
私が住宅業界で働き始めたころからの古い友人(大先輩)から屋根の改修の依頼がありました。
30代で、ご主人が病気になられ、外で働きながらも献身的に身体を気遣った食事作りをされて30年以上。お宅に伺って初めてご主人にお会いしましたが、私の前でもお二人で言いたいことを言い合い、穏やかで、静かな日々を送っておられる様子をほほえましく、またうらやましく拝見していました。
新築当時の金属瓦棒仕上げの屋根は雨音がうるさく、10年目くらいに焼き物の瓦をカバー工法で改修されていました。 屋根業者と現場を行ったところ、元々の瓦棒葺き屋根と下地は比較的良好な状態で、瓦だけを撤去し、耐久性の高いガルバリウム鋼板製の屋根を重ね葺きすることになりました。
瓦屋根撤去作業 当初の瓦棒屋根が現れました。
ガルバリウム鋼板屋根を張りました。
仕上がったところで、ご主人のチェックが入りました。棟材の隙間やコーキングの不足など事細かにスケッチまで描いてくださいました。決して嫌みでなく、冷静でありながら温かみのあるご指摘でした。つくづく私どもの至らなさを恥じました。
さらに軒先の仕上がりが気になるとのことでした。これは、事前の説明不足もありましたが、そろそろ交換時の樋を新調することで収まりをよくしましょうとご提案しました。
そして樋のサンプルなどをお渡しし、色決めをしようという段階で、悲しい出来事がありました。
数年前までお仕事もしながら、奥様である友人の送り迎えなどもし、長い療養生活で、ご主人はその分野について大変詳しく語っておられ、すっかり病気と共存していらっしゃり、ある意味健康的に過ごしていらっしゃると思え
ました。
それが突然、逝かれてしまいました。
お宅に訪問するたび、ご夫妻の賑やかな掛け合いや、技術職さんらしい専門的かつ分かりやすいお話を私は、楽しみにしておりました。あまりに急なことで、信じられませんでした。
お参りに行っても、今にもご主人がにこにこと登場されるような錯覚に陥りました。
もっといろいろお話を聞かせていただきたかったと。友人仲間の内でも私が一番失礼してご無沙汰していたのに、ご主人とは一番親しく、短い期間にたくさんお会いしていたことになりました。
私には、友人を慰める言葉が見つからず困惑していましたが、彼女はとてもとても気丈で辛さを抑えておられました。
樋の工事は、もちろんしばらく保留となりました。このままでも屋根として不備があるわけではないし、出来る限りサービスしても費用が嵩むので、無理に薦めませんでした。が、友人は「わたしはお父さんみたいには気にならないんだけど、お父さんが望んだから遺志を尊重したい」と。またも、ご夫妻の深い愛情を感じました。
友人は、まだまだ本当に立ち直るには時間が掛かるでしょう。
知性と包容力に溢れたとても尊敬できる魅力的な人柄ゆえ、周りの人たちが、彼女を一人にしておかないのは間違いありません。
私はこれからも彼女の友人でいられることを改めて幸せに思えた現場でした。
長文失礼しました。
樋の交換、破風の塗装も行い、20年安心な屋根廻りとなりました。