「強行採決だ」と民主党は、彼らの書いた脚本どおりに騒ぎを起した。選挙をねらったパフォーマンスである。議員らしからぬ仕事振りである。なんの強行採決かというと「年金時効撤廃特例法案」である。

年金時効撤廃特例法案は、国民が払ったのに受け取ってない年金が発覚したら、5年までならさかのぼって、年金の受給ができるが、それより長ければ、時効でもらえなくなるという実態を、国民の側に立って、時効を撤廃し、6年前でも10年前でも、請求があれば、応じることが出来るという法案である。

この法案・・・・国民にとって、不都合な法案なのだろうか?

「あ!!年金受け取ってない!!5年と一日すぎてるけど、請求したら受給してくれるだろうか?」という場合、極端な例ではあるが、この法案が可決しなかったら、ご破算である。つまりもらえない。一日よけいに過ぎただけでももらえない。それが役所の仕事である。

一方、議員の仕事は、国民の利益になるように、手配することである。安倍内閣は、国民の側に立って、この時効をなしにしようとした。

それが強行採決という修羅場になったのはなぜか???

国民の利益になるなら反対などありえないはずだ。

誰が反対したのか?

民主党である。

法案に反対ではなく、参議院選挙を見越して、少しでも与党のイメージダウンを計るためのパフォーマンスで、選挙がなければありえないことだった。

このままずるずると安倍内閣の舵取りのまま、年金問題が解決にむかえば、民主党の出番がなくなるではないか。

そこで講じたのが強行採決パフォーマンスである。

すこしでも自分達をよくみせるために、強行採決でもないのに、強行採決だ!とさわぎ、国会を混乱におとし、国民の側にたった政治どころか自分たちの選挙用のイメージアップのために騒ぎまくった。

その時委員長を議席から引き釣りおろし羽交い絞めにしたとして、暴力行為ありきで30日間の登院停止処分を決定されたのは、民主党の内山議員である。

記者会見で「わたしの行為は、国民の暮らしと生活を守るために、衆議院厚生労働委員会での強行採決に抗議するために行ったもので、恥じるものは何もない。与党は数の暴力でわたしに懲罰を下すことができても、必ず天罰が下るものと確信している・・・」といった。

ちょっと待て!!

時効の撤廃はしないで、5年以上たったものは、請求に応じないほうがいいというのだろうか?それが国民のため、国民が喜ぶことだというのだろうか?

私は国民の一人として、時効撤廃は、大歓迎である。やったね!安倍ちゃん!!地味で迫力のないわかりにくい、ぼんぼん総理だけど、この点ははなまる3重丸だと確信している。

何をとちくるっているのか内山議員。あんたの暴力行為は、許せない。あのような、下品で暴力的行為を国民のために国会でやってもいいという理屈は、間違っている。

真に国民の側に向いた政治家なら、時効撤廃よかったね!!と喜んでいいのではないか。

一方でその暴力事件と強行採決というセンセーショナルな言葉にひきづられ、悪乗りしたのは、マスコミである。

第4の権力といわれるマスコミは、悪乗りが多々目立つが、本当に正しい報道をしようとする姿勢をもっているのだろうか?騒ぐことと「事実は小説より奇なり」を多発させようとサプライズをねらった報道が多すぎる。

国民はより知らねばならないことが多すぎるし、知らされないことも多すぎる。

時効撤廃法案が与党の国民の救済であれば、民主党はどんな救済法を考えただろうか。「全部調べろ。それが終わるまで、社保庁はそのままにしておけ」である。

残念ながら民主党の救済は、社保庁の存続という救済であって、社保庁のええかげんな事務方が起した仕事上のミスの被害者である国民を救済するものではない。