しん、と痛い雪の夜は、壁の時計の音だけが聞こえる。

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冷えて乾いた粉雪は、踏むと片栗粉のような音がした。
街灯に透かして見ると、小さな花が寄り集まって咲いている。
また一振り。重みで傾いだ枝が雪を振り落とし、花弁が砕けたガラスのように舞う。
久し振りに、よく降った雪の朝。
八ヶ岳は雲の中。
青空が千切れて浮かぶ雲の海は、雪の陰をまだ隠している。
時折透ける太陽に、散った雪雲が真綿のように解けてみせる。
庇の下の花壇で、パンジーが顔を上げた。
冷凍庫のような空気の中で、不思議と暖かい。
忘れ物のように咲く、小さな花。
どちらにしても、冬の盛りとは遠く。
きっと、もっと暖かい。
だけど雪の中で見る花は、それよりも、ずっと。
今日の20cmの積雪が根雪になれば、いよいよ冬の底になる。
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