中国の揚子江には、ヨウスコウカワイルカという珍しい川イルカがいる。(居たというべきだろうか?)

ジャイアントパンダと並んで「第1級保護動物」とされ、絶滅の危険性の高いレッドデータブックに記載されている。

ヨウスコウカワイルカは体長2メートルあまり、体重200キロ前後。中国名で「白鰭豚」と呼ばれ、その名の通り、白っぽい色をしているのが特徴だ。3000万年前から揚子江に生息してきたと言われる。

1986年の調査で300頭が確認された。92年当時は推定200頭に減少した。50年前は四川省近くの上流まで広い範囲にいたらしいが、近年生息地は中流のごく一部に限られる。

減少の原因は、まず川の水質汚染である。経済発展とともに揚子江沿岸でも工場が増え、船の往来も盛んになった。

船のスクリューに巻き込まれて傷つけられる例も多いという。

沿岸の人々の生活が向上するにつれて、ゴミも増え、川が汚染された。また、拝金主義のもと、魚が乱獲され、カワイルカの餌が減少したという。

さらに追い討ちをかけるように、上流では巨大な三峡ダムが建設され、魚の減少に拍車をかけたと言われている。

カワイルカは2年に一度しか出産しない上、一度に一頭しか生まれない。成熟年齢は8歳で、成獣は全体の3割。つまり、生息数が200頭とすると、成獣は60頭で、雌雄のペアは30組。交尾の確率などを考慮すると、1年に8頭程度しか増えないと言う。ということは、それ以上のペースで減少が続けば、やがて絶滅する事になる。

日本の技術と、動物飼育の知識で、川イルカを人口繁殖させようという計画があった。しかし、その時、飼われたチーチーというイルカは、老衰で死に繁殖にまで至らなかった。

1992年当時の推定生息数は200頭。それが2004年は100頭以下になった。生息数の減少に歯止めはかからなかった。

このままではヨウスコウカワイルカは今後10年以内に、絶滅してしまうだろうという危惧に対する対策もむなしく、中国の川イルカは、2006年12月、姿を消した。今では絶滅したと発表されている。

イルカの絶滅。

これはある意味、恐ろしい気分にさせられる。

哺乳類が環境汚染で絶滅するというのに、人類は決して無事ではすまされない。

中国の食物の薬物汚染が問題になっている。それ以前に、中国の農業が変わりつつあることを報道されていた。

こてこての化学肥料と殺虫剤などの薬品を使ってつくる農法である。農作物の大量生産と大量輸出による金儲け主義が根底にある。

日本では有機栽培といってなるべく自然に近い栽培方法で、作物や土地に力をつけて、あるべき姿に戻そうとする運動があるし、また多くそのような農法が支持されている。

日本の国土より大きい中国に、コメを輸出するニュースを聞いて、驚いた。
それはどういうことなのだろう。日本のコメのおいしさと、安全性を中国は認めつつも、日本への農作物の輸出に問題を抱えているという矛盾。

これをどう中国は納めるのだろう。

北京オリンピックで、国力を世界に示そうとする中国。オリンピックで何が変わるか。

川イルカを絶滅の危機に追い込んだ近代化と彼らの資本主義は、取り返しの付かない汚点となったことやこれからかんがえられる環境汚染による、国民の健康の問題が注目される。

あまり隣人の内情にまではいりたくないが、川イルカの絶滅の危機を招いた中国の環境汚染と資本主義優先主義を残念に思って仕方ない。

参考サイト:希少なヨウスコウカワイルカが絶滅 - 中国

       我是電視台記者~中国取材記

       揚子江カワイルカ、国内専門家が絶滅宣言に“待った”―中国