ひとりごと | 愛しの母君に捧げる小夜曲

愛しの母君に捧げる小夜曲

2012年10月22日、母から卵巣がんであると告知される。
1人暮らしをしている私は全てを放りだして母の元に帰る事を決心。

そんな母と娘のひっそり闘病備忘録in香港。

母の暇つぶしに買ってきた雑誌に、がんについての記事が載っていた。

そんな記事が載ってるとは知らなかったのだが、それを読んだ渦中の母は不安そうに言った。


「凄く嫌な記事があった」


と。


それは、がんの放置医療についての記事だった。

以下は闘病中の方の不安を煽るような内容になると思うので、読みたくない方は流してください。






その記事の内容を掻い摘んでまとめると、大体こういう内容だった。


・早期発見で治療をしたがんも、症状が出てから治療をしたがんも、予後は変わらない

・医療に絶対はないが、末期がんや転移した状態で治ったという症例は、著者によるとあり得ない

・仮に治ったという場合、それはがんではなく、がんもどきだったんじゃないか

・本当にがんであれば早期発見でも治らない

・医者は患者の不安を煽るような事を言い、自分の都合の良いように治療へと持ち込む

・患者は素人だから、メリットばかりを言ってデメリットは小出しにして上手いこと誘導する

・医療は博打、結局医者もやってみないと結果は分からない

・日本ではがんを発見したらすぐに外科治療、化学治療に入るが、切らなくていい場合もある

・末期がんで苦しんで死ぬのは治療のせい

・苦しまないで大往生できるがんもある


がんにかかったとして、その対処法は様々だと思う。

内科療法、化学療法、代替療法等色々あるが、最終的にその判断は患者に委ねられるはずだ。

しかし記事にもあるように、医療知識が無い人は医者の言う事を信じて決断する人も多いはず。

それなのに「医者は詐欺師」みたいな書き方をしているのは、

それこそ患者の不安を煽るだけなんじゃないだろうか。


まさにがんの治療中で入院している母は、これを読んで、少なからずショックを受けたようだった。

確かに書いてあることに納得する点もあるが(医療は博打の部分とか)、

私は全体的に不信感の方が強かった。


1冊の本から抜粋した一部分だけなので、多分本書の内容が誇張されているのだとは思うが、

私はこれは「苦しまずに大往生したい人向け」だという解釈をした。

少なくとも、未来を考えて治療を受けている人向けの内容では無い気がした。


そんなような意見を話すと、母も納得して不安を払拭したようだった。

しかし、医者は不安を煽るだけだと言って余計に不安を煽っているような記事は、やはり納得がいかない。

さすがにこれだけを鵜呑みにして医者嫌いになる人はそうそういないだろうが、

なんとも後味の悪い記事だった。