前回からの続きの『夢』のお話です…『虚構のオアシス』の罪への疑いについて | アリス高崎障がい者就労継続支援

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前回からの続きの『夢』のお話です…『虚構のオアシス』の罪への疑いについて



アリス高崎
ブログ担当Nです


前回の話の続きです。
前回、自分がアリスでやっている事は、この世界の
「虚構のオアシス」を作っいるのではないのか…?

という自分のアリスでやっていることに対しての葛藤を書きました…


今回、後編はその罪の意識が現れてきた夢のお話です。

1年くらい前に見た夢のお話です。

それを載せさせていただきます。

あっ、その前に1つ、
僕が「虚構のオアシス」を作っているのではないのかという痛みを心の内に持っていますが、

1つちゃんと書いておかなくちゃ

そうは言ってもやっぱり
日々のアリスでの生活の積み重ねの中に

「とっても大切なもの」


をいつも日々日々感じているんですよね。

ただ、その大切な感覚は、
決して目に見えるものでもないし、数字として表わされるものでもないし、お金に換算されるものでもないもので、
そうしたものが生み出されているという『事実』と、

どうしても、この社会システムの中で

働いてお金を稼ぐということに非常に大きな価値が置かれている『現実』との間に、

ギャップを感じてしまうということなんです…


みんながみんな働けるわけじゃないですからね




それでは本編に、


あっ、その前にまだもう一つ書き記しておきたいことがありました。


僕は自分の中のこの心の揺れは大切なものと感じているんです。

それは…僕がもし自分のやっている仕事のやり方に疑いを持たず
「正しいことをやれている」
と思って何の疑問も持たずにいたら、
アリスを利用しているメンバーたちの心と大きく離れていってしまうと思うのです。

こうした精神の障害を持った人たちの施設において、
そこを利用する人たちが、普通にそこの施設の日々を送れていたからといって、
みんながその日々を、何の疑問も持たずに送っているかというと…そういうわけではなく

「これでいいんだろうか…?」


という心の揺れを、
メンバー達みんなそれぞれのこれまでの人生の背景と共に、何かしら感じていると思うのです。

そうした心が揺れている人たちの空間の中において、
職員である自分の心が、その空間に対して、

「これでいいんだ」

と何の疑いもなく思って、揺れていなかったとしたら…

同じ空間にいるのに、そこを利用しているメンバーと職員とでは、
全然違う世界に立ってしまっていることになると思うんです。

同じ空間の中にいるのに全然違うところにいることになっちゃうと思うんです。

だから僕がいつも心の中で自分のやっている仕事のあり方について、

「本当にこれでいいんだろうか…?」



「これが大切なんだ」



と2つの心の間で行きつ戻りつ揺れているその『揺れ』が

メンバーたちがそれぞれの人生背景を背負いながら、アリスでの日々を送りながら持っている
心の『揺れ』と

共振』していると思うんですね


そうすることによって立場は違うけれども、同じ空間の中にいて、深いところでどこかで心がつながっていくことができると思うのですね。


それは…白か黒をはっきりさせることでなく、


「自分の中の矛盾を矛盾のままにして持ち続けていくということ」


となるわけだけど、

それは大事なことだなぁと感じているんです。

みんなの心から離れたくないから。


あ、さすがにもうこれ以上書き足すことがないです

ということで本編の夢の話です

   〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰

 

 

 

  【こんな夢を見ました】



 

ものすごくリアルな夢を見ました。

 

 

こんな夢です。

〈ここからは夢の話です〉

 


夢の中、

朝、僕の家に郵便物が届きました。

 

刑務所からでした。

僕が刑務所に入ることが決定したので来るようにと言う通知でした。

(そういえば、カフカの小説でこうゆうのあったなぁ)

 


それでも僕はとりあえず、いつものようにアリスに行きました。

 
メンバーのみんなの朝の様子を確認して、それぞれの話なども聞かせてもらっていました。

 

「枕が硬くて眠れないんだよねぇ」

 

と僕に言ってきてくれたメンバーがいたので、

 

「それなら枕を柔らかいのにすればいいじゃなのかなぁ」

 

と笑って、たわいもないような話をしていました。

 

 

これから刑務所に入るというのに…

 

 

それから僕はアリスを出て刑務所へ向かいました。

 

途中、大きな川があり、橋がかかっているのですが、川が氾濫していて橋が沈んでしまっていて、向こう岸へ行けないので、川の流れが静まるのをしばらく待っていました。

 


それから僕は刑務所へ出頭しました。

 

 

刑務所なのに、そこはホテルのような豪華な立派な建物でした。

 

僕はその刑務所の中で迷子になってしまいました。

 

自分が呼ばれた行くべき部屋に行き着けないのです。

 

ホテルのような綺麗な刑務所の中をウロウロとさまよっていたら、1階には、障害者が通う県の障害者職業訓練センターがありました。

2階にはハローワークの障害者就労の窓口がありました。

 


刑務所の中にそんなのがあるのって変なんだけど、これは夢の中の話だから…


 

僕はその豪華なホテルのような刑務所の中をさまよいながらも何とか、呼び出された僕の行くべき部屋へたどりつけました。

 

すごくきれいな、ホテルの1室のような部屋の中で、すごく紳士的な刑務所の職員が僕に書類を渡して、そこに必要事項を書き込むように指示しました。

 

僕はそこに名前と住所を書き込み、

その下のところに

 

「あなたは何の罪を犯しましたか?」

 

という質問項目があり、僕はそこに

 

「特に何もしていません」

 

と書き込みました。

 


刑務所に入るのに、「何の罪も犯していない」

と書類に書いて出したのです。

 

 

でも夢の中の僕は心の中で、
はっきりとこう言っていました

 

「僕はアリスで精一杯やってきた…自分なりに精一杯…でも…それはこの社会の中の『虚構のオアシス』づくりだったのかもしれない…」

 

夢の中で、
言葉として声には出していなかったけど、心の中でははっきりとそう言っていました。


 

もちろんその声は刑務所の職員には届いていません。

 

刑務所の職員は

「何の罪も犯していません」

と書いて出した僕の書類を見て、
でも何もそれについて咎める様子も、追求する様子もなく、
こちらの気持ちを案ずるような様子で、
何もかもわかってくれているようなそんな感じで、
ただ黙ってくれていました。

 

 
刑務所の職員は何も言わず、黙って僕を別の部屋に案内してくれました。


 
そこはホテルのような刑務所の中の豪華な美しい大広間で、そこでたくさんの囚人たちが一緒に食事をしていました。

 

食事が終わると、その刑務所の囚人たち一人一人が、周りの人たちに向けて、

 

今まで犯してきた自分の罪と、

そこに至るまでの人生の道のりを語ってくれていました。

 

僕は同じ囚人として、その話を聞かせてもらっていました。

 


 

 

 


目が覚めました。

 

 

僕がみんなに自分自身のことを話す前に目が覚めました。

 

 

とにかくものすごくリアルな夢でした。


 

起きた時、しばらくどちらが現実なのかわからないほどでした。

 

 

僕がなぜこの夢を見たか? …

思い当たることの、この何年か分の間のいろんなことが思い出されました。




 あまりにリアルすぎる夢と、
目覚めた現実との狭間の曖昧な意識の中で、
僕の心が叫んでいました…
声にならない声を叫んでいました…

 

「つかの間の虚構の体験でもいいから、外の世界がどんなに荒々しく傷つけるものであったとしても、

僕はアリスでだけは、そこに来るみんなに、

『安心の体験』

をしてもらいたかったんだ…

外の社会にどんなに暴風が吹いていても、その『安心の体験』を『種』にして持って、生きていってもらいたかったんだ…」


 

 

 

 
朝日が差し込む部屋、ベッドの隅で、いつも一緒にいる大きなお猿さんのぬいぐるみが、いつもと同じ笑顔で僕を見つめてくれていました。

 

「おはよう😊」

 

おさるさんの満面の笑みから

音にならない、愛おしい声が

僕の心に聞こえてきました。