その日の2時頃、Dr.に夫婦で呼ばれた。
お子さんの足に変形がみられます。
私では正解な診断ができませんので
大きな病院に紹介状を書きます。
予約もしておきます。
診てもらって下さい。
私は、今その時のボンヤリとした風景は
思い出せるが、会話は一切思い出せない。
たしか、泣く事もなく、その後のやりとりを 淡々と聞いていた様に思う。
ただ、病院で決められ借りていた病院着が
可愛すぎて、この状況に異様に浮いていたのを
おぼえている。
病室に帰ってからも、あまり覚えていない。
私は泣いたのか?
取り乱したのか?
人は、考えも及ばない事に出会うと
記憶をなくす。
そんな物なのか。
覚えていたかった。
あの時、私はどうしていたのか
何をおもっていたのか?
泣いたのか?泣かなかったのか?
なぜ、思い出せないんだろう。
退院の時に、院長Dr.が言った一言が
今も忘れられない。
「あまり、気にしないで足が一本なかった訳
じゃないんだから」
これが産婦人科医師の言う言葉、言っていい言葉
なのか。
やりきれない、気持ちになった。