空になった檻。
此処に居た
此処に
まぁるい翡翠色の瞳
いつもきらきらしてた
繊細で神経質で嫉妬深くて
甘えたで食いしん坊で女王様気質
体毛はいつもふわふわで
長く細い綺麗な黒の尻尾
先だけをゆらりゆらりして
おねだり上手の可愛い子
何処を触ってもふわふわふわ
甘くて柔らかいマシュマロみたいな
綿菓子みたいな俺の天使
幸せだった
名前を呼べば、鳴いて返事するのも
脚に擦り寄る時に尻尾を絡ませてくる癖も
寝てる時に布団に入ってくるのも
変な寝相も
寝言が面白い所も
甘い物が好きな所も
缶詰めが大好きな所も
嬉しい時や甘えたい時に尻尾の先を
ゆらりゆらり揺らす所も
全部全部、愛しくて
全部全部、消えた
きゃんは明日灰になる。
冷えた冷たい身体も
閉じた瞳も
もう此処にはない
おやすみ、あいしてる
ちゃんと言えなかった
空になった檻。
丸まって眠るお前は居ない
すぐ帰ってくるよね?
今は寝てるだけだもんね
ゆっくり寝てね
でも寂しいから早く起きてくれよ
縛りつけてごめん
でももう少しだけ
寝てるだけだって思わせて
死んだなんて言わないで
もう居ないだなんて言わないでよ
疲れて寝てるだけだって
すぐに起きるからって
だれかそう言ってよ
帰って来ないだなんて
言わないでくれよ