赤い月を見た。
父が、昔、だれかにキャンプに誘われて、野鳥を見るとかで買った高性能の双眼鏡。
それで、
秋の夜空を、じっくり見た。
月は、赤みがかった乳白色のメノウの石のように、ぼんやりと見えた。
それから、
ライブ配信された皆既月食を見た。
月のクレーターまで見える見事な映像
こちらの方がクリアに見えて楽しいが、
父の、なんちゃって野鳥ウォッチングで買った
気まぐれ双眼鏡で、
リアルにこの目で見た皆既月食が、きっと、
思い出深く感じることだろう。
ちなみに、父は、
すぐに双眼鏡にもキャンプにも飽きて、
その後は使ってなかったらしい。
テレビも、相撲とニュースしか見ず、
家の周りの小さな自然のドラマを眺めるのが好きで、
施設でも、テレビは殆ど見ず、
庭の草花を眺め、池のメダカを眺め、
土の周りの虫達を眺め、
空を眺め、
まあ、とにかく、
自分のすぐ近くの自然の出来事を、
自分の目で見るのが好きだったようで。
そんな父が亡くなって、もう3ヶ月
だが、
たった3ヶ月、と思うから、不思議なんだけど。
秋の夜長に、
徒然、そんなことを思いながら、
すっかり元通りになった満月を見る、
うさぎでした。