アメリカのスーパー「トレーダー・ジョーズ 」に行ったことがある方は一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

 

チャールズ・ショー・ワインは2002年にトレーダー・ジョーズで販売開始。

 

$1.99の激安プライスだったことから「Two Buck Chuck」という愛称で親しまれてきました。

 

→ Two Buck (2ドル)+ Chuck(チャールズの短縮型)。

 

 

【チャールズ・ショーという人物】

 

チャールズは1970年代、スタンフォード大学のMBAコースに通っていた。その頃ワイン生産が盛んとなりつつあったナパやソノマからほど近かったことから、次第にワインに興味を持つようになる。

 

MBAを卒業した後、銀行に就職したチャールズは、フランス・パリの支店に赴任。

 

パリの生活の中で、身近で低価格なワインに驚き、同じような文化をアメリカにも持ち帰りたいと考えるようになる。

 

カリフォルニアに戻ったチャールズはもともと農家の家系であったルーシーと結婚し、彼女の家族のサポートを受けてナパにワイナリーを設立。

 

1979年に初のワインをリリース。当時は認知度が低かったガメイ品種(ボジョレーの品種)であったが、その品質の高さは専門家からも評価を受け、ホワイト・ハウスの政府高官ディナーにも3度採用された。

 

しかし、シャルドネやカベルネ・ソーヴィニョンなどの主要品種が人気であった当時、ガメイ品種は全く売れなかった。

 

増え続ける在庫に悩んだチャールズはMBAコースのクラスメイトのジョー・コロム(トレーダー・ジョーの創設者)にワイン販売の助けを求める。ジョーは、自身のスーパーで$2でチャールズのワインを試験的に販売開始。

 

ガメイ品種を諦め、主要品種の生産を始めたチャールズのワインビジネスがうまく行き始めた頃、近隣の汚染問題に巻き込まれ葡萄畑を失う。借金が膨らみ、奥さんとも離婚。

 

その物件とブランドを買い取ったのが「フランツィア」のブロンコ・ワイン・カンパニー。大量生産を得意とする大手のワイン業者。

 

ワイナリー名・ワインラベルのデザインもそのまま使用することとなった。

 

フランツィアは皆さんもご存知ではないでしょうか?

 

(これ↓箱ワイン)

 

2002年、ブロンコはチャールズ・ショー・ワイナリーの在庫を既に販売実績があったトレーダー・ジョーズに大量に卸し、正式に$2/ボトルで販売開始。

 

現在、チャールズ・ショーご本人は75歳。金融関連の仕事に就きシカゴ在住。

 

全米に知れ渡ったチャールズ・ショー・ワインのビジネスには関わっていない。

 

【安さの理由】

  • ブロンコはチャールズ・ショー・ワイン用の葡萄生産を土地が安いセントラルバレー(サン・ホアキン・バレー)に移転。
     
  • ブロンコは各地に葡萄畑を保有。特に2001年の9.11事件の後、米国の不況により沢山のワイナリーが畑を手放した。低価格でワイナリーを大量に買収。幅広いブランドをプロデュース。格落ち葡萄・余剰葡萄をチャールズ・ショー・ワインに回している。
     
  • 本来ワインは樽で熟成をさせオークの香りを付けるが、価格の高い樽を使用せず、安価のオークチップをワインの液体を漬け込むことで香り付けをしている。
     
  • 極力機械を導入し、人件費をカット。
     
  • 輸送費を削減するため、ワインボトルは軽量ガラスを使用。

 

Business Insiderのインタビューでは、$1.99のうち生産コストは半分(つまり利益は出ている)と答えている。

 

【最後にトリビア】

  • 1983年チャールズ・ショー・ワインはワイナリー直では$13.5で販売されていた。当時にしては高価格の設定だったそう。(トレーダー・ジョーズで在庫処分セールとして$2で売り出した時はものすごいお得だった…に違いない。。が、今は名前とデザインを残していても中身は別物になってしまった)
     
  • 前述のとおり、余剰葡萄を多く利用したロットのワインは、高価なワインと戦えるほどのポテンシャルを有している。実際ソムリエによるブラインドテイスティング大会で他の有名ワイナリーよりポイントが高くなる実績を残したことがある(ただし、ロットにより品質は大幅に異なり、味が安定しない)。
     
  • 一時期はさすがにコストが高くなり$2.99への値上げを行ったが、カリフォルニア州に関しては2020年1月より当初の$1.99に値段を戻した。
 
*参照元: Insider、Business Insider、Washington Post、ABC News、Thrillist、Vinepair、Snopes、WineBusiness、New York Times、Wine Economist、Forbes

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トレジョが大好きな私ももちろんチャールズ・ショー・ワインを愛用しています!

 

最近はチャールズ・ショー・ワインも様々な種類が出ているようですが、私は・・・ピノ・グリッジオ品種が個人的にお薦めです!!