「首吊り館の首吊り師の話」 | 幻想写真作家 七色アリスの幻想劇場

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幻想写真作家七色アリスの幻想写真文学

「首吊り館の首吊り師の話」

原作/アートフォトグラフィ:
七色アリス








ようこそ首吊りの館へ


月明かりだけの

真っ蒼な洋館に

たくさんの首つり死体



そこらじゅうにぶら下がっている首吊り死体を摩りながら

自らを首吊り師というその男はこう言う



「まだこの死体達は生きていて、

ほら、暖かいだろう

そう、ただの仮死状態にしてあるだけのことさ、

人は日々疲れているので

たまにこの首吊りの館へきて死体ごっこをするのだよ」




本当に生きているのだろうか

一番綺麗な顔して眠っている死体を覗き込んでると

死体が話し出した




「そろそろ縄がきつくなってきたので緩めてはくれませんか?」

慣れた手つきで首吊り師は縄を緩める


死体ごっこをすることにより

人は癒され、明日への活力を手に入れると

首吊り師は言う




「ほら、こうやって首を吊るのさ、」

首吊り師は自ら手本を見せだした




縄がグンと締り

とたんに体がぶらんと投げ出される



首つり師の目は閉じられた


問いかけにも答えない



大丈夫なんだろうか





他の首つり死体達が縄を緩めてほしいと囁きだした

私は首吊り師ではないからその縄を緩めることはできない




バタバタと足をバタつかせだす複数の首吊り死体の真ん中で



首吊り師はすがすがしい顔で死んでいる





~2014 Aliceの幻想劇場~