杉浦日向子の、「風流江戸雀」の作品で、一番すきなのは、夏の場面である。
すだれをきっちりとかけて、縁側の手桶に、金魚が泳ぐ様~~シダをあしらった、涼しげな風鈴・・・
もうひとつ、北斎を描いた、「百日紅」という作品。
この中にも、夏の場面で、行水がでてくる。
行水は、知らない人が多いのではないだろうか。

今の時代は、各家庭にはお風呂が普及している。

が・・・・お江戸の時代には・・・
夏の暑い日には、湯殿へ行かずに、自宅の庭先にお湯をはった「たらい」に入って、汗を流した。
不届きものがたまに女性の行水中を除いたりしたらしい。

が、わたしも、その行水を経験した世代である。ただし、子供のころ。

我が家にもしばし、内湯がないときがあった。
夏の暑い日、母は、たらいにお湯を張って、その横に、洗濯板を置いた。
洗濯板に乗って、石鹸で身体を洗うのだった。

空を見上げたら星が見える。

沸かしたお湯を水でうすめて、あわを流して、髪の毛も洗ったような気がする。

そんな話し、めずらしくもないだろうけど、体験したわたしにとっては、夏だけの
思い出のあるシーンである。