プロローグ
第一話 飴色のタルトタタン 希望の輝き
第二話 勇気と挑戦のブータンノワール
第三話 鯛の塩包み焼き 始まりの春の香り
第四話 満ち足りた夜に パテ・アンクルート
第五話 頑張った私へ シェフの特製ブイヤベース
エピローグ
レストランチェーン店シリウスが舞台の「キッチン常夜灯」シリーズの三作目「ほろ酔いのタルトタタン」」を読みました。一言で言うと、シリウスの各部署で働く女性が主人公のお仕事小説&成長物語です。ちょっと違うのは、そんな仕事漬けの彼女たちを癒してくれるのが、レストランチェーン店シリウスとは真逆の真夜中に営業する路地裏の唯一無二のビストロ「キッチン常夜灯」。そうこのキッチン常夜灯が第二の主人公と言っても過言ではないでしょう。
シリーズ1では 街のレストランチェーン店ビストロシリウスの浅草店の店長みもざが主人公です。洋食レストランの繁忙店の最前線で女性店長として頑張るみもざの奮闘振りが描かれました。シリーズ2「真夜中のクロックムッシュ」ではビストロの本社営業部のつぐみが主人公で、季節ごとのフェアメニューの考案やそのカラーメニューの制作、さらには各店舗のバックアップなど、現場店舗とはまた違った悩みが描かれました。
そしてシリーズ3「ほろ酔いのタルトタタン」では 繁盛店の清州店から突然製菓部へ移動になって3年近く、八方ふさがりのかなめが主人公です。しかもこの製菓工場は、もともとシリウスの取引先カモメ製菓会社がつぶれそうになったのを工場ごと買い取り、その社長がそのままパート従業員ともども製菓工場に居残ったといういわくつきのもの。本社から指定された各種デザートは完璧に作るものの、それ以上でも以下でもない元カモメ製菓の現製菓部長にやりずらさを抱え、日々悶々とするかなめ。
つぐみに連れられて来たキッチン常夜灯でシェフの料理に癒され、常連のみもざやつぐみといっしょに城崎シェフの料理に舌鼓を打つかなめ。年上の彼女たちのアドバイスを受けながら新たなデザートプロジェクトに取り組み、ある事件でトラウマを抱えた製菓部長をも巻き込んで、難局を乗り越えていくというストーリーです。
普段何気なく目にしているファミレスのデザートフェア、裏方はこんなに大変なんだと改めて知るにつけ、かなめたちの奮闘振りに頭が下がりました。工場に直販店兼カフェを作ったり、パート従業員のボイコットが起きたり・・・、それを全身全力で解決していくかなめ。それにしても製菓部は朝7時出勤の帰りは夜9時は当たり前。これではいくらシリウス本社が「女性登用」と謳ってみても、結婚も出来ないな~と現実的になってしまった私です。
追記①:サブタイトルに「タルトタタン(リンゴのデザート)」とあるように、今回は料理ではなく、デザートがテーマ。だからでしょうか?いつもよだれもののキッチン常夜灯のビストロメニューも記憶に薄く、少々残念でした。
追記②:作者の長月天音氏は、目黒連の映画「ほどなくお別れです」の原作者との事。知りませんでした。
