?私はイノクを誰にも渡さない、彼女は貴族のお嬢様になるべきだ。私はイノクを彼女の祖父に送るべきだろう」

ところがワンさんの店の前であのホン大臣の部下を見ました。考え事をしているホ老人はそれに気がつかず「もう一度この辺を回って考えをまとめよう」といいました。
そしてくるっときびすを回して去っていきましたが、あの部下は全然気がつきませんでした。

さてクッパ屋の叔母さんとギルドンです。叔母さんは殺しをするときの幽霊に衣装をつくろっています。
ギルドンは「また出動か?」といいました。
「あんたは迷惑だね」叔母さんは針に糸が通らず四苦八苦しているのでギルドンはかわりに通しました。

「なぜあんたらは衣装をかえないのだ?人々はあんたらが乞食で幽霊ではないと思うだろう」
「なぜわたしらが人々を殺しに行く時はつくろった衣装を着るのかわかるか?」

「・・もしあんたらが綺麗な着物をきたとしてあんたらが幽霊だなんて人々は信じないと思うよ。」

「私は息子の弔いの時にこのドレスを着たのさ。その後幽霊になるときはこの衣装さ。どこもかも、つぎはぎだらけだ」
「・・・」
「すまないね、しかしこれでどうするか。今まで話をしたことが知っていることの全部だ。私はアンタが私達のように復讐に生きないで欲しいね」

イノクとギルドンが帰る道々です。
「彼らはあの衣装を縫っているのだ、他の誰かを殺すつもりだ。」「ギルドン、ソーセージはすごくおいしかったわ。言ってたわよ、谷城で作ったよりいいって」
「おまえは谷城へいってソーセージを食べたいのだろう?」
「私はあの人たちと一緒に行きたいわ。あの人たちはみんな谷城から来たのですって。」

「ちょっとまて谷城だって?」
思い出しました。
あの日あのキーセンがいってたことです。

「彼は谷城の役所にいた時に大きな事件に遭遇したのですって。」
「谷城だと?」

ノ尚宮は「私は今度の標的を見つけました」チャンフィーは振り返りました。
「そのものは谷城の役人でした。そして今彼は司憲府の持平になりました」「奴のような男が司憲府の持平だと?」

「彼は最近清国への代表派遣壇の一人なのです。明日清国へいきます。彼らはたぶん彼を今夜殺すでしょう」
「・・・」
「ホンギルドンがなにをするか見守りましょう」

根城のギルドンです。

「何か分かったか?」

スグンは「ああ、5年前に谷城である事件があった。おばさんたちは事件に巻き込まれたことがわかった。」

官軍です。
殺し屋は今夜ここで現れる・・・イニョンは官軍を率いて待っていました。

そしてホンギルドンはここに来る、私達はこの場所で待っていよう。

クッパ屋です。
「私達は今日やらねばならない。

彼は清国の使節なので長年行くかもしれない。

そして唯一のチャンスだ。」

スグンは情報を探していました。

「谷城の役人に清国へあした行く奴がいる。」とギルドンに言いました。

「奴らはたぶん彼を今日殺すだろう。」

「ちぇ、もし警察がこれを知ったら女性達みんなは殺される。」もうばれています。

雪が積もっています。
女性達が幽霊の衣装で現れました。
「ああダメよ。私はソーセージの蓋を忘れたわ。凍ったらどうしましょう?」

「私はそれらのソーセージは再びみることさえ疑わしいわ(生きて帰れるかどうか分からないわ)」

清国へいく使節団の男がひとりで歩いています。彼は谷城の司憲府の持平です。

女達は様子を見ながらつけていきました。

「奴だ」
女達は確認しました。

持平は「官軍が守ってくれる」とつぶやきました。

そこへ女達が急に現れて刀を突きつけました。

「我々はここであんたの命をもらう。あんたが奪った命のかわりさ」

すると官軍がやってきました。イニョンです。
「やつらだ。殺せ」
すると一人一人が持平を殺そうと襲い掛かる所を官軍に殺されました。

真っ白な雪に血が舞いました。
全員殺されました。

ギルドンが駆けつけました。

そこにはおばさんたちの遺体が転がっていました。

「幽霊の衣装を着た女達がヤンバンを殺していたのだ。」と部下がいいました。

イニョンは「卑しい生まれの者達の恐怖が憎しみに変わったのだ。この女達のように、ホンギルドンだってヤンバンを憎んでいる。今殺し屋が死んだ。部下に撤収を告げよ。」といいました。「活貧党は警戒しているかもしれない」

人々は口々に噂をしました。
「あの遺体はなんだ?」「さあな??」
「彼女達は幽霊だったのでそれはどういうことなんだろう?幽霊ではなく人だったのだ」

ギルドンは遺体を呆然と見ていました。

ムシロの下から出ていた腕はあの時年長のおばさんが塗っていた衣装の袖口だったのです。

あの叔母さんのことが思い出されました。

=活貧党のリーダーなら私らを救ってくれないかね?
=残念だけど救いようが無いよ

そのばにこっそりとチャンフィーがやってきていました。

思い出してますますギルドンは怒りがこみ上げてきました。

「幽霊の奴らめ」と清国使節の持平がいいました。「彼らは我々が殺した不潔な肉屋の母親達だ。」

ギルドンは涙をこらえてその使節団をにらみました。

すると官軍の一人ががギルドンを襲いましたがギルドンは官軍を倒しました。その時官軍の手を離れた刀が空に舞上がり落ちてきました。
ギルドンはそれをつかみ、持平に向き直りました。
「お前は誰だ?」
持平はじりじりと近づいてくるギルドンに恐怖を感じていました。
チャンフィーはその様子を見ていました。

持平は明らかに恐怖を感じて「お・・・お前は誰だ?」と、ふるえながら後ずさりしています。ギルドンは刀を持平ののどにあてたままです。

スグンたちも来ました。

持平はは後ろ向きで歩いてついにひざまづきました。

ギルドンは刀を首に突きつけたまま・・

大きな声の気合いとともに刀が振り下ろされて、使節の帽子が切り落とされました。

使節はぽかんと見ています。

「俺はお前の命などいらない。その代わりにお前の好きなこの世界を変えてやる。それは俺の復讐だ」そういって刀をグサッと地面に突き刺して去っていきました。

チャンフィーはそれをみてギルドンの気持ちの強さに驚きました。

ノ尚宮は「あのものが無謀にも殺さなかったのが幸でした。自己を制するものです。私が見誤りました。」といいました。
そうです、そんなに安っぽいやつではありません。
「しかし、私があのものを制せ無ければならない。彼は私が思うよりずっと強い。もしあのヤンバンを殺したなら私は私より弱いものとして彼を従えたが・・・だが見守った結果予想していた以上に強い人間だった。」

麻谷寺の墓場です。
「残念だ・・・・」ギルドンはあの母親達を埋めたのでした。

根城では「私はなんにも考えが無かったわ」とイノクです。「あんなに素敵な婦人たちがあんな恐ろしい目にあうなんて。私はどうしたら人はあのように復讐心にもえるのか分からない」

「イノクは知らなくていいのよ」とマルニョは言いました。「この世界は純粋な目を持ったアンタのような人こそ報いを受ける価値があるのよ。それは私達を安心させるもの。そしてギルドンもよ。」

イノクは目に一杯涙をためて泣いていました。

墓場では師匠がきて話をしました。

「お前の父親が死んだ母親の墓参りに来たことがあった。誰に聞いたか知らんがここにきたのだ。一日中ただこの墓を眺めていた。愛する人を死に追いやったこの世界。、その世界を作って守っているのは自分だからな。放心してたたずんでいたのだろうな。彼もこの世が生み出した罪人であり哀れな人間なのだ。」

和尚の言葉に耳を傾けるギルドンでした。

宮殿です。
ホン大臣と王様です。

「王様、リュウ大臣の娘の存在が知られるようになりました。私達は隠し通してきた王様の密命もまた知られるところとなりました。そうなれば王様の正統性が疑われます。それだけは避けるべきです」

「その娘はどこにいる?」
「活貧党のホンギルドンと一緒です」王様は「ホンギルドンめ。さっさと捕まえろ。私を脅かす連中はみんな奴と一緒だ!!」と叫びました。

ホン大臣は「彼は捕まります。方法があります。」といいました。
「なんだ?」
「私を殺すのです、あのものを捕らえるためにはそうするしかありません。王様を守るために命を捧げます」といってホン大臣は王様の前にひざまずきました。

王様は「え??」といったきりですが。

空き家でのギルドンとチャンフィー王子の会話です。

「おまえが王になったら身分の低いものが苦しまない世を作ってくれ。」
「・・・」
「つまり身分の上下がない世界を作って欲しいのだ。もしおまえが強い人間をかばえばお前は弱い人間を助けられない」

「それは受け入れられない。みんな私の民だ」

「わかっている、おまえは現実を無視できない。しかしお前が王になったらやってみてくれ」
「・・・」
「現実を無視して進むのは困るが理想を簡単に捨て去るな。俺が許せる範囲でお前はヤンバンと妥協してもいい、お前が許せる範囲で俺をヤンバンと戦わせてくれ。そうすれば最後まで手を携える事が出来る。国民が望む王とは彼らが作った王だ。
俺はおまえを王にするために助ける。世界を変える王を俺たちは待っている。そのために俺は強くなる」

チャンフィーは何もいえなかったのです。

食い違えば反発をするふたりです。
妥協点のわずかなズレがお互いの命取りになります。

チャンフィーはチスにいいました。

「今まで私が彼を使って世の中を変えようとしていると思っていたが、しかし彼は私を利用して世の中を変えようとしている。私達の始まりが違っていたのだ。あのものは下から私は上から変えようと始めた。途中で妥協点が見いだせなかったら、われわれはいつか最後まで戦う事になろう。その時はあのものを手放す事になろう・・・」
これはチャンフィーの覚悟です。

どうなるか分からないのですが、チャンフィーは未来を予想しています。

さてギルドンはあの墓場にいました。
俺は世の中を変えるために働くよ、あんたたちのクッパはおいしかった。

さてここではリュウ大監が呼び寄せた儒生たちがそろっています。

「王子様のお着きです」

チャンフィーが官服を着て現れました。リュウ大監はうやうやしく四寅剣を出しました。

「四寅剣に密命がしたためられています。"嫡子に王位を譲る。これを守り災いを絶て”とありまする。この國の真の王はここにおられる嫡子の王子です。
ここにいる儒生たちは王子を守るために命を捧げます~~。」というと全員頭を下げました。

根城ですが和尚です。

「長いことお前は叫んできたし自身を救おうと試みてきた。世界に向って叫ぶ感覚はいかがかな?世の中で人を救うものは最初に自分を守る、そして世界に同情する。おまえはかれらのようだ。彼らはお前のようだ。それが全ての場合におまえが戦う本当の理由だ。それは誰でもないお前だ、そして活貧党だ。」

イノクと祖父です。
「おじいさん、私は復讐なんて恐ろしい事など無い世の中になったらいいなと思うの。でも間抜けだからされも救えないの。だから哀しいの。」「そうだな。お前に復讐は似合わんな。間抜けで幸せが良いな。」

リュウ大監の家の前です。
ホ老人は決意しました。

「黙っていよう・・・もし知れたらあの子が難しい立場になる。もしあの子が両親を殺したやつを探すならそれも哀しい。言わないでおこう」

しかしそこにヨンムン団のボブヘア君がいました。
知っている老人なのでなにをしているのだろうと不審に思いました。そしてリュウ大監の使用人に聞きました。「この間も来ましたよ」「ここに来たというのか」「はい、彼はここに来てご主人のかぞくについて聞いて帰りました。」「何を訪ねた?」

ヨンムン団です。
リュウ大監との話し合いを終えて帰ってきたチャンフィーは四寅剣をいつもの場所に起きました。「今私達は朝廷で上に立つものをたくさん集める時です。」とノ尚宮が言った時です。

「お話が」とあのボブヘア君が言いました。
ノ尚宮もチャンフィーも振り向きました。「ある男がリュウ大監の家にやってきました。

そして孫娘の事について聞いて帰ったそうです。」
「誰がだ?」とノ尚宮。
「それは少し驚きましたが・・・」
「誰だ?言ってみよ」
「ホイノクの祖父です」「・・・」「ホイノクの祖父は訪ねたそうです。リュウイノクについて。リュウイノクはホイノクではないかというのです」チャンフィーには驚きでいっぱいになりました。

あのときのイノクがあのイノクかと。

さて、ギルドンとイノクは話をしています。
いい感じです。

「ギルドン、私はなんていったら良いのか分からないのだけどありのままにいうね。
以前のギルドンだったら涙を隠してあげられた。でも今は出来ない。だってアンタはリーダーだし。」

「俺をずっと見ていてくれ。俺はお前が必要だ」

「わかった、ずっと遠くから見ているね」「遠く無くていい。そばにいてみててくれ」
「そば?こんなふうに?」

「そうだ、こんな風に」
「もしわたしがこんな風にいればあんたは安心なの?」ギルドンはイノクの顔をじっと見て「間抜け」といいました。

そしてすっとギルドンは顔をよせていってイノクにキスをしました。イノクは目をまん丸にしたままです。

「尊敬する」そういうとギルドンは両手でイノクの顔をささえてまたキスをしました。

イノクは目を閉じていました。

うれいしい?

でも大変な事になります。

第18話おわり