原作/アートフォトグラフィ:
七色アリス
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140317/11/alice-photostory/55/7c/j/t02200311_0595084212877893811.jpg?caw=800)
ようこそ首吊りの館へ
月明かりだけの
真っ蒼な洋館に
たくさんの首つり死体
そこらじゅうにぶら下がっている首吊り死体を摩りながら
自らを首吊り師というその男はこう言う
「まだこの死体達は生きていて、
ほら、暖かいだろう
そう、ただの仮死状態にしてあるだけのことさ、
人は日々疲れているので
たまにこの首吊りの館へきて死体ごっこをするのだよ」
本当に生きているのだろうか
一番綺麗な顔して眠っている死体を覗き込んでると
死体が話し出した
「そろそろ縄がきつくなってきたので緩めてはくれませんか?」
慣れた手つきで首吊り師は縄を緩める
死体ごっこをすることにより
人は癒され、明日への活力を手に入れると
首吊り師は言う
「ほら、こうやって首を吊るのさ、」
首吊り師は自ら手本を見せだした
縄がグンと締り
とたんに体がぶらんと投げ出される
首つり師の目は閉じられた
問いかけにも答えない
大丈夫なんだろうか
他の首つり死体達が縄を緩めてほしいと囁きだした
私は首吊り師ではないからその縄を緩めることはできない
バタバタと足をバタつかせだす複数の首吊り死体の真ん中で
首吊り師はすがすがしい顔で死んでいる
~2014 Aliceの幻想劇場~