あめゆじゅとてちてけんじゃ。

永訣の朝、それはこんな景色だったろうか。
四月も半ばに差し掛かろうと言うのに、空からは雨とも雪ともつかないものがずっと降り続けている。

イーハトーブのように清かな景色ではないのかもしれないけれど、地面に積もった淡のようなあめゆきがその差異を少しだけ埋めてくれている気がした。

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ココアに浮かべたマシュマロは、どこかそんな景色を思い出させる。
春の雪解けはそんなに美しいものではなく、賢治があの日手にした聖い資糧には遠く及ばない。

地面から湧き立つ春が冬の名残を飲み込んで、どろどろに溶かして行く。
それはちょうど、こんな風かも知れない。

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けれどそれも飲み干してしまえば甘く、やわらかく、そしてやさしい。
ふわふわとくちびるに、綿雪がのる。


春はどこか。
冬はどこへ。
今は、いつか。
季節のはざま。

桜が咲いていなくて良かった。
こんな日はきっと、桜を散らしてしまうから。
春一番の声さえ聞かず、ここはまだ冬の縁。

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